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本格ミステリ・フラッシュバック
千街晶之 ほか
事典・ガイド 出版月: 2008年12月 平均: 8.00点 書評数: 5件

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東京創元社
2008年12月

No.5 5点 蟷螂の斧 2017/11/25 23:05
本格と謳われていますが、サスペンス、警察小説、社会派などに分類されると思われるものも含まれています。本書の価値は1957年から1987年の30年間に絞ったことでしょうか。もう少し早く読んでいれば、掘り出し物が多数発見され、評価は上がっていたかも。本書で紹介されている作品のうち、既読で高評価のものは、別途ガイドブックで紹介されたものが大部分でした。紹介文にそそられて興味の湧いた作品30冊ぐらいをピックアップしてみましたが、本サイトの評価では残念ながら5点台が多かったですね。気になった作品は石原慎太郎氏の「断崖」と荒木一郎氏(元歌手)の「シャワールームの女」あたり。なお、カスタマーレビューに「作家紹介も小林信彦の項などいい加減過ぎる」とのコメントがありました。私も「貸しボート十三号」の紹介内容に疑問(もう少し調べた方がいい)を持ちました。紹介者は市川尚吾氏です。氏は作家の乾くるみ氏と知りビックリ仰天。まあ、好きな作家なのでいいか?(笑)。

No.4 10点 HORNET 2012/01/22 07:25
 町の図書館で、背表紙の「ミステリ」という言葉が目に留まって借りてみたら、どうしても手元に置いておきたくなり、その後購入した。本格衰退期と言われる、清張の「点と線」から綾辻「十角館の殺人」までの期間にあえてスポットをあて、埋もれた名作を掘り起こすという趣旨がよい。変に編者の嗜好を反映させず、マニア好みの本格作家から多作の売れっ子作家まで幅広く取り上げている点も、自分の嗜好でその中からつまみ食いができてありがたい。
 その年に発刊されたもののランキング本、作家が自身の好みで選定したガイド本、ミステリ史に残る名作を挙げたガイド本などと一線を画す本書の存在意義は大きい。最近の話題作からミステリにめざめ、これから過去の作品を読んでいこうという人にもその道標になるだろう。私も、このサイトに次いで貴重な読書案内を得た思いである。

No.3 9点 Tetchy 2011/02/27 01:34
清張以後=綾辻以前の期間1957年から1987年までに発表された本格ミステリの秀作を作家と共に一冊に纏めたのが本書。

新本格ムーヴメント以前のミステリ界は社会派ばかりが発表されて本格ミステリを書くこと自体が罪であり、売れない小説を書くことが出版社からも許されなかったと云われていたその期間にこれほど多くの作家と本格作品が生み出されているとは今でも思わなかった。いかに先入観を植え付けられていたかという証拠だろう。

日本のミステリ史の資料としてだけでなく、なにより洪水の如く生み出される出版物の荒波の中に葬り去られるには惜しい隠れた名作を思い出させるためにも実に貴重な1冊だ。
正に好著。ずっと手元に置き、自分に合った新たな作家の発掘に役立てよう。

No.2 9点 こう 2009/11/03 23:09
 本格ミステリばかりではないですが本格ミステリ不毛時代の作家たちの作品が多数紹介されていてとても重宝しています。
 この時代の乱歩賞や推理作家協会賞受賞作家の大多数が受賞作以外知らないケースが多かったので今後読み進めてゆきたいと思います。個人的には梶龍雄や小泉喜美子、多岐川恭といった作者の作品に特に注目しています。
 新本格以降からの読者でも過去の埋もれた傑作群の落ち穂拾いには最適なガイド本だと思います。ページをとっていない作品でも作者の紹介のところにも作品の紹介がありお薦めです。

No.1 7点 江守森江 2009/05/22 16:24
本格ミステリと謳っているのに本格以外の作品が散見される分、評論としての価値は下がる(もう少し検討して作品の絞込をするべきだろう)
それでも、未読の名作(特に埋もれた傑作)を知るガイドには充分。
私的に風見潤・梶龍雄など参考になった。
図書館の蔵書検索や古本屋巡りのお供に是非。
※余談
因みに、一番好きな掲載作家は梶山季之だが、作者の真骨頂はコミカルなエロ大衆小説だと思う。
夕刊紙連載エロ小説の大家・宇能鴻一郎先生が嵯峨島昭→‘さがしましょう’の洒落な別名義でミステリーを書いていた事に驚いた。


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