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ミステリを書く! 千街晶之 |
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事典・ガイド | 出版月: 1998年10月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
ビレッジセンター出版局 1998年10月 |
No.2 | 6点 | 臣 | 2017/07/15 12:07 |
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綾辻行人、法月綸太郎、山口雅也、大沢在昌、笠井潔、柴田よしき、馳星周、井上夢人、恩田陸、京極夏彦の10人の作家のインタビューをまとめたもの。聞き手は千街晶之。
インタビューといっても質問は2,3行で、あとは一人語り。ほとんどエッセイといってもいい。 ミステリ作家になるまでの読書経験と、作家になってからのミステリに対する考え方などの10ほどのテーマがある。作家ごとの最後に、わずかながら、これからミステリを書く人へ、という項目はあるが、ミステリの書き方指南書ではない。 10人いるが、ほとんどが子供のころから狂信的な読み手だったのに驚く。しかもクイーンマニアが多い。やはりミステリ作家(とくに本格系)になるような人は幼少時代からマニアックだったということか。 もともと読書好きでもないのに小峰元の「アルキメデスは手を汚さない」で目覚めた、という東野圭吾とは大違い。でも東野作品はストーリー性が抜群。上記10人が束になってかかっても、売り上げではかなわないだろう。まあ多作ということもあるが。 ただ、京極が、小説にストーリーは関係ないと言っている。やはり作家それぞれの考え方はある。でも小説で物語性がよくなければ途中で投げ出すのが通例だろう。 そういう京極の作品群も、レンガ本にもかかわらずバカ売れした。奨められ2,3冊買ったがあまりの厚さに敬遠し続け、長期間、積読状態となってしまった。かれこれ20年は経つだろうか。個人的には、物語性よりも厚さ(薄さ)ということか(笑)。 既読作家が少なく、借りるのをためらったが、読んでみると、この人たち(とくに京極、馳、山口)の作品をぜひ読んでみようという気になってくる。それほど夢中になれた。 |
No.1 | 7点 | Tetchy | 2010/11/08 21:40 |
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本書は当代を代表する作家たちに小さい頃からの読書遍歴、ミステリを書くきっかけ、デビューのこと、また作家なり始めの頃の話、趣味やスケジュール管理、体調管理、そしてミステリを書く事の意義とそれに対する姿勢について行ったインタヴューを纏めたもの。
ここに上げられているのはどちらかと云えば本格系の作家が多いが、エンタテインメント系の作家に比べるとその誰もが、本格という特殊な制約に対してとことん突き詰めた考えを持ち、また混沌とした本格推理界が今後どのような展開を見せるのかに期待と憂慮を覚えているのが共通項として見受けられる。 それに対してエンタテインメント系作家と云えば、寧ろ本格作家に見られるような求道心的な真摯さというよりもやはりその作品性ゆえか、いかに読者に楽しんでもらえるかに腐心している傾向にある。 しかし、特徴的なのはこれが必ずしも必要条件ではなく十分条件であり、どちらかと云えば自分が読みたい作品、楽しんで書ける作品を書いているのが底流としてある辺りに余裕が感じられた。正に陰と陽といった感じ。しかもエンタテインメント系の作家の原体験として黄金期の本格物を読んでいたという共通項があり、食わず嫌いではなく、何事も取り込んでいこうというおおらかさを感じた。 特に本格系の作家は評論を充実させるというのが共通意識としてあるようで、推理小説研究会というのもあるように、本格系は文化系、エンタテインメント系は体育会系という色分けが如実に表れたように思う。 どちらが正しい、間違っている、良い、悪いということではなく、それぞれがそれぞれの道を進んでいくことでミステリ界を今後も盛り上げていって欲しい。 |