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[ 本格/新本格 ]
赤い帆船(クルーザー)
十津川警部シリーズ
西村京太郎 出版月: 1982年09月 平均: 6.86点 書評数: 7件

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角川書店
1982年09月

KADOKAWA
1982年09月

光文社
1998年06月

光文社
2013年03月

No.7 4点 いいちこ 2017/09/22 19:43
ハリウッド的なビジュアル映えするプロットではある。
しかしながら、プロットから真犯人が容易に推定できる点、犯行プロセスが綱渡りすぎるうえに、サプライズに乏しい点、犯行プロセスが論理的に特定されておらず、真犯人の自供に頼っている点で、評価することはできない

No.6 8点 蟷螂の斧 2017/09/05 13:58
十津川警部のデビュー作とのこと。松本清張氏の「火と汐」が出てきた辺りで、オリジナリティの観点から、かなり心が折れてしまいました。ところがどっこい、○○○○でした。この反転。かなりハイレベルなトリックには感心しました。もう一つのトリックもオリジナリティがあります。チョット危ういところもあるのですが、スケールが大きく、また発想もいい。なお、犯人像はこの人以外考えられないし、もしそれ以外の人物であれば、面白くもなんともない作品になってしまいます。よって倒叙式に近いものだと思います。時刻表トリックが苦手なので、トラベル・ミステリー以前の作品を何点か読んでみたい。

No.5 7点 パメル 2017/06/22 01:07
スケールの大きな企みが仕掛けられた海洋ミステリ
毒殺された被害者には彼を恨んでいた人物が数多くいた
ただ真犯人は早い段階で想像がつくと思う
しかしアリバイ工作はレベルが高く十津川警部補もいくつかの方法を思いつくが容易にアリバイは崩れず犯人の仕掛けた罠に嵌っていく展開
脇役の使い方も上手く被害者が犯人に●●●●●●を●●●●●●というのも面白い
余談ですが松本清張氏の短編「火と汐」のネタバレがあるので要注意

No.4 9点 斎藤警部 2016/07/29 10:54

こりゃズッシリ来たねえ、唸りますよ。

読み逃していた海洋期京太郎の傑作、十津川のデビュー作をようやく髄までしゃぶり尽くす事が出来ました。 あいつがポルシェで死んだ東京の夜、あいつはレースで太平洋の真っ只中。。。。 色んな所で意表を突いて人がどんどん死に、誰をどう疑えばいいのか焦点も定められないままサスペンスは加速熟成拡散深化。このアリバイ偽造の魂(ソウル)はマリアナ海溝よりも●●●●●●●●●●(←●●過ぎる洒落)よりも深くて暗いよ、もう最高よ!我が愛して止まないミステリにおける対称性の美が、思いも寄らない、まるで復讐的な深淵から突き上げて来るのには驚きましたよ。

十津川がいきなりタヒチ語でおどけ出した(?)のは驚いたなァわらぅたなァ。。しかし、まさか。。いゃ まさか その アレのそれが あいつ。。。さて、そんなピンポイントで、まさかのパスポートによるアリバイ成立押し!本には指紋、旅券に押印てか! 「男性」と書いて「ガイズ」! このタイミングで、その杉山!? そこでふと思ったのが、その故意の遅延性云々を鉄道領域へと雪崩の如く適用させてみたら、そこには如何なる異化美あふれる風景が。。ということ。 松本清張「火と汐」のサーチアンドデストロイ級ネタバレにゃあ鼻からペチンコ玉も飛び出したってナもんですが、それはそれでしっかり必然性あるネタバレでした。 と思うと或るシーンではあのシュガーベイブの山下達郎さんが事件周辺に登場(?)、あわよくばまさか共犯の一翼ベェイベでは。。。なかろうかと妄想もしてみたよ。色々あらァな。。

しかしすげーなー、京太郎さん絶対クロフツの海洋アリバイもんに真っ向勝負挑んだんじゃろ、自信満々の体(てい)でよ。 ‘課長は皮肉でなく言った。’←痺れる一文だ。 或る漢字語の振り仮名に’イントリーギング’じゃなく’スプレンディッド’! “チバシ”というその響きに一抹の疑い。。まさかポリネシアのどこかの島ににそんな名前の邑でもあるんでないかと。。(笑) 待てよ、もしもアガサク的に意外な犯人吊るし上げショーをやるのが主眼ってんなら、まさかあの●●●●●が真犯人だったりはしないでしょうか。。。。?? と忙しい多方向疑惑の渦に呑まれながらもストーリーは高速航行を続けます。

さて、愈々こんな終局近くに来ても。。。何たる彫りの深いアリバイ工作だよ! 一瞬「地球は丸いから。。」なんてナンセンスな考えなんぞしちゃったじゃないか。 罪の無いヨット談義。。ライフジャケットの秘密(ちょっと怖い)。。’その時に調整’か、よし俺もそうしよう。 心理の小道具は’飲料水’かよ。。。。どこまでも慎重な犯人(ヤツ)。ヨットマン十津川も思わずシンパシィ・フォー・ジ・海の悪魔でねえがよ。

いや、信じるよ・・十津川よ! いや、まさかのその、殺した人数の見込み違いの水平線。。。。
十津川推理の部分は晴天正解、だがしかしその領域外には予想を超えた。。って、抉(えぐ)りのラインが深すぎるじゃないですか、京太郎さん。真犯人が、第一のターゲットを無事仕留めた事を確認した経緯前後、そこに、嗚呼、まさかの複数の悪魔的要因が爪を尖らしていたとは!! ふたたび、信じよう。。まるで伊藤由奈の歌だ。。過去の妙な経験が嫌な形で役に立った。。暗い机の引出し。。

なんだか最後のほう、質実剛健でスポーツマンシップにのっとった連城みたいになっていません?? 複雑にして深すぎるよー。。。。。こりゃまるで「三つの棺」のアリバイ版を狙ってるんじゃないですか??? ミステリ世界で普通だったら白けさせるもの代表たる「偶然」がこんなにも泣かせる輝きを。。。何故なら、そこに海があるから。。。。それだけじゃあない。

これは大事なことだから明記しておきますが、本作には京太郎さん悪癖のアンチクライマックスは有りません。
それにしても、十津川の直上司が近未来の十津川そのものだ。まさか、鬼貫ではあるまいな。。

もちろんですね、いわゆる冷静に考えたら(以下全略)


No.3 6点 E-BANKER 2010/08/01 15:19
初期の「海洋ミステリー」。
この分野は「トラベルミステリー」と並ぶ作者の十八番(おハコ)。
本作の特長は「スケールの大きさ」です。太平洋を縦断した連続殺人事件に十津川警部補(当時)が挑みます。
メインはアリバイトリックになるのですが、お得意の鉄道ではなく、船(クルーザー)と飛行機を絡ませていて、なかなか読ませます。
トリック解明には、クルーザーやヨットレースのちょっとした専門知識が必要になる分、やや分かりにくいかもしれません。
「捨て筋」の方にも信憑性を感じるため、真相についても意外性は十分あるのですが、真犯人については途中からはっきりしてしまうのがやや割引でしょうか。
それにしても、トラベルミステリー以降は「静かで渋いオジサン」というイメージが定着した十津川警部が、本作では血気盛んな青年警部補という感じで書かれていて、それが妙に新鮮でした。

No.2 8点 makomako 2010/04/01 22:31
この頃の西村京太郎はきっちりした本格ものを書いていたことを再認識した。スケールが大きい本格海洋推理小説でプロットもしっかりしており二転三転の物語の展開も明快な文章ですらすらと読める。書かれた時代が大分古いが、当時をリアルタイムで経験している私にとってはぜんぜん問題にならない。この後大量に出回るトラベルミステリーの探偵十津川警部(この本ではまだ警部補)がヨットマンとして登場するのも興味深い。薄利多売のようなトラベルミステリーとは格段の差が有ると思うが、この小説でも一介の刑事が気軽に海外出張したり犯人がぺらぺらと犯行の詳細を自供してしまうといった安易な設定がすでに見えるところが減点。

No.1 6点 kanamori 2010/03/08 17:38
初期の「海の十津川警部」もの第1作。
東京ータヒチ間のヨットレースを絡めた雄大なアリバイトリックが冴えた本格ミステリ。のちのトラベルミステリものと比べてこの時期の作品は重厚・緻密さがあり、読み応え充分。
海洋ミステリものでは「消えたタンカー」と並ぶ秀作だと思う。


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七人の証人
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