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[ 本格/新本格 ]
殺意の設計
矢部警部補
西村京太郎 出版月: 1976年08月 平均: 6.00点 書評数: 3件

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廣済堂出版
1976年08月

日本文華社
1978年05月

角川書店
1988年04月

廣済堂出版
1994年11月

KADOKAWA
2021年01月

No.3 6点 まさむね 2024/06/27 22:22
 前半は夫の浮気に疑念を持つ妻の視点。心理サスペンスの側面もあって、西村作品としては新鮮な印象も受けます。一転、後半は刑事の視点で、これはいかにも西村先生らしい展開。
 こういった構成も含め、面白く読ませてはいただいたのですが、犯人としては、あまりにも都合の良い手法というか、結構なリスクを負う手法を採っているのではないかという違和感は残りました。特に、井の頭公園、かな。

No.2 6点 パメル 2020/05/04 09:25
前半は麻里子の視点、後半は矢部警部補の視点で展開していくが、前半の浮気に悩む人妻のストーリーが絶妙な効果をあげている。後半にはいると、それまでの出来事が別の解釈により、鮮やかに反転し驚かされる。
大きなトリックはありませんが、死の瞬間の些細な矛盾点、妻の肖像画に関するトリッキーな仕掛け、毒薬の購入の小技など、地味で渋いトリックを次から次へと繰り出してくる手際の巧さはさすが。
叙述上のある仕掛けもありますが、これは察しやすいと思う。なお肖像画に関する真相には、その時のある人物の心情を察して泣ける。

No.1 6点 人並由真 2019/07/08 03:04
(ネタバレなし)
 世評の高い31歳の新鋭画家・田島幸平。その妻で27歳の麻里子は、匿名の密告状を契機に、夫が20歳の美人モデル・桑原ユミと浮気している秘密を知った。親族がいない麻里子は、仙台在住の旅館の若主人・井関一彦を手紙で東京に呼び出し、苦しい胸の内を打ち明ける。井関は幸平の親友で、かつては東京で同じように画家を志した身であり、そして麻里子と幸平と三角関係にあった。麻里子の訴えを聞いた井関は幸平とも対面し、良い結果を求めて尽力するが、やがてある夜、田島家の中で突然の死が……。

 作者の(比較的)初期長編。
 途中で、いかにも、これ見よがしっぽい仕掛けが覗くので、この時期の西村作品はこんなレベルで読者を引っかけようとしていたのか? と一瞬興が醒めた。しかしそのまま読み進めると、作者はしっかりと物語のその奥まで読み手に晒し、そんな上でさらに謎解きミステリとしての興味を煽ってくる。
 安易にプロの作家を舐めてはいけないと、少し反省。

 とはいえ事実上、物語の中盤には、犯人は絞られてしまうのでフーダニットとしてはそこで崩壊。あとに残る最大の興味は、動機の謎のホワイダニットとなる。
 それでこちら読者としてもミステリファンの欲目があるので、ここはひとつ連城の「花葬シリーズ」レベルのスゴイのが来ればいいな、と期待したが、残念ながら結末は意外に地味な感じであった。
 ただし容疑者が中盤で狭まった分、探偵役である警視庁の矢部警部補(十津川シリーズや左文字シリーズにも客演する、作者の地味な? レギュラーキャラクター)と犯人役の対決の構図は際立ったけれど。

 それでも犯罪計画の組み立てを暴いていく流れは全体的に丁寧で、その辺は好感。物語の後半、脇役として登場して矢部警部補を支援する雑誌ライター(記者)・伊集院晋吉の妙に人間臭いキャラクターも、ちょっと印象に残る。

 西村作品の初期の単発ものには結構面白いものがあるので期待したのだが、これはそこまでの思いには応えてくれなかったものの、それなりには楽しめた一冊であった。佳作。


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西村京太郎
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平均:4.00 / 書評数:1
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平均:6.00 / 書評数:1
1987年04月
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平均:5.00 / 書評数:1
1986年09月
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1986年01月
怖ろしい夜
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太陽と砂
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1985年12月
トンネルに消えた・・・
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1985年09月
夜ごと死の匂いが
平均:6.00 / 書評数:1
1985年07月
午後の脅迫者
平均:6.33 / 書評数:3
1985年03月
寝台急行「銀河」殺人事件
平均:6.00 / 書評数:2
変身願望
1985年02月
殺しのバンカーショット
平均:4.00 / 書評数:1
1984年11月
特急「白鳥」十四時間
平均:5.67 / 書評数:3
1984年08月
展望車殺人事件
平均:7.00 / 書評数:1
1984年05月
L特急踊り子号殺人事件
平均:5.00 / 書評数:1
1983年12月
超特急つばめ号殺人事件
平均:6.00 / 書評数:1
1983年11月
札幌着23時25分
平均:6.00 / 書評数:3
1983年08月
名探偵に乾杯
平均:5.67 / 書評数:3
1983年07月
雷鳥九号(サスペンス・トレイン)殺人事件
平均:4.50 / 書評数:2
1983年06月
下り特急「富士」(ラブ・トレイン)殺人事件
平均:7.00 / 書評数:5
1983年01月
四国連絡特急殺人事件
平均:6.00 / 書評数:1
東北新幹線(スーパー・エクスプレス)殺人事件
平均:5.00 / 書評数:1
マンション殺人
平均:5.00 / 書評数:1
1982年09月
赤い帆船(クルーザー)
平均:6.86 / 書評数:7
名探偵も楽じゃない
平均:6.00 / 書評数:3
1982年07月
イレブン殺人事件
平均:5.50 / 書評数:2
ミステリー列車が消えた
平均:5.33 / 書評数:3
1982年05月
特急さくら殺人事件
平均:4.00 / 書評数:1
1982年04月
聖夜に死を
平均:6.00 / 書評数:1
1982年02月
幻奇島
平均:6.00 / 書評数:2
1982年01月
恐怖の金曜日
平均:6.00 / 書評数:2
発信人は死者
平均:6.50 / 書評数:2
1981年12月
北帰行殺人事件
平均:7.00 / 書評数:2
1981年11月
原子力船むつ消失事件
平均:3.00 / 書評数:1
1981年04月
夜行列車(ミッドナイト・トレイン)殺人事件
平均:6.00 / 書評数:2
1980年10月
消えた巨人軍
平均:6.14 / 書評数:7
1980年09月
ある朝 海に
平均:6.33 / 書評数:3
1980年07月
終着駅殺人事件
平均:5.64 / 書評数:11
1980年04月
けものたちの祝宴
平均:4.00 / 書評数:1
1980年01月
黙示録殺人事件
平均:7.33 / 書評数:3
1979年09月
黄金番組殺人事件
平均:5.00 / 書評数:1
1979年08月
一千万人誘拐計画
平均:5.50 / 書評数:2
夜間飛行(ムーンライト)殺人事件
平均:6.33 / 書評数:3
1978年11月
イヴが死んだ夜
平均:7.00 / 書評数:1
1978年10月
寝台特急(ブルートレイン)殺人事件
平均:5.29 / 書評数:7
1978年04月
現金強奪計画―ダービーを狙え
平均:4.50 / 書評数:2
盗まれた都市
平均:6.00 / 書評数:2
1977年12月
ゼロ計画を阻止せよ
平均:6.50 / 書評数:2
1977年09月
殺しの双曲線
平均:6.63 / 書評数:30
1977年08月
日本ダービー殺人事件
平均:4.33 / 書評数:3
名探偵なんか怖くない
平均:6.30 / 書評数:10
1977年05月
七人の証人
平均:6.85 / 書評数:20
1977年03月
華麗なる誘拐
平均:6.83 / 書評数:6
1977年01月
おれたちはブルースしか歌わない
平均:7.00 / 書評数:2
1976年08月
殺意の設計
平均:6.00 / 書評数:3
1976年05月
消えた乗組員(クルー)
平均:6.67 / 書評数:3
1975年01月
消えたタンカー
平均:6.75 / 書評数:8
1973年01月
殺人者はオーロラを見た
平均:6.00 / 書評数:1
1972年01月
伊豆七島殺人事件
平均:6.00 / 書評数:1
名探偵が多すぎる
平均:5.57 / 書評数:7
1966年01月
D機関情報
平均:6.80 / 書評数:5
1965年01月
天使の傷痕
平均:6.11 / 書評数:9
1964年01月
四つの終止符
平均:6.50 / 書評数:2