皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ サスペンス ] ファインダーズ・キーパーズ ビル・ホッジス |
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スティーヴン・キング | 出版月: 2017年09月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 2件 |
文藝春秋 2017年09月 |
文藝春秋 2020年02月 |
No.2 | 5点 | HORNET | 2017/11/27 22:01 |
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人気作家・ロススティーンは、人気シリーズ「ランナー」の三部作を書いたのち、一切の世間との交流を断ち、隠遁生活に。しかし、世俗を離れて十数年たってもなお、一人「ランナー」の続編をノートに書きためていた。そこへ三人組の強盗が押し入る。強盗の一人、モリスは実は「ランナー」の大ファンで、一番の目的はお金ではなく「ランナー」続編のノート。ロススティーンを殺したうえでノートを奪ったモリスだが、そのノートが入ったトランクを密かに地中に隠したまま、別の事件で逮捕され、刑務所に入ってしまう。そのまま時は経ち、ある少年が偶然そのトランクを発見してしまったことを発端に、事態は危険な方向に―。
「ミスター・メルセデス」に続く退職刑事・ホッジスのシリーズ第2弾。リーダビリティの高さは抜群で、それなりにのめりこんで読めるのだが、ストーリーも展開もある意味オーソドックスで、往年のキングを期待して読むとハズれると思う。モダンホラーの巨匠が、「普通の」サスペンスを書いた、という感じ。 面白くは読めるが。 |
No.1 | 5点 | 人並由真 | 2017/11/01 15:36 |
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(ネタバレなし)
1978年。60年代のアメリカ文壇を賑わしながら、現在は引退してすでに十数年になる異才の元作家ジョン・ロススティーン。その彼の自宅に、ある夜、強盗が入る。賊の青年モリス(モーリー)・ベラミーはロススティーンの著作に強い影響を受けた過去があった。モリスは成り行きからロススティーンの命を奪い、そして作家が引退後に書き溜めていたシリーズものの未発表長編二冊分(以上)の原稿を持ち去った。だが数奇な運命から、その原稿はモリス当人にも読まれることもないまま、21世紀の初めまで地中に眠ることになる。やがて13歳の少年ピーター(ピート)・ソウバーズが、その原稿が入ったトランクを見つけるまでは……。 『ミスター・メルセデス』に続く<元刑事の初老私立探偵ビル・ホッジスとその仲間たち>シリーズの二作目。 もちろんフツー(以上)に面白く(キングだから)、あっというまに上下巻二冊を読み終えられる(キングだから)。 でもエンターテインメントとしての完成度やまとめ方はともかく、作品の方向的にも、質的な満腹感の面でも「自分が求めるキングはこんなのじゃない!」という感じ。その意味では前作といっしょ。 事件の主題または背景である<あの作家、あのシリーズに、まだ未発表の作品があったら>という普遍的な憧憬の念そのものは、裏『ミザリー』みたいで、なかなか心を揺さぶるものがあるんだけどね。 まあ本シリーズのヒロインの彼女が元気そうなのは良かった。 あと本作は、ホッジスもの三部作の山場に向けての予告編的な側面もある。 ちなみに、もし『ミスター・メルセデス』を未読でこっちから先に読もうかと考えているなら、前作から順番通り読んだ方がいいです。作中の現実の描写としてまっとうとはいえ、前作の主要人物の去就について、かなり大きなネタバレをしているので。 |