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[ 警察小説 ] 警官嫌い 87分署 |
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エド・マクベイン | 出版月: 1959年01月 | 平均: 6.40点 | 書評数: 10件 |
早川書房 1959年01月 |
早川書房 1959年01月 |
早川書房 1972年01月 |
早川書房 1976年04月 |
講談社インターナショナル 2001年04月 |
No.10 | 6点 | クリスティ再読 | 2024/04/25 21:23 |
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87の記念すべき第1作。87分署の刑事が連続して撃たれる事件「警官嫌い」。逆に言えば、シリーズ第1作にこれ持ってくるの?というのを改めて考えるととても不思議。まあ派手でいんだが(苦笑)。
でも本作で殺される刑事たちのプライヴェート描写がしっかり行われるのが、この後のこのシリーズの特徴にもなってくる。描写の細かい馴染みのない刑事は「あ〜そのうち殺されるね」とか妙に期待しながら読んでしまう。そういえばマイヤー・マイヤーは登場しないんだ(意外)。クリング君は制服警官だけど登場するのにね。このシリーズの「主人公」のキャレラというと、狂言回しのカラーがあるためにか、周囲の濃いキャラと比べてキャラ付けが薄味なのはご存知の通り。でもテディのピンチを救う結末とか、キャラの濃いテディとセット、という読み方もできるのかな。 でも最初からバンバン刑事が殉職する話、と捉えたら、その後の殉職者たちにも思いを馳せることにもなるか。いつ殉職するか分からない、というのがシリーズ全体の緊張感にも繋がっているんだろう。未登場キャラも多いが、第1作でシリーズ全体のキートーンはしっかり定まっていると見るべきだ。 (ちょっとツッコむと、私服の刑事たちだけがオフタイムに狙って殺されることから、「なぜ刑事って分かるの?」が重大な手がかりだと思うんだがなあ....) |
No.9 | 7点 | 雪 | 2018/12/25 07:29 |
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十一時四十一分。マイク・リアダンが勤め先の三丁ばかり手前に来ると、弾丸が二発、その後頭部にとびこんで、顔の半分を吹き飛ばして前に抜けた。
十一時五十六分。この市の別の住人がそれを発見し、警察に電話しにいった。その男と、コンクリートの路上に崩折れているマイクとの違いはただ一つしかない。 マイク・リアダンは警官だった。 1956年発表のシリーズ第1作。掴みのうまさ、緩急を付けたストーリー、緻密に構築された舞台設定、適度な間口の広さなど、長期シリーズの出発点としては申し分無い作品。連続殺人の合間に捜査過程、日常業務やハプニング、スティーヴ・キャレラとテディ・フランクリンの初々しい恋などを挟みながら、第三の警官殺し→新聞記者の暴走に始まる詰めのアクション→犯人逮捕→事件解決へと後は一気呵成。キャレラとテディのウエディングで締め括るかと思いきや洒落たエンディングで終幕と、大衆小説の見本として何も言う事はありません。トリックはまあご愛嬌ですが、そこに注目すべき作品では無いですね。 文章もピチピチしていて生きが良い。これがシリーズ最高傑作とは思いませんが、第一作+十本の指には入る出来の良さで、オールタイムベストに87分署代表作として入れるのに別段の異論なし。 読み返してみて意外だったのは、最も登場の早い同僚レギュラー刑事がマイヤー・マイヤーでもコットン・ホースでもなくハル・ウィリスだったこと(バーンズ警部と巡査からまだ未昇進のバート・クリングは除く)。てっきり第2作「通り魔」からの登場だと思い込んでました。早合点して申し訳ありません。 抜きんでた要素はないものの総合力とバランスで7点。フランシス「本命」やスタウト「料理長が多すぎる」などと同タイプの作品です。 |
No.8 | 6点 | 斎藤警部 | 2018/10/02 22:57 |
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メイントリックは「それ見たことか」だし
犯人の行く末は明瞭でモヤモヤしないし 上手に作った甲類酎ハイみたいな本。悪くないぜ。 “殺人というのは最も変わった犯罪なのだ。 人間の生命という、どこにもあるものの窃盗だからである。” 本格味を引き摺って、警察小説として中途半端にも見えましょうが 何しろサブジャンル黎明期なんですから、自然の事です。 暴力教室、カート・キャノンを経て愈々登場『87分署シリーズ』第一作、からいきなり死に行く仲間を何人も見送らねばならぬ切なさよ。。。。 |
No.7 | 6点 | いいちこ | 2016/09/05 18:32 |
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リーダビリティの高い叙述と、サスペンスフルな展開に良さを見せる警察小説。
脱力モノの捜査プロセス、真犯人を示唆する露骨な人物造形、真相解明の論理性の欠如等、本格ミステリとしては高く評価できない作品だが、本格ミステリとして読む作品ではない |
No.6 | 4点 | 了然和尚 | 2016/03/17 15:59 |
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警察小説と本格推理(パズtラー物)の違いは、警察小説では、リアルな捜査や、ワクワクする展開に味があり、伏線や論理的解決やトリックの意外さは必要ないと定義できると思います。
本作では、捜査陣が全くの行き当たりばったりで、同じ空振りでもコリン・デクスターものとは雰囲気が違います。 イマイチだったのは、最後の80ページぐらいで突然意外な犯人や動機などが提示され、出来の悪い本格推理小説のようになってしまったのが読後感を悪くしました。 あくまでも小細工なく警察小説で完結させてほしかったです。 |
No.5 | 7点 | tider-tiger | 2015/10/15 19:14 |
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深夜、職場に向かう途上でその刑事は射殺された。
「ぐじゃぐじゃ言っても仕方がない。とにかく、町に出て犯人を探せ!」 捜査主任の号令の元、仲間を殺され憤怒に燃える刑事たちは犯人を追う。 だが、警官殺しの犠牲者はさらに増えていくのだった。 他の方も書いてらっしゃいますが、導入部がいい。一気に引き込まれます。私も熱くなりましたね。 二人目の犠牲者の扱いが軽いのが可哀想でした。もう少し突っ込んであげて欲しかったところ。三人目の犠牲者がかっこ良かっただけに。 まあミステリとしてはよくある誘導で、本格慣れしている人にはああ、あれね、とすぐにネタが割れてしまいそうです。エンタメとしてはかなり面白い作品です。 87分署シリーズについて 本シリーズは三十冊弱読みましたが、作品間の当たり外れの差が小さく、私の(甘い)採点基準ではすべて6~8点の間に収まります。ただし、飛び抜けた傑作というのはないように思われます。 長いシリーズなので、マンネリにならぬよう様々な趣向を凝らす努力はしています。 双方を知る方から猛烈な反論がありそうですが、自分の中では87分署はリチャード・スタークの悪党パーカーシリーズと対になっています。両者ともにテンポが良くて、気軽に読めて、楽しい。忘れ去られてしまうのは惜しい作品群です。 長所 会話がうまいと思います。プロットの通りに話を進めていくための不自然な(作者の必死さが見える)会話などはなくて、どうでもいい刑事たちの軽口さえ魅力があります。 どの作にも一つ二つは必ずいい場面があって、話そのものを忘れてしまってもその場面は憶えていたりする。 意外とユーモアがある。 テンポ良く、話の展開もうまいのでリーダビリティが高い。 ちょこちょこと捜査の細かな点を描写している(リアルだと誤解される一因)。 コツコツ頑張る(なんのこっちゃ?)。 短所 多少の有効成分はあれど、――推理――小説としては市販薬レベル。 刑事は魅力あるも、犯人や被害者で印象的な人物があまりいません。 本来は純文学志向(私の勝手な推測)なのに普段は抑圧しているせいなのか、ときおり文体が美文調に変わります。これが曲者で、効果を上げることもありますが、妙にそこだけ浮き上がって興醒めとなる場合も多々あります。 けしてリアルな警察小説とは思えない(mimiさんの御意見に私も賛成です)。昭和の刑事ドラマ(太陽にほえろ等)はこの作品の影響を多分に受けていると思われ……つまりは、そういうことです。 基本的には発売順に読むことを推奨しますが、どこから読んでもそれほど支障はありません。ただ、警官(サツと読む。口にするのはちょっと恥ずかしい)は電話魔を読んでからの方が良いようです。ある意味続きものですので。 それから「死んだ耳の男」は未読なんですが、タイトルからして、たぶん電話魔、警官を読んだ後にした方が良いです。 一発目は避けた方が無難な作品(作品のレベルの問題ではなく異色作ゆえです) 「灰色のためらい」 「我らがボス」 「夜と昼」「死にざまをみろ」 ちなみに私は「糧」より後の作品は未読です。 |
No.4 | 8点 | あい | 2013/03/22 11:06 |
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面白かった。最初のインパクトのあるシーンから始まって、すぐに物語に引き込まれていった。タイトルもすごく良いと思う。 |
No.3 | 8点 | あびびび | 2012/03/09 01:24 |
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(ある意味ネタばれ)
毎日がうだるような暑さの中、45口径の拳銃で刑事が日を変え、三人殺された。麻薬患者、暴力団と過去に逮捕され、刑事に恨みを持ついろいろな人間を取り調べたが、真の犯人は「警官嫌い」だった。 たが、実行犯は「警官好き」だった。 |
No.2 | 6点 | kanamori | 2010/07/21 18:53 |
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ロングランの警察小説「八七分署」シリーズの第1作。
今作は、刑事たちの群像を描くことより、フーダニットの色合いを強く感じる。 ある意味、意外な犯人像ではありました。タイトルが巧いミスディレクションになっています。 |
No.1 | 6点 | 薬 | 2008/10/22 17:46 |
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警察小説の元祖ですなあ。都市の香りがプンプンする。トリックに期待してはいけないが、なかなかのもの。 |