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[ 警察小説 ]
電話魔
87分署
エド・マクベイン 出版月: 1962年01月 平均: 6.60点 書評数: 5件

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早川書房
1962年01月

早川書房
1978年03月

早川書房
1978年03月

No.5 7点 斎藤警部 2019/11/16 08:56
偏差と確率を語る●●●(今はもうない)。。。妙に説き伏せられるその数学的犯罪論演説。 ●●●と言えば思い出す、有楽町ガード下の古い焼きとん屋(今もまだある)。稚拙なようでいて雪崩をも呑み込みそうな謎の深み。始まりは、立ち退き迫る 脅迫電話、逆・●●組合めいた予感。。終わりが近づくにつれ、まさかの犯罪ハイパーインフレ大会には唖然となりました。最後のバカスペクタクルとその抹消無しに、クールな数学推理小説としてしっとり締めるって手はなかったのかしら?なんて思いもしますが。。この過剰な味は捨て難い。呆気ない幕切れを尻目の最高に痺れるエピローグ。ハヤカワ文庫あとがきがまた良い。昭和三十年代中盤のサンデー毎日に連載されてたって、つまり’エプロンおばさん’としばらく同時で本邦初訳が載ってたって事じゃないですか、こりゃ萌えます。(どっかで古雑誌、安く売ってないかなあ) 

No.4 3点 あびびび 2019/07/24 12:54
(ネタバレ)
警察側から見れば、犯人からの電話攻勢はチンプンカンプンだったろうが、読者から見れば、街を混乱させ、そのすきに銀行強盗が狙いであることが直ぐわかる。自分には合わなかったのか、最後は何の感慨もなく本を閉じた。もう一度読むべきだろうか?

No.3 8点 2019/06/27 13:29
 「四月三十日までに、その二階から立ちのかないと、お前を殺すぞ!」
カルヴァー街にあるラスキン婦人服店は、週に二回、三回とかかってくる執拗な脅迫電話に悩まされていた。87分署のマイヤー刑事は父親の幼馴染デイヴの相談を受け、電話魔事件に取り組むこととなる。飛び火する被害者はラスキンひとりに留まらず、いやがらせ行為の報告は合計二十二軒にもなった。
 そして四月一日、エイプリル・フール。グローヴァー公園で遊んでいた子供たちが、木立の中から素っ裸の男の死体を発見する。身元不明の被害者は近距離から猟銃で胸を撃たれていた。彼の顔写真に反応して署に電話したランダムという男は、事件担当のスティーヴ・キャレラ刑事に、被害者ジョニーの雇い主は〈つんぼ〉だと語る。
 やがて電話魔の攻勢はますます過激化し、被害はデイヴ・ラスキンの二階店に集中しはじめる。次々に届けられる無数の品物。配達伝票に記された注文主の名は「エル・ソルド」。スペイン語で〈つんぼの男〉という意味だった。
 交わりだす二つの事件。果たして電話魔騒動を隠れ蓑に進行する、謎の男〈つんぼ〉の恐るべき計画とは?
 天才犯罪者デフ・マン初登場のシリーズ第12作。1960年発表。以降のデフ・マンものと同じく、この作品でも87分署側の動きに合せて犯罪者チームの動静が、狙いを伏せた上でガッツリ描かれます。
 「赤毛連盟」パターンと見せてその裏をかく犯罪計画も周到なものですが、特筆すべきは陽動作戦の徹底ぶり。仲間の一人が「ここまでやる必要があるのか?」みたいなことを言いますが「賭けは、二百五十万ドルだぜ」「手を引きたいか?」と、〈つんぼ〉は冷ややかに答えます。確率論以前に警察事案じゃないですね。戒厳令でも敷かないと対処できそうにありません。マクベインほどの作家が著名シリーズでこれを書いた効果は大きい。ジェフリー・ディーヴァーなどの現代作家にまで影響を与えてます。
 この完璧な計画が、ホントしょうもない理由で崩れ去るのも見事。事件後のマイヤー・マイヤーのジョークも決まってます。初期シリーズの代表作で、絶対に外せない作品。点数は8点で文句無し。

No.2 7点 クリスティ再読 2019/05/30 07:47
87分署の宿敵のプロ犯罪者、名前を言ってはいけないあの人の初登場の作品である(苦笑)。評者の持ってる本は昭和53年のミステリ文庫3刷の古めの訳(今は知らんが)、本当に名前を言っちゃあいけない。
「4月30日までに立ち退かないと殺す!」という脅迫電話が、管内の商店に頻々と掛かるようになった。架空注文の配達などの営業妨害にもエスカレートする...相談を受けた刑事たちは、その商店が銀行・宝石店などの金目のターゲットと隣接していることに気が付き出す。キャレラは全裸で見つかった老人の殺人事件に携わるが、どうもこの殺人と商店脅迫の背後には、補聴器をつけた男の影が見え隠れする....何か大きな犯罪が企まれているらしい。果たして4月30日には何が起こるのか?
「赤毛連盟?」となるのは作者承知の上。ドイルに挑戦したのだから、読者の想像を上回らなきゃね...でちゃんと想像を上回ることをやってのけて、きっちり商店脅迫も合理的なプランで納得がいく、というワンアイデアを活かした秀作だ。しかもこの犯罪のリーダーの補聴器を付けた男が「確率」を語るのが印象的で、プランが理詰めなのがいい。もちろん宿敵としてこの後何作も再登場するので、87の外せない作品の一つ。

No.1 8点 tider-tiger 2015/10/15 19:16
デイブ・ラスキンの婦人服店には立ち退きを要求する脅迫電話がしつこく掛かって来ていた。内容は「立ち退かないと殺す」という悪質なものであった。さらに、ラスキンの店のみならず、他にも二十もの店が同様の脅迫を受けていた。そして、事件と関係があると思われる死体が発見されるも、犯人の狙いがいまいちよくわからないのが悩みの種であった。

ドイル(シャーロック・ホームズ)へのオマージュ。さほど話題にならない作品ですが、自分は重要な作品だと考えております。しょぼい話と思いきや、だんだんとスケールが大きくなる展開もいい。それでいてマヌケな話でもあったりして。
事件というか、騒動というか、とにかく犯人の狙いがなんなのか、そこが眼目。
あとは渾名が禁止用語の犯人も薄気味悪くてなかなかよろしい。87分署の刑事たちが最も嫌だったであろう犯人ではないかと思います。
最初に読んだマクベインがこれなので、思い入れがあるのやもしれませぬが。


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