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[ 法廷・リーガル ] 白雪と赤バラ ホープ弁護士 |
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エド・マクベイン | 出版月: 1987年09月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1987年09月 |
早川書房 1992年03月 |
No.1 | 7点 | 雪 | 2018/10/24 22:28 |
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短い金髪、ジャングルのように濃い緑色の瞳、豊かな唇、ほっそりときゃしゃな身体つきで、胸は小さいが完璧な形、そして、いまにもこわれてしまいそうなもろさ――。
「わたしは初めてサラを見た瞬間に、恋に落ちてしまったのだと思う。」 だが、サラはノット精神病院に入所する重症の精神病患者だった――。 「ジャックと豆の木」に続くホープ弁護士シリーズ第5作。サラはホープに「わたし、気がちがっているように見えます?」と訴えます。シェイクスピアを引用する知性に満ちた会話に魅了されるホープ。実の母親、弁護士、精神病院の医師たちがこぞって共謀し、彼女を閉じ込めてしまったというのです。 一方、主治医のドクター・ピアソンはホープにこう語ります。 「彼女は、もうあなたを妄想の中へとり入れています。あなたの支持は、妄想を強めるだけです。あなたは彼女が破滅するのを助けているだけなのですよ」 いったい、どちらの主張が正しいのか? ホープの登場はカットバック的に本編に挿入されるだけ、物語としては主に"ジェーン・ドウ〈女性の身元不明人〉"と名付けられた死体の調査の過程が語られます。赤いワンピースを身に着けた彼女は、喉を撃たれた上に舌を切り取られ、ソーグラス川に浮かんでいました。しかも、両足首をアリゲーターに喰われて。 レギュラーキャラのモリス・ブルーム刑事は相棒のロールズ刑事と共に、地道な捜査を続けます。再読ですが、この辺のリーダビリティはかなり低い。ストーリーの9割がそんな感じです。 しかし残り30P余り。ホープとブルームの物語が交錯し始めた時、一気に悪夢がホープを呑み込むのです。この辺りの展開は背筋に戦慄が走ります。 都筑道夫氏は本作を評して「残念だ」と語りました。一方、池上冬樹氏は絶賛しました。正直、総合力では「黄金を紡ぐ女」の方が上かもしれません。ですが、本書がマクベインの精神分析への関心の集大成として、最後に書かれるべき作品であった事は疑い無いでしょう。敬意を表して、7点を付けさせて頂きます。 |