海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ サスペンス ]
灰色のためらい
87分署
エド・マクベイン 出版月: 1965年01月 平均: 6.00点 書評数: 3件

書評を見る | 採点するジャンル投票


早川書房
1965年01月

早川書房
1980年04月

早川書房
1980年04月

No.3 6点 クリスティ再読 2023/11/11 17:13
「87シリーズで最初に読んではいけない本」として有名な本(苦笑)
異色作だとか呼ばれることも多いけど、これって「外伝」みたいな本、と捉えるのがいいと思う。お馴染みの刑事たちもキャレラ・ウィリス・ホース・マイヤーなど登場しないわけでもないが、チョイ役程度に、あくまで外側から知らない人が眺めた程度で描かれるだけ。でもキャレラとティデイのデートの熱々っぷりにアテられる。
で、話は街に出てきた大男ロジャーが、何かの犯罪を犯したらしく、それを自白しに警察に出頭しようとして...でグズグズする話。それをシンネリとやっていく。でも、何をしたのかはずっと不明のままで、街で引っかけた女性との関係にあるような....だけど、翌日また黒人の女の子をロジャーはひっかけてしまう。ロジャーの犯罪は?この女の子の身が案じられるが?ロジャーはちゃんと出頭するのか?

そうしてみると、ちゃんとサスペンス系のミステリになっているじゃないの。このロジャーくん、大男のくせにマザコン気味の田舎者。だからちょっとしたサイコスリラー要素も感じたりもしたなあ。長いシリーズ、たまにはこんなのが紛れ込んでいる、というのもオツなものだと思うよ。
(あと言うと、原題は「ためらう男」くらいの意味だけど、わざわざ「灰色」をつけるあたりが、とっても日本的なセンスだと思う)

No.2 6点 tider-tiger 2017/11/12 21:14
手作りの木工品を売りにニューヨークに出て来たロジャーは下宿屋で目を覚ます。
冬のニューヨークは寒い。木工品はよく売れた。母さんは元気にしてるかな。
あ、そうだ。警察に行かなけりゃいけないな。

87分署シリーズ最大の異色作。そもそも87分署シリーズを名乗る資格があるのかってくらいの作品。87分署の刑事は幾人か登場するも、能動的に動くことはない。
ロジャーがなぜ警察に行かなくてはならないのかが、良く言えば腰の入った文章でじっくりと描かれる。悪く言えばウダウダグジグジ優柔不断なロジャーに付き合わされる。「この野郎いい加減はっきりしろ」と怒鳴りつけてやりたくなるも、いつのまにか引き込まれている。そして、結論が先延ばしにされることを望んでさえいる自分に気付く。だが、ロジャーの不可解な一面と警察に行かなければならない理由が少しずつ明らかにされてしまう。
意外性はあまりなくて、起伏も少なくエンタメとしては弱い作品かもしれない。
それでも個人的には好きな話で、マクベインの違った持ち味、うまさを感じられたのも収穫だった。そつなく書くだけの作家じゃないんだなあと。ただし、オチはどうも気に入らない。

やっぱり会話が自然でうまいなあ。別に気の利いたセリフもないただの男女の会話の中に登場人物の息遣いが聞こえる。
海外、特にアメリカの作家は会話がうまい人が多い(ような気がする)。
日本人作家が海外の作家に劣る点があるとすれば、それは会話だと思っている。無理をしている感じがしたり、ただひたすらつまらなかったり、ひどく不自然だったり。
※あくまで個人の印象です。また、日本の作家が海外の作家に劣るなどとは微塵にも思っておりません。

No.1 6点 2014/12/04 22:38
マクベイン2作目にして、妙な小説を読んでしまいました。87分署シリーズ中の異色作と作品紹介には書かれていますが、むしろスピンオフ作品と言った方がいいでしょう。
正直なところ、ジャンル分けには迷いました。まずシリーズ本来の警察小説では全然ありません。なにしろレギュラーの刑事たちはちょい役でしか出てこないのです。まあスティーヴだけは(本作では姓は書かれていません)、ある役割を果たすのですが、それも小説構成上の問題であり、ストーリーを進める上で絶対必要なわけではありません。ミステリとさえ呼びにくい内容ですので、その他にしようかとも思ったのですが、警察署に行くことをためらう主人公の行動と心理を追った心理小説風ということで、とりあえずサスペンスとしてみました。もう一つ考えられるジャンルには入れない方がいいと思うので。
主人公とデートするアメリアがなかなか魅力的です。


キーワードから探す
エド・マクベイン
2006年05月
最後の旋律
平均:5.00 / 書評数:1
2004年12月
歌姫
平均:6.00 / 書評数:1
2003年11月
でぶのオリーの原稿
平均:5.00 / 書評数:1
2001年11月
湖畔に消えた婚約者
平均:6.00 / 書評数:2
2000年12月
最後の希望
平均:4.50 / 書評数:2
2000年05月
ノクターン
平均:6.00 / 書評数:1
2000年04月
寄り目のテディベア
平均:5.00 / 書評数:2
1998年05月
小さな娘がいた
平均:5.50 / 書評数:2
1998年01月
ロマンス
平均:5.00 / 書評数:1
1996年05月
メアリー、メアリー
平均:4.67 / 書評数:3
1996年01月
悪戯
平均:5.00 / 書評数:1
1994年04月
キス
平均:5.50 / 書評数:2
1993年02月
寡婦
平均:3.00 / 書評数:1
1992年06月
三匹のねずみ
平均:5.50 / 書評数:2
1990年08月
ジャックが建てた家
平均:5.00 / 書評数:1
1989年07月
長靴をはいた猫
1989年02月
魔術
平均:7.00 / 書評数:1
1988年10月
シンデレラ
平均:4.00 / 書評数:1
1988年08月
毒薬
平均:6.00 / 書評数:1
1987年09月
白雪と赤バラ
平均:7.00 / 書評数:1
1987年04月
八頭の黒馬
平均:5.00 / 書評数:1
1986年07月
ジャックと豆の木
平均:5.00 / 書評数:1
1985年01月
凍った街
平均:8.00 / 書評数:1
1984年07月
美女と野獣
平均:5.00 / 書評数:1
1983年09月
熱波
平均:5.00 / 書評数:1
1983年02月
黄金を紡ぐ女
平均:6.00 / 書評数:1
1982年09月
幽霊
平均:5.00 / 書評数:1
1981年07月
カリプソ
平均:5.00 / 書評数:1
1980年10月
金髪女
平均:5.00 / 書評数:1
1980年05月
夜と昼
平均:5.50 / 書評数:2
1978年09月
血の絆
1978年03月
死者の夢
平均:6.00 / 書評数:1
1977年11月
命ある限り
平均:5.00 / 書評数:1
1976年05月
われらがボス
平均:6.00 / 書評数:1
1976年01月
はめ絵
1974年01月
サディーが死んだとき
平均:7.00 / 書評数:1
1969年01月
ショットガン
平均:5.00 / 書評数:1
1968年01月
警(サツ)官
平均:5.50 / 書評数:2
1967年01月
八千万の眼
カリブの監視
平均:7.00 / 書評数:1
1966年01月
人形とキャレラ
平均:6.00 / 書評数:1
1965年01月
被害者の顔
灰色のためらい
平均:6.00 / 書評数:3
1964年01月
平均:6.00 / 書評数:1
1963年01月
たとえば、愛
平均:6.00 / 書評数:1
10プラス1
平均:6.00 / 書評数:2
1962年01月
空白の時
平均:6.00 / 書評数:2
電話魔
平均:6.60 / 書評数:5
クレアが死んでいる
平均:5.00 / 書評数:1
1961年01月
死にざまを見ろ
平均:7.00 / 書評数:1
1960年01月
通り魔
平均:5.50 / 書評数:2
死が二人を
平均:6.00 / 書評数:1
レディ・キラー
平均:6.00 / 書評数:1
大いなる手がかり
平均:5.50 / 書評数:2
ハートの刺青
平均:6.00 / 書評数:1
殺しの報酬
平均:6.25 / 書評数:4
キングの身代金
平均:6.25 / 書評数:4
殺意の楔
平均:6.50 / 書評数:4
麻薬密売人
平均:5.67 / 書評数:3
1959年01月
警官嫌い
平均:6.40 / 書評数:10