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[ 警察小説 ] 警(サツ)官 87分署/改題『警(さつ)官』 |
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エド・マクベイン | 出版月: 1968年01月 | 平均: 5.50点 | 書評数: 2件 |
早川書房 1968年01月 |
早川書房 1980年04月 |
No.2 | 5点 | 斎藤警部 | 2022/03/02 07:31 |
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"過去現在未来のジャズがすべてまざり、緊張のその十秒間は小さなスクリーンに七つの映画を同時に映しているようだった。"
いっやー、警察小説でもバカミスが出来るんですなあ。 ドタバタぐたぐた終わりなのか、深遠な思想の宿るオープンエンディングなのか、デフマン続編があるのは承知の上で、ちょっと迷います。 高評価の対象ではないけど、「電話魔」にも及ばないけれど、面白くなかァないですよ。 tider-tigerさん書かれてるように、作者ちょっと投げやりな気配はありますけどね。 最後に、●●頼みとは言え、読者の気を引っ張った事案群が一つに纏まったのもまあ良し。 「警官(さつ)」じゃなく「警(さつ)官」って書かれると、漢字テストかと思いますね。 |
No.1 | 6点 | tider-tiger | 2018/02/16 10:10 |
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87分署に脅迫電話が掛かる。公園局長を殺されたくなかったら、五千ドル用意しろ。87分署一同はそれなりに手を打つも結果→公園局長死亡。
続いて、「副市長を殺されたくなかったら五万ドル用意しろ」→副市長爆殺。 一連の事件には補聴器をつけた長身の男が絡んでいる。そう、あのデフマンだ。うんざりだった。 一体、デフマンは今度はなにを企んでいるのか。 『電話魔』の続編です。あの男デフマンが還ってきます。事件の性質、全体のトーンも似通っております。署内はイヤな空気に包まれます。本作もデフマンの遠回しな狙いがなかなか面白い。 さらに87分署シリーズでは御馴染のパターン、並行して別の事件も起こります。連続浮浪者襲撃事件、若造の強盗計画などなど。マクベインには珍しくこれらの事件が一つにまとまりますが、少しも巧妙ではありません。とんでもない偶然によってまとまってしまっただけなのです。 裏表紙には『犯人と刑事たちの熾烈な頭脳戦をスリリングに描く傑作』などと謳われていますが、ぜんぜんそんな話ではありません。事件の解決は青天の霹靂としかいいようがなく、偶然と失敗が織りなすしようもない物語です。「偶然によってプロットが動く」「キャラのマヌケな失敗」は読者を白けさせます。 本作では刑事がやたらと失敗します。登場人物の失敗にはストーリーをより面白くするものありますが、読者をイライラさせるだけのものもあります。本作では後者の色合い濃厚。服に引っ掛かって拳銃が抜けないとか、初歩的な尾行の失敗とかそういうのは止めて欲しいわけです。 そういう失敗はリアルに起こり得るのかもしれませんが、小説的にはそんなリアルを描かれても面白くない。 87分署シリーズはキャラのマヌケな失敗をしばしば目にしますが、本作に至ってはほぼ失敗しかしていない。 ですが、失敗はともかく、偶然に関してはマクベインはこれを自覚的に、むしろ誇張してみせているふしがあります。 本文内で市警本部長による遠回しな言及があります。「警察の仕事には偶然が多く、多くの事件が偶然無くしては解決しなかった」本作はまさにこの言葉の体現なんですよ。失敗続きでも偶然解決しちまうのさと。 本作はシリアスなものではなく、かなり遊びの要素が強いと私は見ています。 シリーズも中期に進み、マクベインも飽きてきて少し変わったことをしてみたかった。穿った見方をすれば書くのが嫌になりかけていて投げやりな気持ちだった。いずれにしても、作者本人はわりと醒めた目でこのシリーズを見ていたように思えます。 駄作認定される素質は充分の作品でしょうが、ジェネロ巡査のエピソードやマイヤーマイヤー事件などの細部、馬鹿馬鹿しさ、電話魔と似た空気感などなど、意外と好きな作品です。高得点はつけません。 |