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[ 警察小説 ] ロマンス 87分署 |
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エド・マクベイン | 出版月: 1998年01月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1998年01月 |
早川書房 2002年08月 |
No.1 | 5点 | 雪 | 2020/09/05 09:47 |
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イースターまでちょうど二週間となった四月五日日曜日、脅迫電話に悩む女優ミッシェル・キャシディが、主演するミステリ劇『ロマンス』そっくりの状況で通り魔に襲われた。彼女は幸いにも軽傷で済み、舞台は一躍マスコミ注目の的となる。が、その翌日ミッシェルは自宅で二十二箇所を切り刻まれた惨殺体となって発見された。脅迫者に怯えていた筈の彼女が、なぜ無防備にアパートの扉を開いたのか?
ほどなくしてアリバイを疑われた彼女のエージェント、ジョニー・ミルトンのオフィスから、血染めのナイフが発見される。刺傷事件はミッシェルに関心を集める為の狂言だったとミルトンは告白するが、殺人については完全に否定した。彼を二級殺人の罪で起訴すると息巻くネリー地方検事補に対し、ミルトンの動機に疑問を抱くキャレラ刑事は十日間の猶予を求め、劇団関係者に的を絞って独自の捜査を進めるが・・・。愛憎渦巻く演劇界の殺人に、バート・クリングのロマンスをからめて描く巨匠の会心作。 1995年発表。『悪(いたずら)戯』に続くシリーズ第47作で、ホープ弁護士シリーズ第十一作の『小さな娘がいた』とは同年の作品。前作で人質対策班の女刑事ジョージア・モウブリーが撃たれたときに知り合った、黒人女性の医官警視補シャーリン・クックとクリング君のウブなラブアフェアをサイドに据えて展開しますが、同じ頃デフ・マンが引き起こしたグローヴァー公園の暴動騒ぎが、彼らの恋路にも何度か影を投げかけています。 メイン事件はモジュラー形式ではなくこれ一本。問題の舞台劇『ロマンス』は前衛混じりの?な出来で、裏方のあんちゃんにも「あんな駄作をプロデュースできるなら、だれだってやれる(原文ママ)」と言われる有様。確かに芸術家気取りの脚本家がリキ入れてる割には、作中劇の方は全然面白いと思えない。何度もマクベイン映画で警官役やってる俳優登場させたりと、色々小ネタ挟んでテコ入れはしてるんですけどね。大枠の事件もリーダビリティはあるけど、内容も薄くそこまでの出来ではありません。この分厚さでこれは厳しいなあ。『ララバイ』から『寡(かふ)婦』までの三作はまだ読んでないけど、そのあたりで一応円熟期も終わるのかな。面白そうに見えたんで本書はちょっと期待してたんですが。 採点はギリ5点。まだまだ意欲作もあるようなので、ここらで奮起を望みたい所です。 |