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[ 本格/新本格 ]
一、二、三-死
墨野隴人シリーズ
高木彬光 出版月: 1977年10月 平均: 6.20点 書評数: 5件

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光文社
1977年10月

KADOKAWA
1979年01月

光文社
1998年02月

No.5 6点 クリスティ再読 2022/03/20 11:11
サクサク人が殺される「ドライブ感」みたいなものって、不謹慎ながら連続殺人モノ、とくに「童謡殺人」とか「見立て」系の一番の魅力のように感じる。本作も終盤畳みかけるようなリズムで殺人~真相暴露と続くので、そういった「連続殺人モノ」の面白さを味わえる作品なのは確か。

まあ、動機がイってる件とか、犯人特定ロジックが蓋然性レベルとか、アラを探せばキリはない作品だけども、駄菓子のおいしさみたいなものがある。いいじゃないの。

で、例の動機だけども、社会派、といえばそうかもよ(これはコト志に反している?)イマドキで言えば「反出生主義」とかそういうバリエーションがあるかもしれないな。高木彬光って「トンデモ」発想がある時があるけども、本作はそれがプラスの方向に働いている作品だと思う。

けど本作の関係者、ガチで全員ロクでもない連中ばっかり。全員氏ね!って言いたくなる...のはひょっとしたらネタバレ、かしら(苦笑)。

No.4 6点 2021/07/02 11:04
 「一、二、三――死」とドイツ語で書かれた不吉な手紙が、ある日一人暮らしの老婆・谷口菊子のもとに届けられた。これは殺人を予告する脅迫状なのか? 菊子は同じマンションに住む "陽気な未亡人" (メリー・ウィドウ)こと村田和子に、「自分の時価十億を越える資産を奪おうと、三人の縁者が私を狙っている」と打ち明ける。和子は旧知の謎めいた天才探偵・墨野朧人に協力を仰ぐが、第一の殺人はその直後に起こった!
 『黄金の鍵』以来の名コンビ、墨野朧人と村田和子が活躍する傑作本格長編推理。
 「小説宝石」昭和48(1973)年8月号~同年12月号まで、五回にわたって連載された墨野朧人シリーズ第二作で、シリーズ中でも評判の良い作品。この直前に連合赤軍事件を扱ったノンフィクション『神曲地獄篇』を執筆したためか、容疑者に〈暴力左派の学生〉の影がチラつく。初期長編『白妖鬼』では日本共産党が重要なファクターになっているそうだが、昭和47(1972)年2月のあさま山荘事件を経て、著者の捉え方がどう変化したかは少し興味がある。
 事件そのものは坂口安吾『不連続殺人事件』のような、手掛かりも証拠も見出だせない、誰にもできそうなとらえどころの無い連続殺人――と見せかけて、いくつかの消極的ヒントが振り撒いてある。だが、真に眼目となるのはその強烈な動機。高木は〈悪の造型〉に秀でた作家だが、本書でも終幕付近で明かされる「鬼の数え歌」の文句に乗って、一気に熱に浮かされるような結末が訪れる。
 「昔の探偵小説だけがもっていたおもしろさを、現代にどう生かせるか」を課題に、経済を始め各種要素を取り込んでいるが、今読むとそこまでの面白みは無く、特異な動機をプラスした採点は辛うじて6点。

No.3 5点 nukkam 2015/12/05 23:08
(ネタバレなしです) 1974年発表の墨野隴人シリーズ第2作の本格派推理小説です。角川文庫版の巻末解説でこのシリーズを「近代推理小説の新しい試練(社会派推理小説の隆盛と本格派推理小説の衰退のことでしょう)をへたうえで本格探偵小説を書いてみたらどうなるか」を実践した作品と自己評価しています。確かに本書は犯人当て本格派推理小説ではあるけれど社会問題やビジネスへの投資に関するやり取りが随所にあったりして社会派の影響も見られます。謎解きのロマンを減じていると感じる読者もいるかもしれませんが、時代が時代だけに派手な演出の本格派は書きにくかったのかもしれません。個性的な容疑者を揃えようとはしているのですがちょっと顔見せしたかと思うとしばらく登場しなかったりしてプロットのリズムが悪く、誰が誰だかわからなくなるのが辛かったです。墨野の推理をもってしても「見当がつかない」動機の異様さは印象的でした。

No.2 7点 測量ボ-イ 2014/10/19 18:13
本格色が強く、満足のいく作品。
結末は犯人の意外性というより、動機の意外性ですかね。
本作品で探偵役を務める「墨野ろう人」は海外某作家の安楽椅子
探偵の名前から来ていると思いますが、ユニ-クです。

No.1 7点 vivi 2008/04/24 02:22
墨野隴人シリーズの第2弾。
予告殺人&連続殺人を扱った作品。
多少まだるっこいところはありますが、
読んだ当時は、うぶなミステリ読みだったので(笑)
最後の犯人と動機には驚きました。

墨野の謎めいたところが、かなり気になってきますね。


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