皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格/新本格 ] 紫の恐怖 神津恭介シリーズ |
|||
---|---|---|---|
高木彬光 | 出版月: 1984年07月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
光風社出版 1984年07月 |
No.1 | 5点 | 空 | 2022/09/04 09:16 |
---|---|---|---|
収録された神頭恭介もの6編、ページ数を比較すると長い順番に並んでいます。
最初が、神津恭介一高時代に起こった事件の中編『輓歌』です。プロローグとエピローグは彼の理学博士称号祝賀会になっていますが、この構成にはなるほどと思わせられました。中間部分はたいしたことはないのですが。 『死せる者よみがえれ』のプロットは後に登場人物設定を変えて別の探偵役で長編化していますが、この短編の方は最初から秘密を明かしてしまっている上、表現が大げさすぎて、緻密に構成された長編版と比較するとがっかりです。『盲目の奇蹟』はタイトルがねえ。しかし放火事件のトリックはなかなかのもの。『蛇の環』は、似たアイディアを使った別の作家のかなり後の長編を2編思い出しました。『嘘つき娘』はごちゃごちゃした印象だけ。最後の『紫の恐怖』は集中最も古い作品で、おもしろい殺人方法が使われています。 |