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日本推理作家協会賞受賞作全集9 顔
松本清張 出版月: 1995年05月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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双葉社
1995年05月

No.1 7点 クリスティ再読 2025/09/29 21:47
双葉文庫のこのシリーズ、ちゃんと受賞対象をコンプした内容でコンパイルしてくれるから重宝するね。とくに松本清張の受賞対象は「顔」「殺意」「なぜ「星図」が開いていたか」「反射」「市長死す」「張込み」の6編。「顔」「張込み」の二作はトータルでも清張短編代表作扱いされるものだからねえ。だからもちろん、この二作については収録された短編集は多数。だけどやはり、受賞対象である講談社ロマンブックス(1956)の収録内容でやはり読んでみたいというものである。

倒叙中心にいろいろなミステリ書法をやってみているあたりが面白い。

「顔」倒叙:殺人するためのプロセスの段階で、企図が挫折するのがいい
「殺意」ホワイダニット。コンプレックスに焦点
「なぜ「星図」が開いていたか」プロビバリティの殺人
「反射」倒叙:乱歩「心理試験」の改良作みたいな雰囲気
「市長死す」一応パズラーかな。嘘のリアルな使い方。切れ味よし
「張込み」刑事視点での捜査小説

驚きの話だが、全会一致の圧倒的支持での受賞の時点では清張自身はまだ日本探偵作家クラブに入会していない!(授賞式での長沼弘毅の挨拶でこの件に触れている)この当時には松本清張=芥川賞作家、というイメージだったわけである。いやこうやって受賞作品の傾向を見てみれば、最初っからミステリマインド全開の作家なんだけどもねえ(苦笑)乱歩が「赤い部屋」で先鞭をつけたプロビバリティの殺人とか、やや理屈倒れな「心理試験」をよりリアルな尋問技術に応用したアイデアを軸にした「反射」とか、乱歩リスペクトが強く窺われる。実はこの回のライバルが「黒いトランク」だったにも関わらず、清張が圧勝したというのは興味深いよ。そのくらいにインパクトが強かったわけだ。

(まあでも「張込み」は望遠カメラの効果が映画では印象的なこともあって、映画の方がいいかな。「顔」はなんと言っても平野屋のいもぼう!食べたいw)


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