皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] 緋色の研究 シャーロック・ホームズシリーズ |
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アーサー・コナン・ドイル | 出版月: 1953年06月 | 平均: 6.44点 | 書評数: 25件 |
新潮社 1953年06月 |
講談社 1977年08月 |
パシフィカ 1978年02月 |
早川書房 1983年08月 |
河出書房新社 1997年09月 |
東京創元社 2010年11月 |
河出書房新社 2023年09月 |
No.25 | 9点 | Kingscorss | 2020/10/01 02:57 |
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えっ?なんか皆さんの評価低いですが、コレめちゃくちゃ面白かったですよ。(ハヤカワ文庫1983年版で読了)特に悪いところもないですし。
シャーロック・ホームズの第一作目というだけでも必読ですが、ホームズとワトスンが初めて会う所から、一緒にルームシェアする過程、ワトスンがホームズの事件解決譚を記録し始める経緯も含めて丁寧に書いてあり、とても興味深く拝読しました。 唯一、気分を害したのが犬のシーンです。まぁ、日本とは文化が違うし西洋では割と当たり前のなのでアレですが、かなり不快でした。 ちなみにハヤカワ版は翻訳もうまく、かなり読みやすくてキャラクターの描写もバッチリでした。ただ、気づいただけでも二箇所ほど誤植が… P101(13列目) 一と月 → 一ヶ月 p166(5列目) 態 → 熊 いや、一ヶ月はともかく熊を間違えるのはちょっとドン引きでした。(どちらも念の為にちゃんと英語原文で確かめました。) 細かいところは置いといて、ミステリファンなら必読中の必読でしょう!長編といっても200ページぐらいで、どちらかといえば中編ですのでサクッと読めます! |
No.24 | 7点 | バード | 2020/09/30 12:10 |
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本書はホームズ・ワトソンコンビの捜査と、犯人の過去話の二部からなり、個人的には後者が好きだったりする。復讐にいたるまでの心情が分かりやすく、物語として完成度が高め。
一方シリーズ第一作なだけあってキャラものとしては発展途上で、ホームズのキャラが好きな人には、その辺に物足りなさを感じる小説かも。しかし、ホームズ物に対して基本辛めの私的には、そこは減点対象でないです。 最後に、細かい点について二点。 まず本書のタイトルだが、後書きによると、元のニュアンスは「緋色の習作」らしい。しかし、「研究」の方がかっこいいので訳者さん、バッチグー。 次に、犬を殺したシーンについて。え、そんなあっさり殺すん?、罪悪感の欠片も無く苦笑した。 |
No.23 | 8点 | 虫暮部 | 2020/09/03 12:56 |
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ホームズのキャラクター、警部二人の鍔迫り合い、第二部で語られる来歴。知名度のせいでつい逆差別していたが、こんなに面白い作品だったとは。長過ぎないおかげで飽きる前に読み終わる点も有利に働いているし、ミステリとしての面白さとは違う気もするが、面白ければ何でもいい。
2章、“(ホームズが気ままに一人で弾くときは)ヴァイオリンを膝にのせて無造作に弾奏した”――そりゃ不可能ではないけれど……??? 思うにこれは演奏経験の無い人が抱きがちなイメージで、弦を押さえる左手が楽器の保持も兼ねていると言う誤解だ。実際には別の場所で楽器を固定しないと左手は弦の上を自在に動けない。本来は楽器の端を左の下顎と鎖骨で挟み固定する(左手を離しても楽器は落ちない)。それを踏まえてイメージすれば “膝の上” が困難な芸当だと判るだろう。 |
No.22 | 7点 | ことは | 2020/04/14 00:59 |
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今、これを新作で読んでも、評価できないけど、やはり古典としてどう評価するかですね。
私は、「ある作品を”面白い”と思い、それに元となる作品があったとしたら、元の作品に評価は移すべき」と考えているので、そんなに低くはできないです。 けど、どこまで「評価は移すべき」かは、難しい。 ホームズは、「冒険」以降の短編シリーズがあってこそ、後の評価があると思うし、とはいっても、ホームズのキャラは、ここですでに確立しているし……。 「冒険」の各話と比較して語ると……。 ミステリ的に「緋色」は、「冒険」の1話文しかないという感じ。 「緋色」は、ホームズ時代前、ディケンズetcの大長編時代をひきずっていて、キャラクター描写や因縁話など、いろいろな要素が入っている。 「冒険」は、枚数の制約から「事件とその解決」に特化したためか、無駄なくスッキリまとまった構成になって、そのため近代小説として短編ミステリの嚆矢となれたのだと思う。 では、「緋色」はつまらないかというと……。 ホームズのキャラ描写は大いにあるので、キャラ物としては、読みどころがある。 また、捜査の顛末は他作品より丁寧で、(快刀乱麻をたつというわけにいかないかわりに)ヴィクトリア朝の捜査小説の味わいがある。これは、プロファイリングなどを使った近代の捜査小説の直系の先祖ではと思うほど。クロフツの作品にも影響があるのではとも思える。 書いてるうちに、やはりひくくはできないなと思えるけど、8点はためらうので、7点。 |
No.21 | 8点 | クリスティ再読 | 2020/03/31 22:00 |
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そろそろドイルもしなきゃね...小学校高学年の頃には大人向けでほぼ全部読んでたな。なんせ子供だったから、本作だと中間部のユタの話が長かった...なんて印象を覚えているよ。大人になってから読んで意外に短いのにびっくりした。まあ子供はモルモン教なんてよくわからないからね、ホームズの出ない中間部は退屈だったんだろう。
久しぶりに読み直したことにはなるのだが、古風ではあってもストレートな面白さがある。初登場のホームズが魅力的に描けているんだもの。地口を言えば「ヒーローの研究」ということか。ミステリとして見たときに本作には「トリック」はないけども、「逆トリック」はあるんだよね。「犯人が仕掛けるトリック」ではなくて、「探偵が仕掛けて犯人をひっかけるトリック」を昔「逆トリック」と呼んでいた覚えがあるんだけど、最近この言葉を聞かないように思うんだ。 いわゆる「本格」概念から見ると、犯人が仕掛けるトリックなら、手がかりをうまく仕込めば「読者も競えるフェアさ」という理念を満たせるんだが、この「逆トリック」はフェアさを満たせない。その代り、名探偵のヒーロー性を際立たせることにはなるわけで、実のところホームズ譚にはこの「逆トリック」が極めて印象的に使われた作品が多いんだよね。これが魅力なんだ。 だからいわゆる「本格」に慣れた読者がホームズを読んで、不満に思ったりするのは、ホームズよりもずいぶん後に成立した「本格」概念のメガネで、逆にホームズを裁いていることが多いように感じるんだ。評者はそういう読み方に強い違和感を感じる。後付けの概念で裁断するのではなくて、ホームズにはホームズの良さを楽しんで見つけていくような読み方を、評者はしていきたいと思うんだ.... まあ、とりあえず第1作。なるべく順番に読んでいく方がいいのかな。ヴィクトリア朝を舞台とした、上は王族から下は貧民街までの、トータルな社会のドラマを楽しんて行くことにしよう。 ぼくは今それを教えてもらったから、こんどはさっそく忘れるように努力しましょう。(中略)熟練した職人は、頭脳の屋根裏部屋に何をつめこむかについて、最新の注意をはらうわけです。 この克己心がダンディズムというものだ。かくありたい、なんて評者だって憧れるんだよ。 |
No.20 | 5点 | imnottheonlyone | 2019/06/02 10:02 |
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古い作品なせいで気になるところもあるけど、細かいことに目くじら立てなければまぁ楽しめた。 |
No.19 | 6点 | 弾十六 | 2019/05/19 22:02 |
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初出Beeton's Christmas Annual(1887年11月刊行、挿絵David Henry Friston)。単行本Ward, Lock & Co. London 1888年7月出版(挿絵Charled Doyle)。新潮文庫(1977年10月15日 39刷)で読みました。河出文庫2014の注釈も参照。やはり延原訳の会話は良いですね。生き生きと自由な感じ。
一気に引き込まれる冒頭からの流れ。変な男と知り合い、その正体が徐々にわかる描写が素晴らしい。どこが「奇怪な事件」なの?はミステリを読みすぎた現代人と当時の読者とのギャップですね。途中、ホームズによる謎の解明が少しずつあり、ワトスン(と読者)を置いてけぼりにしない構成が上手。展開も起伏に富んだカラフルなもの。第2部は、かったるい、という印象。作者の無茶な書きっぷりが興味深いだけです。(読み返すまでずっとこの部分も一人称だと思ってました) やはり第2部が盛り上がらないのが欠点。悪党二人の描きわけも不十分。でも第1部は非常に良く出来ている、とあらためて感心しました。 トリヴィアは今までさんざん全世界のシャーロッキアンがやってる事なので、手を抜いて、あえてほとんど調べず、気になった項目だけを記しておきます。原文は参照してません。一番詳しい注解は河出の単行本(1997, Oxford版1993による注釈約390項目。私は持ってません)ですが文庫(2014)は注をかなり省略(68項目)してるのでご注意。次いでKlinger版2006(注釈約270項目, ガソジーン版299項目?)が良いらしいが翻訳は出てません。 事件発生はベアリンググールド説で1881年3月。以下の現在価値換算は英国消費者物価指数基準1881/2019で120.58倍です。 「緋色」(scarlet)という語は『緋文字』1850と関係あり?読者にそーゆー「オトナ」のイメージを喚起したかったのか? p7 むこう9ヵ月の休暇: この時点でワトスンの兵役は継続中だった?(第1部のサブタイトルで「元陸軍軍医」となっており1887年には除隊していることが明示されています) p7 一日11シリング6ペンスの支給額: 現在価値10058円。一日でこの額なら結構なもの、と思うのですが、毎日ホテル暮らしは無理でしょうね。(ホテル代は1日いくらだったのか) p9 いい部屋(...)半分持ちあって: 当時ルームシェアは普通のこと? p16 強い煙草(...)シップス: 水兵たちの好んだ強い煙草(河出) p16 ブルドッグの仔を飼っている: かんしゃく持ちという意味らしい。 p17 『人類の正しき研究は個人を見ること』: by アレキザンダー ホープ (河出) p27 一対千の賭け: ワトスンらしい無謀なレート p30 ポウのデュパン: S.H.「きわめて精薄な見え(...)驚異的な人物じゃないよ。」 p30 ガボリオウのルコック: S.H.「あわれな不器用ものさ。」 p30 好きな人物をふたりまで: 当時の代表的な探偵は上記の二人。 p36 僕には関係ない(…)解決したってグレグスンやレストレードの功績になる(…)僕は役人じゃない: ホームズの愚痴。名をあげるのに興味は無いはずなのに…と違和感があった場面なのですが、よく考えると諮問探偵「業」です。公的な捜査の手伝いをしても全然儲からないよ、と言うのが裏の意味か。 p43 ばら銭が7ポンド13シリング: 現在価値122476円。 p45 まっ赤な字でただ一語[血で書かれた文字]: 古典的なイメージの場面。最初の例は『聖書』? 類似の有名な犯罪例はあったのか。あとの方で米国に例があったような書きぶりですが… p54 半ソブリン金貨: 1/2ポンド。ヴィクトリア女王のYoung Head、純金、4グラム、直径19mm。現在価値8441円。巡査にとっては割りの良い手間賃。 p56 名刺: 当時の名刺はどんなデザインだったのか。 p56 犬だが狼ではない: 犬は嗅ぎ回るもの、狼は悪い奴。よく使われる言い回しなのかも。 p57 コロンバインの『新流行歌』(Columbine’s New-fangled Banner): “The Star-Spangled Banner" was recognized for official use by the United States Navy in 1889. (wiki) 作詞作曲は古いが正式採用は意外と新しい。 p59 二対一の賭け: ホームズの賭け率は慎重。 p61 音楽についてダーウィンが[主張していること]: 読んでみたいですね。 p64 古い軍用拳銃(my old service revolver): 描写からポケットに入る大きさ?1872-1880の新しい英国陸軍拳銃はJohn Adams (Strand, London), calibre .450 Centre Fire M1872 British Army Mark III。このリボルバーは官給ではなく自費支弁らしいので休暇中でもワトスンが所持していて当然ですね。全長292mm重さ1キロ少々でポッケに入れるには大きめ。ただしoldを文字通り捉えるとBeaumont-Adams Revolver M1856の方が適当か。こちらなら元々442口径パーカッション式だったのを1868年ごろ450口径センターファイア式に改修した奴だと思います。デザイン及びサイズは上と同様。【この項目だけガッチリ調べて記載しました】 p71 ドイツ系(...) 社会主義: テレグラフ紙の記事。革命家と毒殺魔(ブランヴィリエ夫人など)とダーウィンとマルサスが同列に語られる… p73『ばか者に感心する大ばか者は絶ゆることなし』: 何かの引用。 p74 お駄賃1シリングを1人ずつに渡し: 現在価値844円。イレギュラーズへの日当。 p81 ふたりで週14ポンド: 下宿代。現在価値23万6千円。月額にすると約百万円。凄いお大尽ぶり。これなら少々羽目を外しても… p85 ハリデエ特殊ホテル: 原文Halliday’s Private Hotel、民泊的なものか? p115 モルモン教徒: ドイルは何故この教団のネタを選んだのか。 p135 古い散弾銃: 当時(1860年)ならパーカッション式のものが一般的。 p144 金貨で二千ドルと紙幣で五千ドル: 1860年当時の最高額面20ドル金貨でも100枚、全重量33.4kg。紙幣の方は100ドル札が最高額面。米国消費者物価指数基準1860/2019は30.79倍、7000ドルの現在価値は2373万円。 p145 拳銃: 当時(1860年)のリボルバーで有名どころのみ。Colt M1851 Navy他同社製多数, Kerr 1859, Lefaucheux M1858, LeMat M1855, Remington M1858, S&W Model 1 1857, Starr M1856, Tranter M1853。南北戦争前夜は色々兵器が開発されました。 なお、ワード ロック社はこの原稿を版権買取として25ポンドで手に入れました。英国消費者物価指数基準1886/2019は128.9倍、現在価値45万円です。ど新人としては普通レベルなのかな。 (追記: 2019-5-20) 関矢みっちょんさん主催のホームズのサイトshworld.fan.coocan.jpの『四つの署名』のところを見たら驚くべき情報が!ドイルによる戯曲『暗黒の天使たち』(1890年10月頃完成、未上演)は『緋色』のルーシー フェリア×ワトスンねた(ホームズは登場しない)だと言う… ううむ。ドイルにとっても第2部は消化不良だったのか。 |
No.18 | 5点 | レッドキング | 2019/05/16 17:00 |
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あらゆる小説の中で最もカッコいいタイトルの一つ。かつ記念碑的なホームズ処女作。この二点だけで5点献上。
でも手元にあるのは延原謙という訳者の昭和二十八年刊行版。「ふふふ、驚いてらあ」「おもしろいですな」「さんざ悩まされましたが、私はもうすっかり筋道がわかったです・・・」 シャーロック・ホームズに、こんな日本語セリフを吐かせてはいかんだろう、やっぱり新訳で読まんと。 |
No.17 | 8点 | mediocrity | 2019/04/18 06:25 |
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シャーロックホームズのデビュー作。100年以上前の本だが思ったより読みやすかった。
前半はホームズの紹介の後、ダイイングメッセージつきの殺人事件が起きる。そして意外な形で犯人確保。 さあ謎解きの時間だ!と思ってたら、突然アメリカに飛ばされて茫然。なんだかよくわからない別の話が延々と続くのでなかなか読む気が起きなかったのだが、読み進めていくとこれが意外と面白い。 それにしてもモルモン教の扱いがすごい。だんだん表現が直接的になってきて2回ほど吹き出しましたわ。 正直ミステリとしてはそれほどでもないと思うが(挿入話が長すぎてあまり前半の内容を覚えてなかったのもあるけど)、大胆な構成で小説として非常に面白かったのでこの点数。 |
No.16 | 10点 | そ | 2018/10/28 20:14 |
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ホームズ初めての出番。
中学の時ミステリの扉を開けて初めて見たもの、今でも探偵の中でホームズが一番好き。 |
No.15 | 7点 | 青い車 | 2016/12/01 18:51 |
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意外と本サイトでは辛めの採点が多いですね。僕はホームズ、ワトスンふたりの出逢いとその最初の活躍が読めた感慨もあり、クオリティはともかくかなりのお気に入りです。事件の内容は血文字にしろ、足跡にしろ本当に取るに足らないものです。しかし、ホームズが独自の思考をこれでもかと披露するワトスンとのやりとりにむしろ魅力を感じたし、そこが真の読みどころだと主張したいです。 |
No.14 | 5点 | nukkam | 2016/09/06 19:00 |
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(ネタバレなしです) 英国のサー・アーサー・コナン・ドイル(1859-1930)は本業は医者でしたが商業的に苦しかったため、冒険小説、歴史小説、怪奇小説、SF小説など幅広いジャンルの作品を精力的に執筆し、ついには専業作家へと転身しています。その作品中最も有名なのが世界で一番有名な探偵シャーロック・ホームズのシリーズでしょう。全部で4長編と5短編集(56短編を収録)が残されており、21世紀になった今なお多くの作家がホームズを主人公にした作品(パロディーも含む)を書いているなどミステリー界に巨大な足跡を残した偉人です。本書は1887年発表の記念すべき最初のホームズ作品となった長編です。中編に近いぐらいのボリュームで、しかもホームズの活躍場面が二部構成の物語の前半部だけという点に物足らなさを感じる人もいるでしょうが(後半部の最後にもちょっとだけ登場しますが)、それでもホームズの名探偵らしさは十分鮮やかに描かれています。後半部は冒険ロマン小説風になっていますが小説として面白いかはともかく、ここでのモルモン教徒の扱い方は現代だったら(宗教団体から)訴えられたんじゃないかなと思えるほど過激に描かれていますね。 |
No.13 | 5点 | ボンボン | 2016/01/12 19:24 |
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「不朽の名作」の採点は難しい!
歴史的価値を無視して、単純な感覚だけで言えば、事件の状況や推理などでかなり穴が目立つことに驚いた。また、第1部と第2部の雰囲気がかけ離れたものになっていて、どちらもそれぞれ良いのだが、よくもまあこれをつなげたなという感じ。 こういったことは、世界中のシャーロキアンによって研究され尽くしているので、何も言いようがないが。 ホームズは、これまで子供向けの「まだらの紐」しか読んだことがなく、テレビや映画、他の読み物での引用などからどんどんで入ってくる、人が再構築したホームズ像しか知らなかったので、今回ちゃんと自分で本物を体感できたのは、とてもよかった。 しかし、どうしても耐えられないのは、あの挿絵。あれ自体が大変価値あるものだということは承知しているのだが、ホームズもワトスンもルーシーもホープも、みんな活き活きとした若者のはずなのに、「ドリトル先生」の挿絵並みに怖い・・。 ※河出文庫「緋色の習作」を読んだ。 |
No.12 | 2点 | 斎藤警部 | 2015/11/22 09:14 |
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小学生の頃、ホームズには普通より長いのがあるとどこかで知り、「深夜の恐怖」なる作品を読んでみたらこれが普段のホームズとは微妙にちがう間延びした退屈感。中学か高校の頃あらためて創元推理文庫の「緋色の研究」で仕切り直しましたが、やはり全くのめり込めずダメでした。やっぱホームズは短篇に限る、サンマは目黒に限る、と思ったものです今もまぁ思います。構成の妙は特筆すべきと思います。
でも思い出してみればルパン物は逆に長篇(ジュブナイル版)ばかり読んでたなあ、小学生ん時。 |
No.11 | 5点 | 蟷螂の斧 | 2015/06/17 16:55 |
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世界ミステリー史的なものに興味を持ち始め、ミステリー黄金期やそれ以前の主だった作品を順次読み始めたところです。ドイル氏の作品では「緋色の研究」(1887)「バスカヴィル家の犬」(1902)を選びました。ホームズものについては、子供の頃読んでいないので、こだわりとか思い入れなどがありません。また短編もあまり好みでないので、手にすることがありませんでした。既読は「冒険」①と「事件簿」➁の2冊のみです。①は東西ベスト3位という人気は本当?、②はソア橋の本邦作品への影響調査という意図からのものでした。本作はホームズおよびミステリーを広めた最初の1冊という位置づけでの読書です。印象としては、やはり著者は短編向きなのかな?ということですね。動機を2部で語り、あえて長編にしたといった感じです。気になった(違和感)のは宗教は別として、犬の毒見シーンとホームズが変装を見抜けなかった点(一般人が気がつかないことを見抜く能力をもって、それはないでしょう!?(笑))です。島田荘司氏の作品に本書の構成パターンが良く使われていることが分かり勉強になりました。 |
No.10 | 5点 | ボナンザ | 2014/04/08 21:25 |
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記念すべきデビュー作。
過去のストーリーのやるせなさや、タイムリミットの演出など中々に今読んでも古さを感じない。 |
No.9 | 6点 | TON2 | 2012/11/04 10:55 |
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シャーロックホームズの処女作。ホームズとワトソンの出会いから描かれています。悲劇性いっぱいの復讐譚です。アメリカ・ユタのモルモン教徒がずいぶん悪く書かれていて、今の時代なら心配です。推理とともにホームズの性格を楽しみました。 |
No.8 | 7点 | おっさん | 2011/06/05 18:03 |
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ポオに続いてドイルを読み返そうシリーズw に着手します。
ホームズ譚は、わが心の古里。繰り返し読んだ、延原謙訳の新潮文庫版に愛着がありますが、今回は、光文社文庫の<新訳シャーロック・ホームズ全集>をテクストにします。積ん読本の消化が狙いw ただし、この日暮雅通訳は、短編集と長編の配列が変則的なため、原作の刊行順に整理して、読みなおしていきます。 というわけで、まず1887年に Beeton's Christmas Annual に掲載された本作。 傷痍軍人のワトスンが変わりもののホームズと出会い、ベイカー街221B で共同の下宿生活をスタートさせるが、相手の職業が、警察のコンサルタントも務める「諮問探偵」であったことから、たまたま発生した空家の怪死事件(外傷のないアメリカ人の死体、壁に残された謎の血文字)に関与していくことになる――という、おなじみの一席。 謎を解き犯人逮捕にいたる、ロンドン篇の第一部(ワトスンの回想録)と、一転してゴールド・ラッシュ以前のアメリカ西部を舞台に、モルモン教徒による王国建設を背景にした、サスペンス調ウエスタンになる第二部(第三者――出版代理人のドイル?――による物語化で、最後にまたワトスンの回想録で締めくくられる)で構成されているのも、ご存じの通り。 ポオ(バディ視点で探偵キャラを描く黄金パターン)とガボリオ(謎解きに「犯人の物語」を付与することで長編サイズをもたせるプロッティング)のブレンドで、オリジナリティはありませんし、構成、推理、フェアプレイ、もろもろの面で前近代的。 しかし、簡潔な文章と的確な人物スケッチ、そして力強いストーリーテリングは、小説全体に活気を与えており、お話の流れを承知していても、読み返すのがじつに楽しかった(日暮氏の訳文も、きわめてクリアな印象を受けます)。 思わず、不朽の名作とか言ってみたくなりますよ。 そんな自分を戒めるためにw 幾つか気になった点を書きとめておきましょう(露骨なネタバラシはしませんが、万一、未読の向きは、以下、スルーされたほうが良からん)。 第一部では――犯人の正体が、あなた誰? 的な“群衆の人”であることは、最初の殺人が、大都会における“職業利用の犯罪”として描かれているだけに、必ずしも欠点ではありませんが、その趣向が次の殺人に活かされていないのは不満(それを改良したのが、エラリー・クイーンの1932年のあの名作か)。 そして何より、犯人がベイカー街221B に誘い出されて逮捕されるプロセスが不自然。だって、以前に新聞広告による罠(仲間の「女装」のエピソードを想起されよ)が実施された、同じ場所なんですから・・・。 第二部のほうは――根本的な問題として、モルモン教という実在の宗教の描き方があります。当初、いろいろ問題のあった宗教にせよ、ここまで邪教(“正統的”キリスト教徒の偏見がコワイ)あつかいするのであれば、名前は変えましょうよ。指導者も、ブリガム・ヤングではなく、ブリガム・キングにするとか。 あと、邪教の神秘を匂わす「密室」の謎が、放置されたままなのは、いかがなものか。そう、カウントダウンする警告の数字の問題です。誰がどうやって出入りして、メッセージを残したのか? つまらなくてもいいから、なんらかの合理的な説明は欲しいですよ(内部の使用人の手引によるものかな・・・とは思いますが、さて?)。 でも。 採点は、なんだかんだいって、エバーグリーンの魅力には勝てずw 7点からのスタートとなります。 |
No.7 | 7点 | E-BANKER | 2011/01/03 13:07 |
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名探偵シャーロック・ホームズ初登場の記念すべき作品。
小学生時代にジュブナイル版で読んで以来の再読。 ~異国への従軍から病み衰えて帰国した元軍医のワトソン。下宿先を探していたところ、同居人を探している男を紹介され、共同生活をおくることになった。下宿先はベーカー街221番地。相手の名はシャーロック・ホームズ。2人が始めて手掛けるのは、米国人旅行者の奇怪な殺人事件。その背後に広がる、長く哀しい物語とは?~ プロット云々とうよりは、ホームズとワトソンの出会いや、探偵方法に対するホームズの考え方や姿勢など、それ以外のパートがなかなか興味深かった印象。 本作の白眉は、やはり「動機」について十二分にスポットを当てた「第2部」でしょう。ミステリーが単なる謎解きではなく、一つの「文学、読物」なのだという作者の強い意志を感じさせられます。 まぁ、ミステリー好きであれば、絶対に一度は接するべき作品という扱いでいいでしょう。 作品中の一場面、ホームズがデュパンやガボリオをこき下ろすシーンは、御手洗潔がホームズをこき下ろすシーン(「占星術殺人事件」)とぴったり符号するんですねぇ・・・ |
No.6 | 6点 | isurrender | 2010/02/12 03:13 |
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ミステリの古典の一つ
やっぱりホームズが世界中の子供たちを ミステリの世界へ導いてるんだなぁって思う |