[ SF/ファンタジー ] 毒ガス帯 チャレンジャー教授シリーズ |
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アーサー・コナン・ドイル | 出版月: 1971年02月 | 平均: 4.00点 | 書評数: 3件 |
![]() 東京創元社 1971年02月 |
![]() 東京創元社 1971年02月 |
No.3 | 3点 | レッドキング | 2022/01/15 17:15 |
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チャレンジャー教授シリーズ第2~4弾。
「毒ガス帯」 有毒エーテル通過による全生物絶滅・・からのどんでん返し。 「地球の悲鳴」 地球巨大ウニ(!)説。これ元ネタに膨大な大ぶろしきSF展開ができるんじゃない? 「分解機」 これ元ネタに「ハエ男」展開が可能なんだな・・・ 何かSFらしくなっちゃって「失われた世界」お伽噺感が薄まっちゃったな。いずれにしても、「実はとんでもトリックによる幻影だった」ならばミステリだったんだけどね。 |
No.2 | 5点 | クリスティ再読 | 2020/10/24 20:54 |
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チャレンジャー教授モノの中編「毒ガス帯」に、短編「地球の悲鳴」「分解機」を収録した短編集。「失われた世界」よりもSFらしさは高いけど、科学考証はダメダメなのがドイルらしい。
「毒ガス帯」は地球が宇宙空間で有毒ガスが漂う地帯に突入し、人類全滅か?という話。スペクトルのフラウンホーファー線に異常が起きたのを知ったチャレンジャー教授は、毒ガス帯突入を予測して酸素ボンベを仲間に持ってこさせて、「失われた世界」のクルーと妻の5人で突入に備える。バタバタと毒ガスを吸って倒れる人々。翌朝毒ガス帯を抜けたらしく、生き延びたチャレンジャーたちは、死体だらけのロンドンを行く.... まあ、フラウンホーファー線のにじみから、なぜ毒ガス帯突入を推測できるか、とか説明しないしね、「エーテルが有毒になる」は設定、でいいんだけど、酸素を吸ったら生き延びれるのはレベルが違うから、なんでそんなことが推測できるのか意味不明。科学性が薄いのはそうなんだけど、この毒ガス、実は致死性がなくてみな次の日には復活してしまう.....う~ん、ドイルさん、何かあったの?次のチャレンジャー物は心霊学を扱った「霧の国」だからねえ。オカルト志向の方がSFよりも強いんじゃないかな、なんて思う。 「地球の悲鳴」はガイア説みたいに、地球が生命体で...という設定で、地殻に深く穴を穿ったチャレンジャーが、地球に針を刺してみて「地球に人類がいることを知らせてみる」という話。ホラ話みたいな面白さがある。この本ではこれがベスト。 「分解機」は内容的にはショートショートと言われても仕方ないくらいの話。科学を悪用する科学者をチャレンジャーがお仕置きする話で、つまらない。 |
No.1 | 4点 | Tetchy | 2016/03/11 23:19 |
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『失われた世界』で初お目見えしたドイルのホームズに続くシリーズキャラクター、チャレンジャー教授が登場する中編の表題作と「地球の悲鳴」と「分解機」の短編2編が収録された作品集。
チャレンジャー教授物は初めて読んだが、これはドイルの芳醇な空想力が遺憾なく発揮されたトンデモ科学読み物とでも云おうか、本書はドイル自身が愉しんで書いているような節のある作品が収録された作品集である。 宇宙に漂う有害なエーテルが地球を通過することで地球上の生命体が絶滅の危機に陥る「毒ガス帯」は毒ガスの迫りくる迫真の描写と通過後の死屍累々の山を彷徨う暗澹な風景が印象的だが、結末の呆気なさは今日のエンタテインメント小説としては凡作となるだろう。 さらに「地球の悲鳴」では宇宙のエーテルを地球は内部に注ぎ込み、活力を得ていると教授が持論を述べ、また「分解機」でもエーテル波が引き合いにされる。とにかく当時はこの光が伝播するための媒質だと思われていた物質が小説家の想像力をたくましくさせ、勘ぐれば全てのトンデモ理論はエーテルを引き合いに出せば信憑性が増すと信じられていたのだろう。特殊相対性理論などで21世紀の現代ではもはや廃れた理論であるだけに隔世の感があった。 とにもかくにもアイデア自体はやはり一昔、いや二昔前の空想物語であることは否めない物の、書きようによっては物語としてはもっと広がりが出来たように思え、導入部の衝撃に比べて結末が尻すぼみであるのは勿体ない。最も長い表題作は地球上の全ての生命が死に絶えた世界を舞台にドイル自身が展開を持て余したようにも思える。唯一一番短い「分解機」が皮肉な結末と物語として成立しているくらいだろう。 しかしシャーロック・ホームズではホームズの観察眼と類稀なる推理力で実存レベルでの犯罪の謎を解き明かすのに対し、チャレンジャー教授では教授の破天荒な理論から物語が展開する趣向が取られている。しかし繰り返しになるが物語としての出来はやはりホームズの方が上。チャレンジャー教授物は既にホームズシリーズ発表後の作品であったため、魅力的な謎を現実的な話に落とし込まなければならないミステリを書き続けるのにうんざりしたドイルがとにかく面白い思いつきを物語にしたくて書いた作品群ではなかろうか。それは物語のそこここに性急さが目に付くことからも判断される。まあ、売れたからこそできる作家の我儘と捉え、好意的に読むこととしよう。 |
アーサー・コナン・ドイル
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