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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
シャーロック・ホームズ最後の挨拶
シャーロック・ホームズシリーズ
アーサー・コナン・ドイル 出版月: 1955年04月 平均: 4.81点 書評数: 16件

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新潮社
1955年04月

早川書房
1981年12月

光文社
2007年04月

東京創元社
2014年08月

河出書房新社
2014年09月

KADOKAWA
2018年05月

No.16 5点 虫暮部 2022/02/16 13:45
 「ウィスタリア荘」、“粘土に牛乳をぶっかけたような色なんです” とは、悪夢を見そうな素晴らしい表現だ。「ブル-ス=パーティントンの設計書」、マイクロフトは事態収束の手段が非合法になりかねないと予測して弟に押し付けたんだな。「悪魔の足」、ミステリと言うよりホラーだけど好き。「瀕死の探偵」「最後の挨拶」は事件の終幕だけを描く新機軸が工夫なんだか手抜きなんだか。

No.15 6点 レッドキング 2021/12/25 12:39
「ウィステリア荘」 「赤毛連盟」タイト版を利用して企図される悪漢成敗と歴史奇譚。
「ボール紙箱」 婦人に送付された男女の片耳、滾るような愛憎譚の真相は・・・
「赤い輪」 「赤毛連盟」タイト版「ウィステリア荘」の更にタイトな導入から展開する悪漢成敗劇。
「ブルース=パーディントン設計書」 死体移動トリックと国際スパイ活劇の見事な結合。
「瀕死の探偵」 凶悪犯罪者達の写真をアイドル写真か聖画のように壁に飾るホームズ。
「フランシス・カーファクス婦人の失踪」 失踪した貴婦人、閉じ込められたはずの棺には別の屍体が・・・
「悪魔の足」 同室の兄妹3人が発狂・変死し、更に4人目も・・さすがのコカイン愛好ホームズでも・・・
「最後の挨拶」 ワトスンに向けたホームズ最後の謝辞は、世界大戦という一つの時代の終わりと始まりを予感する
        暗く情熱的な覚悟であった。
       「風が吹き始めたね、ワトスン・・・ 身を切るような冷たい風だよ・・・」

No.14 4点 バード 2021/11/06 14:56
私の既読短編集『冒険』、『帰還』、『回想』に比べて、ミステリの華であるトリックが雑な話が増えてきており、なんなら無い話も多い。率直に言うと物足りない短編集だったね。主語が大きいかもしれないが、非シャーロキアンのミステリ好きならそう感じる人は多そう。

と少し辛くなったが、5点以上付けた話は結構面白かったです。

<各話の書評>

・ウィステリア荘(5点)
ホームズものに精巧な組み立てなどは期待していないので、雰囲気が良ければOK。無関係な紳士が奇妙な体験と称してホームズ達(と読者)を事件へと誘うので、出来の良い怪談の如く引き込まれた。

・ボール箱(4点)
あまりコメントすることが無い微妙なお話。

・赤い輪(5点)
この話は好きな方。下宿人の入れ替わりは予想通りだけど良く言えば奇をてらわず王道の話でそれなりにまとまっている。ひねりが無さすぎる気もするけどね。

・ブルース・パティントン設計書(6点)
単純に好きな話だったので本書の話の中で最高点。犯人像の推理には説得力もあり一応ミステリとしての体裁がとれている(?)のが良し。

・瀕死の探偵(3点)
探偵が仮病使って犯人がアホみたいな自供。くだらない。

・フランシス・カーファクス姫の失踪(5点)
本書で二番目に好きな話。推理要素は無いが、先が気になるハラハラ感があり冒険もの的な良さは十分。

・悪魔の足(4点)
謎の演出は良かったが、謎を作り出した手法が特殊な植物というのが好みでない。不出来というよりはあくまで私の琴線に触れなかったという感じかな。あくまだけに・・・・・・。

・最後の挨拶(4点)
ホームズの掲載順について詳しくないのだが、これも区切りの話なのかな?普段と違う空気の話だったという位しか感想が出ない。

No.13 6点 クリスティ再読 2020/11/08 20:30
第四短編集。何か皆さん評判悪いけど、評者嫌いじゃない。「ブルース・パティントン」は推理もなかなか冴えていて、職業スパイを絞り込むくだりや、本当のスパイを巡る心理的な辻褄なども、よくできていると思うし、「ウィスタリア荘」で「堅物のエクルズ氏に近づいた理由」というのも、なかなか皮肉(というかイギリス人の自惚れ?)。この短編集では、国際的な広がりの中で事件が起きている、という印象を強く受ける。大概の事件が海外に絡んでいるんじゃないかな。

今回評者がとくに面白い、と特に思ったのは「フランシス・カーファックス姫の失踪」。海外のリゾート地で過ごす、金持ちで身よりの少ない独身女性をターゲットにして、うまく「失踪」させてその財産を奪取する「犯罪ビジネス」をホームズが暴く話で、この狙いのリアリティ、死体の始末の仕方など、ほぼ社会派的な面白さのように感じる。まあだからいかにも「市井の事件」の感覚の「ボール箱」だって、「リアルな事件」としての取り柄はありそうだ。

で「最後の挨拶」だけど、皆さんご指摘の様に客観三人称の叙述で、あたかも舞台劇を見ているかのよう。三人称が徹底しているので、心理描写は皆無。だから「マルタの鷹」みたいな三人称ハードボイルドに通じる面白さも感じるところがある。言うまでもないことだけど「ワトスン」の発明が、ホームズ以上のドイルの大発明なのだろうけども、この「ワトスン」なしで何ができるか?ということでもあるのだろう。「事件簿」はホームズ一人称作品もあるしね。

まあだから、ホームズ=「冒険」で確立した「ホームズっぽさ」だと思い込んでしまうと、その後の展開を詰らなく感じるのかもしれない。それよりも、その後もそれぞれにそれぞれの面白さを見つけて楽しむのことお勧めする。

No.12 6点 Kingscorss 2020/10/09 00:47
過去三つの短編、『冒険』、『回想』、『帰還』に続く短編集。ハヤカワ版で読了。
『回想』で入るはずだった”ボール箱”のエピソードがここに入ってます。時代的に他のエピソードとちょっと毛色が違いますが、昔の英語版でもこの『最後の挨拶』に入ってるらしいです。ただ、最近の英語版だと『回想』に入ってるらしい… まぁ細かいところは気にせずに読みました。

内容に関しては、今までで一番ミステリー要素や面白さが薄い… 個人的にですが、兄のマイクロフト(本当このキャラいらない…)の後付設定とかちょっとドン引きしました。やりすぎ。あるエピソードでは”完全にノックスの十戒破ってるやん!”とつっこんでしまった… 絶対このエピソード(ネタバレなので度の話とか何条とかは書きません)のせいでノックスの第〇条出来たんだなぁと想像…

ただ、最後のエピローグの話は叙述入っててびっくりしたのと、読後感的にちょっとしんみりしました。(*´∀`*)

完全にファン以外は面白味が薄くて、イマイチ感が半端ないですが、それでもホームズシリーズというだけで読む価値はありますので!

No.11 7点 青い車 2017/02/25 15:30
 『赤毛連盟』や『まだらの紐』クラスの決定打がなく、これまでのみっつの短篇集より大きく見劣りするのは確かです。それでも、『ウィステリア荘』ではオーソドックスながらそこそこ楽しめ、『悪魔の足』ではホームズの人情が垣間見えるなど、全体を通してもさほど悪い出来とは思いません。第一短篇集の衝撃と比べるせいで不当に評価を落としているきらいはないでしょうか?あと、光文社版ではシドニー・パジェットによる挿絵も見ることができお得です。

No.10 6点 nukkam 2016/08/17 13:09
(ネタバレなしです) これまでのホームズ短編集は基本的に1年間に集中的に書かれた作品をまとめたものですが、第一次世界大戦の影響があるのかドイルの熱意が薄れたのかよくわかりませんが執筆ペースが極端に遅くなり、1917年発表の第4短編集の本書に収録された短編は1908年から1917年の長い間にぽつりぽつりと書かれた作品です。また「ボール箱」(1893年)という短編は本来は「シャーロック・ホームズの回想」(1893年)に収められるはずなのがドイルが禁じたため本書でようやく陽の目を見ています(厳密には米国版の「シャーロック・ホームズの回想」の初版にも収められましたがドイルが抗議して2版からは除外されました)。ミステリー的には目新しいものはありませんが「瀕死の探偵」や「最後の挨拶」などはかなりの異色作として印象に残ります。

No.9 4点 2016/07/28 10:04
どの作品も物語として退屈で、捻りもほとんどない。

突然、依頼が持ち込まれ、ホームズはすぐに現地に赴き、あっという間に奇想な話に急展開したり、とんでもない方向に進んだりする。
また、『緋色の研究』みたいに、主たる人物の過去の因縁話に及び、そして結びへと突き進む。

2,3の作品は、こんなホームズ物らしい定番の展開なので、安心感があっていいのだが・・・。
それでもせいぜい5,6点レベル。
全体としては『冒険』の1/3程度の面白さか。

ひとことで言えばネタ切れ。作者からすれば、ネタ切れではなく方向性を変えただけかもしれないが、今までが今までなので、読者にしてみれば期待を裏切られた感は当然ある。
まあ先入観なしに読めば多少は楽しめたのかもしれない。

No.8 5点 斎藤警部 2015/06/04 19:16
薄味の感はありますが、、異色の面白さが全篇通して目を引き、長きに渡り間を置いて書かれた作品達ならではの内容の散らばり加減も手伝って、そう退屈って事も無い。
最後の「最後の挨拶」の風雲急を告げる終わり方はちょっとシビれます。(時代背景もあったでしょう)

No.7 5点 mini 2014/05/29 09:56
発売中の早川ミステリマガジン7月号の特集は、”シャーロック・ホームズ・ワールド”、映像絡みも有るんだろうけど何か頻繁にホームズ関連の特集が組まれている気がするなぁ、ネタ切れ?

シリーズ第4短編集が『最後の挨拶』である、世のネット書評でもかなり評価が低いが、当サイトでおっさんさんも指摘されてましたが、私も基本的アイデア自体はそんなに悪くないと思う
ところがこれもおっさんさんの御指摘通りで、そのアイデアの煮詰めと活用への工夫が全く足りない、たしかにやっつけ仕事的にさっさと纏めちゃったって感じだ
じゃぁ何故にアイデアの活用の仕方が下手なのか、そこで第4短編集だけの特殊事情を考えると、『最後の挨拶』には過去の3短編集とは大きく違う点がある
第1から第3短編集までは、ほぼ1年間に雑誌連載された短編を纏めたものである、このパターンは復活後の第3短編集『生還』でも基本的に変わらなかった、つまり収録各短編の執筆時期に隔たりは無かったわけだ
ところが第4短編集『最後の挨拶』は断片的に発表された短編を集めたもので、各短編の執筆時期がバラバラである
本来は第2短編集に収録予定だったのが自主判断で見送られた「ボール箱」はまぁ別扱いとしても、1908年から1917年までと幅広い
第一次世界大戦勃発後に書かれ英独のスパイ合戦を背景にした表題作「最後の挨拶」を除くと大部分は第一次大戦前夜の不穏な時代に書かれている、この時代背景の影響が大きい気がするんだよね
この時代はミステリー史的に言えば、ウォーレス、オップンハイム、サッパー、フレッチャーといった通俗スリラーが流行した時代である
私はジャンルとして本格派に対してスリラーが格下とかつまらないものとか意義の薄いものとかとは認識していないスタンスである、スリラーだって面白いものは面白いのである、読者側がパズル要素だけを求めようとするからつまらないと感じるだけなのだ
ドイルもそんな風潮に合わせただけなのかも知れない、ただドイルには資質として合っていなかった可能性は有るが
ドイルは名作「失われた世界」に見るように冒険ロマン小説は得意で、決してホームズだけのドイルではない
しかし非本格の中で冒険ロマンとスリラー小説とは全く異質なもので、ドイルは本格派以外だと怪奇小説とかもう極端に異郷を舞台にした冒険小説方面とかに行っちゃった方が合ってるタイプだと思う、ホームズものにも異郷の物語部分の方が精彩が有るものも有ったりするからね
だから眼前の大都会ロンドンを舞台に据えてリアリズムを志向した場合はホームズみたいな理知方向に行くか怪奇色を前面に出すかが持ち味であって、世の各書評での短編集『最後の挨拶』の評価の低さは作者ドイルがスリラー系統だけは合わなかったのも一因かも

No.6 4点 ボナンザ 2014/04/08 21:28
どうしても力不足を感じてしまう。
もちろん空き家の冒険で復活したことを否定する訳ではないが、やはりそれ以前の作品とは作者のやる気が違う。

No.5 6点 おっさん 2013/05/03 18:06
1908年から1917年まで、散発的に発表された作品をまとめた第四短編集 His Last Bow(1917)を、恒例の、光文社文庫<新訳シャーロック・ホームズ全集>(日暮雅通訳)で読み返してみました。
収録作は――①ウィステリア荘 ②ブルース・パーティントン型設計書 ③悪魔の足 ④赤い輪団 ⑤レディ・フランシス・カーファクスの失踪 ⑥瀕死の探偵 ⑦最後の挨拶――シャーロック・ホームズのエピローグ――

本書に関しては、原作の単行本は、なぜか雑誌掲載時と作品の配列を変えていますが、この<全集>版では、それをもとの順番に戻しています。
そしてその、雑誌掲載順という編集方針から、1893年発表の旧作「ボール箱」は、本来の“位置”である『シャーロック・ホームズの回想』に編入されているため(同作については、『回想』のレヴューをご参照ください)、本書には入っていません。

さて。
訳者の「解説」で指摘されているように、「長年の努力(?)がやっと実り、ここへ来てようやく、ドイルはホームズものに追いまくられずに執筆活動をすることができるようになった」わけですが・・・
その反動か、どうもホームズ譚が片手間仕事になってしまったような、ひさしぶりに昔なじみのキャラクターでご機嫌をうかがいました――的な、ゆるさが感じられる作品集になってしまっているように思います。

ホームズ、ワトスンのキャラクター小説としての面白さに特化した「瀕死の探偵」などは、ファンでない読者が読んだら、なんだこりゃ? でしょう。
“日常の謎”に介入したホームズの動向が、最終的にアメリカのピンカートン探偵社の悪漢追跡行と交錯し、事件のほうは勝手に終息する「赤い輪団」(1911)なども、筆者には『恐怖の谷』(1914-15)の前哨戦的興味から楽しめましたが、おおかたの読者には腰くだけもいいところでしょう。

ただ、ドイルのミステリ作家としてのアイデアが枯渇しかけていたとは、筆者は考えません。
たとえば、計画の途中で「犯人」がアクシデントにあい、結果、不思議な謎が生まれるという、「ウィステリア荘」の着想自体は、まことにすぐれたものです。
また、トンデモ系のトリックの陰に隠れがちですが(筆者も今回の再読まで忘れていたのですがw)、「悪魔の足」の、よく似た趣向の事件A、Bの連続性をめぐるパターンの先見性には、オヤッと思わせるものがあります。
先見性といえば、「レディ・フランシス・カーファクスの失踪」あたりも、正規の“死亡診断書”を利用するくだりなど、そこだけ抜き出せば、なかなか面白い。
問題は、そうした妙味のあるアイデアを充分練り込まず、お手のもののストーリーテリングでチャッチャッとまとめてしまっていることでしょう。

時代は移り、すでにソーンダイク博士シリーズのR・オースティン・フリーマンや、ブラウン神父もののG・K・チェスタトンのような、単なる後追いではない、真の実力者が探偵小説のフィールドには現われている。ドイルには、彼らを視野に入れて、負けるものかとファイトを燃やして欲しかったんですが・・・

さてさて。
集中では、“本格”むきのユニークな発想を、水と油のようなエスピオナージふうの背景に落とし込んだミスマッチが、逆に物語を忘れ難いものにしている「ブルース・パーティントン型設計書」が、やはりベストだと思います。何気ない風景描写に思えた書き出しも、真相を知って振り返ると、ミステリとして見事な逆算の結果であったことがわかります。

ラストを飾る「最後の挨拶」は、作中年代が第一次世界大戦前夜に設定された、ホームズ・シリーズの時系列では最後にあたる、まさに副題どおりの“エピローグ”。
ホームズ譚には、これまでにも、上記「ブルース・パーティントン型設計書」のように、国家機密を外国のスパイから守るという、エスピオナージふうの作品が見られたわけですが、これはもう、“ふう”ではなく、純度100パーセントのスパイものになっています。
作品の効果を考えて、ワトスンの一人称ではなく三人称を採用しているという点でも異色作で、その仕掛けはミステリ的には(ミエミエとはいえ)『恐怖の谷』、その第二部の延長線ですかね。
お伽噺の主人公が“現実”に降臨したような、そんな衝撃を当時(大戦中)の読者は感じたことでしょうが・・・
大河(キャラクター)小説のエピローグとして、理解は出来るものの、個人的には、名探偵のこういう“最後の挨拶”は寂しいなあ。あと一冊、拾遺集があることで、良しとしましょう。

No.4 4点 E-BANKER 2011/05/06 23:37
シャーロック・ホームズものの作品集第3弾。
全盛期から比べると、やはりパワーダウンした作品が多くなってますね。
①「ウィステリア荘」=ホームズ物でよくあるパターン。何度も焼き直されるプロット。
②「ボール箱」=憎き奴の耳を削いで贈る奴・・・怖い!
③「赤い輪」=これもよく登場するプロット。もはや定番。
④「ブルーズ・パティントン設計書」=「・・・思い出」で一度登場したホームズの実兄、マイクロフト氏が再度登場。でも結構わがままな人物。
⑤「瀕死の探偵」=これは大昔にジュブナイルもので読んだことあり。オチは最初からモロ分かり。
⑥「フランシス・カーファックス姫の失踪」=う~ん。とりたてて印象に残らず。
⑦「悪魔の足」=なるほど、これですか・・・。訳の分からない「毒○」って! なんか「サリ○」っぽいですよねぇー。
⑧「最後の挨拶」=冒頭は「ん?」という感じですが、途中でネタバレがあり、最後にはオチがつく。60歳のホームズも相当精力的です。
以上、8編。
とにかく、これまでの作品集でお目にかかったプロットの焼き直しが相当目立ちます。
もはや、「謎の提起」→「推理、探究」→「解決」という手順はなく、犯人逮捕に至るまでの「冒険譚」という感じでしかありません。
時代背景かもしれませんが、とにかく英国人以外(特にアジア、アフリカ系)は、危険で謎が多く、よく分からない人間だという書き方が目立ち、その辺もちょっと気になる・・・
この頃、「ネタ切れ」は明白だったわけで、乾いた雑巾を絞るように執筆せざるを得なかった作者の苦悩が伝わってくる気がしました。
(やっぱり⑧は哀愁を誘う。歴史的価値はある作品。)

No.3 4点 江守森江 2010/12/26 17:41
ホームズはグラナダ版ドラマでジェレミー(露口吹替)を観るのが一番だ!の主張は揺るがない。
なので今更、原作をどうこう論じる気はない《否!》そこまで深く読み込んだわけでなく論じられない。
本作品集の中で一番印象深いのは兄マイクロフトが「これが、弟のシャーロックだ」と他人に紹介する場面。
子供の頃「自分にもシャーロック並な弟がいればな〜」と両親に迫った、なんとも無神経な苦い経験が思い出される。
※正直に告白します。
殆どのホームズ短編に接したのがグラナダ版ドラマをVHSビデオで視聴したのが最初で、かつ視聴順がバラバラだった為か、全編内容は知っているが大半はタイトルと結び付かず何度も同じ作品を観てしまう。

No.2 4点 2010/12/26 12:18
『帰還』までと違い、かなり長い期間に少しずつ書かれた短編の寄せ集めで、それに『最後の挨拶』を付け加えた構成になっています。
本集の中で最も謎解きのおもしろさがあるのは『ブルース・パーティントン設計書』で、久々にマイクロフト兄さんも登場します。メインのアイディアは、ホームズが途中であっさり明かしてしまいますが。
『瀕死の探偵』も発想はなかなか楽しいですが、他の作品はどうもいまひとつといったところです。
『ボール箱』は本来だと『回想』の2番目に入るはずだった作品。当時ボツになった理由は事件背景の倫理性だったそうですが、犯人が耳を送りつける理由と経緯にあまり説得力がないことも、関係していたかもしれません。『赤い輪』は、謎の下宿人についての推理とその正体はなるほどと思えただけに、その後が冴えないのが残念です。『悪魔の足』は、後のヴァン・ダイン20則中での否定が現在も常識となっているトリック。
『最後の挨拶』は『回想』の『最後の事件』とは異なり、エピローグもちょっとミステリ(時代背景をとらえたエスピオナージュ)仕立てにしてみました、というだけでしょうね。

No.1 1点 Tetchy 2008/06/22 13:16
とうとう来るべきものが来たという感じ。
各短編全てにおいて興趣を欠いている。

有名な短編としては「瀕死の探偵」が挙げられるが、この話もホームズの馬鹿さ振りを髣髴させるエピソードとして色んな作家の作品中で語られるものなので実は大したことはない(実際、この短編におけるホームズはアホである。それにまんまと引っかかるワトスンもまた斯くや)。
短編集の題名になっている「最後の挨拶」はもはや本格ですらない。

これこそドイルがホームズ譚を執筆するのにうんざりしていた証拠だ。

やっぱり何事も引き際が肝心である。


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シャーロック・ ホームズの冒険(世界推理小説全集版)