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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
勇将ジェラールの回想
エティエンヌ・ジェラール准将
アーサー・コナン・ドイル 出版月: 1971年01月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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東京創元社
1971年01月

No.1 7点 クリスティ再読 2020/10/09 21:19
ドイルの三大シリーズ・キャラクターは、ホームズ、チャレンジャー教授、それにジェラール准将、ということになるんだけど、ジェラールの人気は日本じゃ他の二人に大きく後塵を拝して...ということになってしまう。戦前の昔から翻訳されてはいるんだけどねえ。

「大奈翁」で通じた時代なら、それなりの読者層があったんでは、とも思うんだが、逆に今はね藤本ひとみとか長谷川ナポレオンとか読まれるようになってきたから、本作だって「ナポレオニック」の一つとして読まれていいんじゃないかな? この短編集だと8話収録、1807年のナポレオン絶頂期に中尉だったころから、1814年の退位直前にジェラールは准将、というナポレオンの転落の激動の中での、軽騎兵ジェラールの活躍を描いている。
中尉時代の上官は「30までに死なない軽騎兵はクズだ!」で有名なラサール大佐、大佐時代の司令官がマッセナ元帥、皇帝ナポレオンからの直々のご指名で役目を与えられることもこの本の中で3回、タレーランや参謀長ベルティエ元帥も登場...ミュラ元帥やらネイ元帥、マクドナル元帥の寸評など、ナポレオニックというか、ここらの元帥たちのキャラに馴染みがあると、3倍おいしい作品だったりするのである。

で、このジェラール准将、

「考える!おまえが!」陛下は大声を発せられた。「わたしがおまえを選んだのは考えてもらうため、とでも思っているのか?」

と、オツムの方はホームズどころか、大幅に足りない方なんだが、ナポレオンには誠忠無比、命知らずの楽天的な行動家で、生一本の快男児である。逆にそれが、作劇的に先が読めない方向に転がって行って、これはこれでドイルらしい良さにつながってくる。敵や味方が仕掛ける手の込んだ「罠」を、何も考えずにパワフルに突破してしまい、「結果よければすべてよし」になる話だから、結構な爽快感がある。いやホント、主人公が何も考えないイノシシ武者だからこそ、凝った陰謀でもコミカルに見えてしまうほどである。

いやいや、評者チャレンジャー教授より、ジェラール准将の方に、好感、である。歴史小説好きなら、SFよりおすすめだと思う。


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