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[ 時代・歴史ミステリ ] 勇将ジェラールの冒険 ジェラール准将/別題『豪勇ジェラール』『豪勇ジェラールの冒険』 |
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アーサー・コナン・ドイル | 出版月: 1954年01月 | 平均: 5.50点 | 書評数: 2件 |
小山書店 1954年01月 |
東京創元社 1972年06月 |
旺文社 1984年12月 |
No.2 | 4点 | レッドキング | 2023/04/02 19:15 |
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英雄軍人ジェラールの第二(かつ最終)短編集。ナポレオン歴史譚との連作風な絡みは、ラスト二話を除いて薄れ、老兵の過去自慢武勇談てな趣の話が多く、前作のスピンオフ拾遺集て感じかな。突飛な奇譚ネタが増えて、物語構造はSF「失われた世界」と変わらない。こっちには、ラスト二話の哀切浪漫に点数オマケ。 |
No.1 | 7点 | クリスティ再読 | 2020/10/22 14:27 |
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さて、ジェラール准将短編集は2冊あって、その2冊目。「冒険」「回想」はホームズの専売特許ではなくて....なんだけど、ジェラール准将が「冒険」で「回想」なのは、とくに「回想」が東京創元社がわざと仕掛けたか?となるような強引な訳題だからである。'the Exploits of Brigadier Gerard' が「勇将ジェラールの回想」になるには作為が必要だからねえ....素直に訳せば「功績」とか「手柄話」くらいなものなんだから。ちなみに Brigadier はよく「准将」と訳されるけど、ナポレオン麾下だと「旅団将軍」になる。ワーテルローの後に旅団長=准将にしてもらえたみたいだ。なので将官なのは間違いないから、「深夜プラス1」で将官扱いされなくて不満なフェイ将軍の Brigadier とは名称は同じでも、扱いは歴史の上で揺れている。
で、この後の方の短編集だけど、「回想」よりも歴史小説度が高まっている。「回想」は「歴史の裏で、ナポレオンのために戦うジェラールの冒険」という感覚だったが、「冒険」は逆に「歴史の中でナポレオンのもとで戦うジェラールの戦記」。マッセナ元帥の下で「トレズ=ヴェドラス防衛線」から友軍を無事撤退(半島戦争)させるために命懸けの潜入をするとか、ロシア遠征でネー元帥の下で撤退する遠征軍の殿軍を務める話とか、ワーテルローではグルーシー元帥への伝令として派遣されるがグルーシーを見つけられずに...(これワーテルローの敗因に挙げられる有名な話だ)で、おしまいはセントヘレナのナポレオンの臨終に立ち会う。とまあ、お話だからね、「この現場に居たら、ホント凄いよね」という花形のシーンが連続する。 まあだから、「回想」以上に、ナポレオンの戦記に詳しければ詳しいほど、楽しい小説になる。こっちは「歴史・時代ミステリ」にカテゴライズ。 とはいえ、友軍に撤退を知らせるために、狼煙を上げる任務を仰せつかったジェラールは、ゲリラに捕まって任務を果たすどころじゃない...が一発逆転の秘策が!なんて話とか、ヒネリもあってなかなかナイスでドイルらしさも十分発揮。 それでも歴史小説度が高くなってしまう分、ミステリマニア向けからは離れるかもしれない。しかし考証ばっちりでケチがつけれない歴史小説だそうである。ドイルの凝り性が発揮されている。 |