皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] シャーロック・ホームズの叡智 |
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アーサー・コナン・ドイル | 出版月: 1955年01月 | 平均: 6.33点 | 書評数: 3件 |
新潮社 1955年01月 |
新潮社 1955年09月 |
No.3 | 7点 | Tetchy | 2021/11/17 22:54 |
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巷間に流布しているホームズ譚の短編集は『~冒険』、『~帰還』、『~思い出』、『~最後の挨拶』、『~事件簿』の5冊が通例だが、新潮文庫版においては各短編から1、2編ほど欠落しており、それらを集めて本書を編んでいる。従って衰えの見え始めた後期の短編集よりも実は内容的には充実しており、ドイル面目躍如という印象をもってホームズ譚を終える事になろうとは計算の上だったか定かではない。
本作においては冒頭の「技師の親指」など結構読ませる短編が揃っており、個人的には「スリー・クォーターの失踪」がお気に入り。 最後の「隠居絵具屋」はチャンドラー、ロスマク系統の人捜しの様相を呈した一風変わった発端から始まるが最後においてはポーの有名作品を思わせる仕上がりを見せるあたり、なかなかである。 しかしホームズ譚を全編通じて読んだ感想はやはり小中学校で読むべき作品群であるとの認識は強く、少年の頃に抱いた輝かしい物語のきらめきの封印を無理に抉じ開けてしまった感があり、いささか寂しい思いがする。色褪せぬ名作でもやはり読む時期というものを選ぶのだ。 |
No.2 | 5点 | 臣 | 2021/11/17 16:17 |
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「技師の親指」「緑柱石の宝冠」「ライゲートの大地主」「ノーウッドの建築士」「三人の学生」「スリー・クォーターの失踪」「ショスコム荘」「隠居絵具屋」の全8編。
新潮版で、「冒険」「帰還」「思い出」「事件簿」から漏れたものが「叡智」として収録されている。 したがって特別なホームズ短編集というわけではない。しかしホームズ短編はみな特別であるとも言え、いろんな背景のストーリーが楽しめた。 ただ期待しすぎたせいか、少し物足りなかったかな。話として、推理物としてもっと凝ったものがあってもいいような・・・ 個人的には、「技師の親指」と「三人の学生」が好み。この2編が読めただけでもよかったかな。 |
No.1 | 7点 | E-BANKER | 2015/11/01 16:52 |
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本サイトを御覧の皆さんには言うまでもないことですが、シャーロック・ホームズものの短編は「冒険」「帰還」「思い出」「事件簿」の四作だけ。
ただし、延原謙訳の新潮文庫では、本の尺の関係上、一部の作品を掲載しなかったため、最後に漏れた作品を集録することになったのがこの「叡智」というわけである。(今さら説明するなという内容ですが・・・) ということで邪道ではありますが、いずれも未書評ということで敢えて別立てで登録させていただきました。 ①「技師の親指」=これは有名作のひとつ。ホームズものの典型的なプロットだと思うのだが、不思議な体験をした依頼人の話を聞いたホームズが、物証や証言などから事件の裏の構図に気付くというやつ。これが見事に嵌った佳作。 ②「緑柱石の宝冠」=一見して明らかな容疑者なのだが、ホームズが事件を別の角度から光を当てる・・・というやつ。足跡からホームズが推理するという“いかにも”という場面があるのだが、今読むと相当強引な推理だな・・・ ③「ライゲートの大地主」=結構粗めのプロットなのだが、こういう活劇風の作品もよく目にする。登場人物が少ないから自然に真犯人は判明していまうのが玉に瑕か? ④「ノーウッドの建築士」=“大地主”の次は“建築士”なのだが、プロットは結構相似形(!?)。突然大金持ちから相続人に指定された青年に降りかかる災厄を救うホームズというわけなのだが、動機が結構スゴイ。(そこまで恨むのか?) ⑤「三人の学生」=テストの解答を盗んだのは誰か・・・っていう何だか「日常の謎系」のような一編。三人の学生のうち誰が盗んだのかということなのだが、割とよくできていると思う。 ⑥「スリー・クォーターの失踪」=学生ラグビーの花形選手が失踪する事件を扱った一編。ワールドカップを持ち出すまでもなく、イングランドといえばラグビー発症の地ということで・・・って本筋は? うーんwww ⑦「ショスコム荘」=短い作品なのだが、どうもプロットが錯綜していてよく分からない感じになっている。今までの作品の劣化版焼き直しという気がする。 ⑧「隠居絵具屋」=これも焼き直しプロットなのだが、なぜ「絵具屋」なのかというのが最後に納得できるのが旨い。でもそれだけかな・・・ 以上8編。 久々にホームズ譚を読んでみると、やっぱり「これぞ短篇だな」という気にさせられた。 確かに同系統のプロットや旧作の焼き直しが多いのだが、ミステリーとしての必要十分条件が短い作品の中に詰まっているのがよく分かる。 さすがに時代を超えて読み継がれるミステリーということなのだろう。 (因みに①②が「冒険」から。③が「思い出」から。④~⑥が「帰還」から。⑦~⑨が「事件簿」からです。) |