[ 短編集(分類不能) ] ポーカー・レッスン |
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ジェフリー・ディーヴァー | 出版月: 2013年08月 | 平均: 7.40点 | 書評数: 5件 |
![]() 文藝春秋 2013年08月 |
No.5 | 8点 | ミステリーオタク | 2017/06/11 16:40 |
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ディーヴァーの第2短編集。
本書を読む前にアマゾンを始めとした各種レビューを決して読んではならない。「お楽しみ」が激減します。幸いココではネタバレされている方は一人もいません。流石。(ただ第1短編集の書評では少しネタバレがあるのが残念) 印象に残った作品にいくつか触れると・・ 「ウェストファーレンの指輪」:ミステリーとしては特筆する程のものでもないが、恐るべきネタが仕組まれている・・そして笑える。 「生まれついての悪人」:これはヤラレた。でもズルがなかったかな?・・ギリギリセーフか。 「動機」:よくできてはいるが、動機の動機が分からん。 「一事不再理」:ディーヴァーらしい皮肉が効いたツイステド・リーガルサスペンス。 「ロカールの原理」:ライム物。これもなかなかのデキだが、さほど驚けず。殆ど二番煎じ。 「のぞき」:捻りのための捻り、というか技巧に走り過ぎている感のある本書の後半の作品群の中では例外的に小気味よくヤラレた作品。 「ポーカー・レッスン」:邦題表題作に相応しいトリッキーな作品。O・ヘンリより先に書かれていたらかなりの傑作だっただろう。(でもそれはあり得ないw) 「遊びに行くには最高の街」:表題作同様"仕掛け"が冴えている。 まぁ前短編集の「三角関係」のような脳内変転を食らったのは「ウェスト」と「生まれ」の二編かな。 次の短編集が待ち遠しい。 |
No.4 | 7点 | take5 | 2016/07/30 05:26 |
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ディーヴァーは、やはり上手いです。
「生まれついて~」は人称で読ませる文体が、主観の怖さをよく表しているので極めて現代的です。相模原の事件然り、都知事戦の三人以外の政見放送然り、みんなディーヴァーの小説を読んで他人と生きる社会について考え、その後古典的名作や哲学書を読んで救いと可能性を心に刻むべきですよ。 |
No.3 | 8点 | あびびび | 2014/12/14 15:24 |
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クリスマスプレゼントに続く短編集と言うことで楽しみにしていたが、やはり珠玉の作品揃いだった。次はどんな設定で、どんなどんでん返し?
個人的には表題作はイメージ通りでごく普通、「通勤電車」と、「一時不再理」が好みだった。リンカーン・ライムの「ロカールの原理」はいつも読んでいるせいか、方向性、犯人は予測できた。しかし、短編もうまいなあと、つくづく思う。 |
No.2 | 7点 | kanamori | 2013/10/07 12:04 |
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「クリスマス・プレゼント」(Twisted)に続く第2短編集。
原題が”More Twisted”と自らハードルをあげる挑戦的なタイトルな上、オビの惹句が”どんでん返し16連発”と煽っているので、否が応でも期待せざるを得ない。 実際にかなり身構えて読んでいても、作者の仕掛けた企みに騙されたものがいくつもあった。ただ、続けて読むと感覚が麻痺して多少のことでは驚かなくなるがw 印象に残った作品を挙げていくと、ラストに主人公がとんでもない方向から一撃を喰らう「動機」、法廷ものサスペンスがラストに暗転する「一事不再理」、重層的な騙しあいゲームの「ポーカー・レッスン」。この3作品は、ミスディレクションも伏線の張り具合も絶妙で、編中の個人的ベスト3。 「生まれついての悪人」の連城ミステリを思わせる仕掛けの凄さは編中で一番だと思うが、技巧に走りすぎていて早い段階で構図が分かってしまった。「ウェストファーレンの指輪」は、ヴィクトリア朝時代のロンドンが舞台の歴史ミステリ。この時代にリンカーン・ライムのような捜査法を用いる探偵が登場する楽しい作品だった。 |
No.1 | 7点 | Tetchy | 2013/08/20 21:57 |
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これほど長く待たされたと思わせられる訳出も珍しい。前作『クリスマス・プレゼント』の刊行が2005年。原書刊行が2006年。だからいつ出るのかいつ出るのかと心待ちにしていたが、これが一向に出ない。そして今年2013年。8年の月日を経てようやくの刊行。今や現代アメリカミステリの巨匠となったディーヴァーの超絶技巧が詰まったどんでん返しの宝石箱だ。
本書における個人的ベストは表題作。本作ではディーヴァー特有の予想の斜め上を行くどんでん返しも面白いが、何よりも物語の中身が実に濃密。若い駆け出しのギャンブラーと百戦錬磨のギャンブラーの交流と息をつかせぬ大勝負の描写が実に面白い。そしてディーヴァーはこんなギャンブル小説も書けるのかと脱帽。ディーヴァーの新たな才能の片鱗を見せてくれた。 しかし今回は歪んだ社会に潜むどんでん返しというのが目立ったように思う。特に一見普通の市民がその裏では変態的な犯罪者の側面も持っているという隣人に心を許すなかれというメッセージが含まれた作品が多い。しかし地域交流もこんな話を読むと恐ろしくて気軽に出来ないなぁ。 しかし今回のどんでん返しにはあまり納得がいかない物も多く、正直云って前作より出来は劣る。これだけ物語やシチュエーションにヴァラエティを持ちながら、落ち着くところはどんでん返しという所が設定を変えただけという風に思えてしまうからだ。 とはいえ、現代気鋭の物語巧者であるディーヴァー、そのシチュエーションのヴァリエーションは実に多彩。さらに一つ一つのディテールが濃く、本当にこの人は何でも書けるという思いを強くした。 ある意味本書は読書の功罪を孕んだ作品集と云えよう。 短編集では全ての短編にどんでん返しが盛り込まれており、特に初めてディーヴァー作品を読む人は読書の至福を感じるだろう。しかし逆にこれが基準となればその後の読書に多大なる影響を与えることになりかねない。 さて彼ほど読者の期待を一身に受けている作者はいないだろう。次の短編集ではどんな奇手を見せてくれるか、実に楽しみだ。 |
ジェフリー・ディーヴァー
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