皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] 青い虚空 |
|||
---|---|---|---|
ジェフリー・ディーヴァー | 出版月: 2002年11月 | 平均: 7.60点 | 書評数: 5件 |
文藝春秋 2002年11月 |
No.5 | 8点 | 初老人 | 2014/05/19 01:20 |
---|---|---|---|
善玉ハッカーと悪玉ハッカーとのサイバースペース上での息詰まる攻防戦を描いたノンシリーズの長編もの。
物語が進みやがて興味は誰が犯人の協力者であるショーンなのかという事に推移していくのだが、警察内部にいるのか、それとも、というようになかなか的を絞らせない。そして明かされた真相は、大層意外ではあるのだがどこか脱力感を伴うものだった。しかし全体として見ればエンターテインメント作品として一級品であり、物語を堪能する事が出来た。 |
No.4 | 7点 | E-BANKER | 2012/07/20 22:08 |
---|---|---|---|
2001年発表。非リンカーン・ライムシリーズの長編作品。
かれこれ10年前の作品になるが、電脳空間でのハッカー同士の息詰まる攻防を描く力作。 ~護身術のHPを主宰するシリコン・ヴァレーの有名女性が惨殺死体で発見された。警察は周辺捜査からハッカーの犯行と断定。コンピュータ犯罪課のアンダーソン刑事は容疑者特定のため服役中の天才ハッカー・ジレットに協力を依頼する。ゲーム感覚で難攻不落の対象のみを狙う連続殺人犯は何者か? 息詰まるハッカー同士の一騎打ち!~ これぞディーヴァーというべき良質なサスペンス作品。 文庫版で600頁を超える大作だが、さすがのリーダビリティーを感じさせられた。 今回の相手は伝説のハッカー・ホロウェイとその協力者である通称「ショーン」。こいつらがトンデモない奴らなのだ。 米国のあらゆるコンピュータシステムにハッキングを行い、ニセ情報をばらまく。こうなったら警察なんて単なるでくの坊に過ぎない。 考えたら怖い世界である。 リアルの世界とどれだけ乖離があるのかは正直分からないが、天才ハッカーともなれば、これはもう1つの大型殺人兵器と同程度のポテンシャルを持つということなのだろう。 そして、この天才ハッカーと対決するのも、また伝説のハッカーであるジレット。 ただし、彼はかなり人間臭く描かれており、当初はなかなか尻尾をつかめずにいた2人を徐々に追い詰めていく。 ストーリーの4分の3を終え、大勢は決したと思ったところからが作者の真骨頂だ。 必殺の「ドンデン返し」がやはり炸裂する。 ただし、今回はちょっと意外感はあった。 いつもなら、「まさかあいつが・・・」というドンデン返しなのだが、今回は「まさかこんなことか・・・」というサプライズが待ち構える。 いずれにしてもサスペンス&エンタメ作品としては安心して楽しめる作品に仕上がっていると思う。 好漢・ビジョップ刑事とジレットの友情(?)も何だか微笑ましい。 (コンピュータ&ハッカー用語が頻出しますので、巻頭の用語集をまずはよく理解することをお勧めします) |
No.3 | 7点 | Tetchy | 2011/09/04 22:23 |
---|---|---|---|
リンカーン・ライムが現代に甦ったシャーロック・ホームズ、即ちアナログ型探偵―最新鋭の分析機器で証拠の特性を探るという手法はあるが―だとすると、本作の主人公ワイアット・ジレットは電脳空間(本書では青い虚空(ブルー・ノーウェア)と呼んでいる)を自由に行き来するデジタル型探偵だ。
しかしここに書かれている犯罪の完璧さに戦慄を覚える。 なんせ容疑者発見の際に掛けた携帯電話がジャックされて犯人へ繋がり、援助が呼べなくなるのだ。 さらには堅牢だと思われた学園のセキュリティシステムにも潜入し、得たい情報を得るとそれを元に身分証明書も作成し、身元照合に役立てるなど、また新聞や雑誌の記事で匿名化された取材対象者に対しても、取材した記者のパソコンへ侵入して個人情報を得るなど、もう何が安全でどうやったら個人情報が無事に守られ、平穏な生活が得られるのか不安になってしまう。 この作品を読むと、安全なパソコンなんて存在しないのではないだろうか?という思いに駆られる。 そんな世界中のパソコンに侵入し、情報を自由自在に操るフェイト。さらに彼はソーシャル・エンジニアリングの名手。 ソーシャル・エンジニアリングとはいわば本当の自分を隠し、実在する人間、もしくは架空の人間を演じて成りきってしまう技術だ。彼は少年時代に演じることで周囲の注目を集めることを知り、ソーシャル・エンジニアリングの名手となった。これはもう史上最高のシリアルキラーといっても云いだろう。 今回もあれよあれよとどんでん返しを畳み掛ける。特に今回は匿名性がまかり通った電脳空間での戦いであるがゆえに、本名とハンドルネームの二重の仕掛けとソーシャル・エンジニアリングという他者を偽る技術が三重四重のどんでん返しを生み出している。後半は読んでて誰が誰だか解らなくなってくるくらいだ。 しかし残念ながら今回の物語はパソコンの専門用語がどんどん出てくるし、特にハッカー、クラッカー連中のスラングが頻出しているのでなかなか理解するのに時間がかかってしまった。つまりページターナーであるディーヴァーの巧みな物語展開に上手く乗ることが出来なかった。 |
No.2 | 9点 | あびびび | 2011/02/26 14:24 |
---|---|---|---|
天才的ハッカーが異次元に入ってしまい、現実とバーチャルの世界と区別がつかなくなった。ゲーム感覚で殺人を犯し、そのたびに「25ポイント獲得!」と、快感を得る。
これに対抗するのは政府の機関にハッカーして懲役を食らっているこれまた天才ハッカー。こちらは現実的であり、警察とともにその犯人を追う。 600ページを超える大作だが、ずっと手に汗を握る攻防。映画化していたらきっと見たいだろうと思う傑作だ。リンカーン・ライムシリーズ以上のデキで超お薦め。 |
No.1 | 7点 | kanamori | 2010/11/22 20:31 |
---|---|---|---|
「ソウル・コレクター」や今年出たキャサリン・ダンス主役の新作と同様、ネット犯罪がテーマの単発作品。
犯人の名前は早々に明かされており、天才ハッカーと犯人との電脳空間での追跡劇を読まされるだけのサスペンスかと思っていると....さすが、ディーヴァー。次々とお家芸のドンデン返しが連発されます。 物語としての深みは若干欠けるように思いますが、娯楽ものサスペンスとしては充分に楽しめた。 |