[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] 007 白紙委任状 |
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ジェフリー・ディーヴァー | 出版月: 2011年10月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
![]() 文藝春秋 2011年10月 |
![]() 文藝春秋 2014年11月 |
![]() 文藝春秋 2014年11月 |
No.2 | 7点 | Tetchy | 2014/12/16 23:45 |
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あのディーヴァーが世界的有名なスパイアクションシリーズである007シリーズを手掛けるニュースを聞いた時は正直期待半分不安半分だった。私自身007は映画は観ていたものの、小説は未読だったのもあったし、ライムシリーズやキャサリン・ダンスシリーズと云う2つの看板シリーズを持っているディーヴァーにそれらと差別化できる特色が出る作品が果たして可能なのかと疑問視していた。
しかしそれは杞憂だった。ここには007シリーズを想起させながらも新たなジェームズ・ボンドがいる。若々しく、スマートフォンとアプリを使いこなす現代のスパイとしてのボンド像をディーヴァーは創り出した。そうでありながらも彼のボスはMであり、スパイグッズの発明家Qも出てくるし、ボンドカーと彼を取り巻く美女がきちんと配され、ファンが期待するボンドの定番も忘れられていない。 さてディーヴァー版ジェームズ・ボンドの相手となる敵は巨大ゴミ収集企業グリーンウェイ・インターナショナルの代表取締役セヴェラン・ハイトとその相棒で冷酷な殺し屋ナイアル・ダン。 今なお創られる007シリーズ映画の敵はもはやソ連の秘密組織や戦争を企む武器商人などではなく、世界を牛耳る巨大企業による、その得意分野に特化した世界征服の野望を持つ狂える企業人であるが、本書もその流れを汲む物だ。 しかしただのゴミ回収業を営む一企業人がスーパー・エージェント、ジェームズ・ボンドの敵になり得るのかと疑問を持つだろうが、そこはやはりディーヴァー、この業界が実に世界を脅かす恐るべき存在になり得ることを見事に示した。 まず今回は死体愛好家であるセヴェラン・ハイトが相棒のナイアル・ダンと企む「ゲヘナ計画」が何であるかを突き止めるのが今回のボンドの使命。それは近いうちに行われるある大量虐殺計画を示唆しているが、場所も日時も不明。ボンドはアフリカ各地で行われている民族大量虐殺の跡地を“クリーン”にする事業を請け負っているダーバンの起業家ジーン・セロンに成りすましてハイトに近づき、計画の正体を探ろうとするのが物語のメインだ。 そして明らかになるのは我々の想像を超える恐るべき計画だった。これは実際に本書を当たって確認してほしい。 私はこの発想の妙には唸らされたし、実現可能性の高さから戦慄さえ覚えた。 そしてディーヴァーの持ち味であるどんでん返しもまた健在。ただ本書はそっちの真相の方がいささか迫力不足と感じた。それほど上の敵のインパクトが強すぎた。 ディーヴァー版007。その出来栄えはまずは及第点と云ったところか。アクション満載のスーパーエージェントの活躍が愉しめるものの、ディーヴァー特有のどんでん返しが今回はあまりストーリーの面白さに寄与しなかったように思えたのが痛かった。 |
No.1 | 6点 | kanamori | 2011/11/21 22:33 |
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現代によみがえる007シリーズ、ということで、ジェームズ・ボンドがスマートフォンのアプリを駆使しながら、世界各国を駆け巡ってます。
車と拳銃、酒と美女(いわゆるボンド・ガール)というシリーズ定番のガシェットを織り込みながらも、ボンドの内面描写が多く入り、映画のイメージとはだいぶ違う感じも受けました。 終盤の展開はやはりディーヴァーで、たたみ掛けるどんでん返しは今作も健在です。”活動的なリンカーン・ライム”とは言い得て妙。 |
ジェフリー・ディーヴァー
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