皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 長い長い殺人 |
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宮部みゆき | 出版月: 1992年09月 | 平均: 6.30点 | 書評数: 27件 |
光文社 1992年09月 |
光文社 1997年05月 |
光文社 1999年06月 |
光文社 2011年07月 |
No.27 | 5点 | バード | 2022/05/02 10:09 |
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『模倣犯』のプロトタイプという印象だが、あちらの方が犯人側の描写が丁寧で、決着の付け方もはまっており総合的に出来が良い。個人的に『模倣犯』と一番差を感じたのは、犯人組のキャラ付けだ。ピースは好きでないが本作の薄味な犯人組と違い嫌いなキャラとして印象に残るよう書けていたので。
他に本作のオリジナル要素として財布視点で話が進行するという点があるが、何だか子供向けの絵本を読んでいる感じで、そこに良さは見出せなかった。子供向けのような語りとサスペンスのアンバランスさには少しくすっとできるが加点ポイントというにはちと弱い。 |
No.26 | 5点 | 測量ボ-イ | 2020/12/16 21:19 |
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アイデアは買うんですけどね。
内容はこの頁数でこのラストはちょっと・・・ 好みの感じではありませんでした。 頁数の割に長く感じたのも減点対象かな? |
No.25 | 6点 | パメル | 2020/03/02 01:19 |
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人間一人一人を見る目線が独特なミステリ。語り手になるのは「財布」。登場人物たちが所有する財布に人格が宿り、「主人」の知られざる一面を読者に教えてくれる。
その描写は独特であり、単なる三人称なわけでもなければ一人称なわけでもない。一番近くで主人を見ていて、誰よりも、ひょっとしたら主人よりも主人のことを知り尽くしている財布たちだからこそ語れる。そんな語り手の特異性が、この物語の面白さの源泉なのだと思う。 そしてそんな前代未聞のミステリでありながら、「人間臭い」一作。ミステリにおいて犯人が罪を犯す理由は多種多様ですが、この作品においてもその「動機」は焦点になり、それを追っていきます。その途中で「財布」たちは、主人の異変や変化に気づいていく。 この物語における犯罪の動機は、別に高尚なわけでも卑近なわけでもなく、ただただ人間臭い。しかしそこにこそ、この物語の良さがある。 |
No.24 | 7点 | E-BANKER | 2017/06/12 21:37 |
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1992年発表の長編。
連作形式をとりながらも、作者の企みに満ちた技巧が光る作品。 ~金は天下の回りもの。財布のなかで現金はきれいな金も汚い金も、みな同じ顔をして収まっている。しかし、財布の気持ちになれば話は別だ。刑事の財布、ゆすり屋の財布、死者の財布から犯人の財布まで、十個の財布が物語る持ち主の行動、現金の動きが、意表を突いた重大事件をあぶり出す。読者を驚嘆させずにはおかない、前代未聞、驚天動地の話題作~ 本作の特徴といえば、もちろん「財布視点」でしょう。 デビュー長編となる「パーフェクトブルー」では、「犬」が視点人物(?)という変化球を出してきたが、本作では更にその上をいく超変化球で挑戦!ということだ。 これが成功しているかどうかというと、他の方も触れられているとおり「やや微妙」ではある。 でも、考えてみると確かに、「財布」ほど誰もが肌身離さず身に付けているものはないわけで(衣服だったら毎日同じもの、っていう訳にはいかないからね)、そういう意味では持ち主の心情を一番分かっている存在っていうことになるんだろうな・・・。 で、本筋なんだけど、これはよくできてると思う。 さすがのストーリテラーというか、こういうプロットを思い付けるだけでも、作者の力量が分かろうというものだ。 複数の登場人物たちの目(財布だけど)を通して、必然的にスポットが当てられるひとりの男。 その男の周りでつぎつぎと毒牙にかかってしまう被害者たち・・・ これは・・・何がプロットの軸なんだろう?って考えてるうち、第九章「部下の財布」で物語は急展開を見せる。 そして終章。やや唐突にやって来る刹那。なるほど、こういうオチだったのか・・・という具合。 もちろん、純粋な謎解きミステリーではないし、そういうものを求める読者には合わない(だろう)。 でも、これはこれで、実によくできたミステリーだと思う。 もともと連作形式好きのせいかもしれないけど、こういう「企み」の深い作品にこそ、ミステリーの真髄があると感じてしまう。 まっ、いろいろ突っ込みどころはあるし、評点としてはこの程度になるんだけどね。 (雅樹少年をラストに再び登場させる辺りが、女流作家らしい愛情を感じさせる) |
No.23 | 5点 | りゅうぐうのつかい | 2016/11/14 17:31 |
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警察の捜査能力を信じ、捜査の限界を見極めた上で、警察を利用して行われた犯罪。新たな犯人像、犯行理由が提示されており、社会派ミステリ―としての要素を持つ犯罪小説であり、『模倣犯』につながっていく物語。「世間の連中は馬鹿ばっかりだ。俺と違って。俺の価値を誰もわかっちゃいない。」という犯人の不満は、昨今、かなり多くの人が持っているのではないだろうか。
ある目的のもとに行われた連続殺人を、関係者の「財布」を擬人化して、「財布」の視点で描き、それらの別々の話が一つの話につながっていくという手法が目を引いた。ただ、なぜ、「財布」視点なのかというのが疑問であり、「財布」であることには大した意味がなく、不自然さや突飛さを感じてしまう(最後の方に、合皮製と本革製の話が出てくるが、財布を選んだ理由としては弱い)。 犯人像なり、犯行理由にも、それほどの斬新さは感じられなかった。 また、「部下の財布」の章で、探偵が指摘した、部下に関するある事実だが、探偵の推理にはちょっと無理がある、単なる思い付きにすぎないと感じた。 |
No.22 | 7点 | 斎藤警部 | 2015/09/09 07:21 |
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そこはかとなく明るい空気漂うサスペンス。本格要素も有り。愉しいです。
結末で特に驚いたりもしませんが、じゅうぶん許せます。 でもね、【ここからネタバレ】外界の様子が一切見えない「お財布」が語る物語なんだから、それも一つでなく幾つもの「お財布」がリレー形式で語るんだから、何らかの叙述トリックを仕掛ける余地も充分あったと思うんですけどね。 |
No.21 | 8点 | とあるミステリマニア | 2013/08/18 14:55 |
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財布視点なところがまず面白い。
たくさんの人物が絡み合いたまに登場人物がこんがらがるがそれぞれの財布の心情や持ち主に対しての感情が挟んでありユニークだった。大きなどんでん返しを期待してしまったがどんでん返しがなくとも充分楽しめた。 |
No.20 | 7点 | TON2 | 2013/01/16 18:40 |
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KAPPANOVELS
10人の10の財布が語る形式の連作短編集です。 人間は自分が好きで、誰もが自分は特別な存在だと思っているが、世間から見れば普通の存在であり、これが年齢を重ねるにつれ分かってくる。しかし、大人になっても自分が特別な存在であると意識している病的なモンスターがいる。 この作者は、こうした人間感情のちょっとした隙間を描き出すのが上手です。 |
No.19 | 4点 | STAR | 2011/09/26 11:46 |
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(ネタバレあり!)
お財布から見た人物像というのはおもしろいが、特に驚くようなこともありませんでした。事件自体はとても平凡。結局思考等が正常ではなくて自己顕示欲が強いような人が実行犯でした・・・というのは、好きではありません。何でもありになってしまうので。 推理小説とすると、低い点数になってしまうのでは。 お財布からの視点などで状況全てがわからないところがある。それをうまく利用しての叙述のトリックなどで意外な犯人とか動機とかあれば、よさそうでした。なんだかもったいないなぁと思う作品でした。 |
No.18 | 4点 | メルカトル | 2010/06/05 00:36 |
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財布が語り手の必然性がどうしても見出せない。
別に普通に三人称で書けばいいのでは?と思ってしまう。 そうなると、ストーリー自体にも平凡だし、トリックらしいトリックも仕掛けられていないので、自分はあまり魅力を感じなかった、残念な作品。 |
No.17 | 8点 | E | 2010/03/22 19:48 |
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財布視点は面白いですね。所有者が密かに上がる心臓の動悸を感じ取れるのは財布ならでは。なるほど、と思いました。 |
No.16 | 6点 | ZAto | 2009/10/18 12:35 |
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後日談として「容疑者の財布」の声も聞きたかったな。 |
No.15 | 6点 | 白い風 | 2008/03/15 01:17 |
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お財布が主人公(?)のお話、切り口が斬新で面白かったです。
それぞれの章の話も楽しめました。 読み物としてはOK!かな。 でも、推理小説としてはちょっとビミョウだな。 |
No.14 | 6点 | 北浦透 | 2008/01/14 17:20 |
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『模倣犯』につながる傑作と書店で銘打たれていたので「またムリヤリだな」と思いきや、読んでいくと、そういうことかと納得。語り手の奇抜さで、隠れてしまっていたのかな。
前半の丁寧さ、後半のスピード感は見事。宮部さんの技巧をじっくり堪能したい作品である。 |
No.13 | 6点 | spam-musubi | 2007/09/06 10:31 |
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アイデア勝ちといったところでしょうか。
これはこれで楽しめました。 |
No.12 | 7点 | HATT | 2004/11/01 22:08 |
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いろいろな視点から事件を見ることによって徐々に解決に向かっていくプロットが楽しい。確かに財布の視点というのは無理があり、読んでいて違和感があったものの、逆にどう料理していくのか作者の手腕を見る面白さはあった。 |
No.11 | 3点 | なりね | 2004/07/12 17:28 |
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ひじょ〜につまらなかったです。 あんま覚えてないのですが、期待はずれだった。 「財布」云々に魅力を感じられなければアウト。 |
No.10 | 7点 | ばやし | 2004/01/12 10:29 |
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財布が語り手のやつでしょーこれはかなりおもしろかったですね〜うん、最高だ!! |
No.9 | 7点 | 深壬 | 2003/12/12 18:11 |
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最初、あらすじを読んで「無理だろう」と思いました。財布視点でいったいどこまで描けるのか。 予想以上だった気がします。 短編のつながりで長編へ結びつく。短編のならべ方もよかったと思いますね。「犯人」「被害者」の財布のポジの置き場所とか。私的に「こってる」と。 宮部氏だから、描けた。と自然に思います。はい。 |
No.8 | 6点 | さとりんこ | 2003/08/25 18:20 |
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財布が語るってトコに、最初慣れなかったんだけど、中盤くらぃから、とても楽しめました☆ こういう設定もいいですね! |