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[ 本格/新本格 ]
吸血の家
二階堂蘭子シリーズ
二階堂黎人 出版月: 1992年10月 平均: 7.21点 書評数: 14件

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立風書房
1992年10月

立風書房
1995年09月

講談社
1999年07月

No.14 8点 ミステリ初心者 2019/09/01 22:53
ネタバレをしています。

 今まで、なぜか敬遠していた二階堂黎人作品で、今作が長編では初めてです。これほど濃厚な本格を書くとは知らず、これからはまりそうです(笑)。
 旧家の雰囲気(?)や、過去のおどろおどろしい怪談じみた伝説。その遺伝子を受け継ぐ人々。美しい姉妹…などなど、どこか横溝作品を思わせ、そのためか非常に読み易く、厚い本にも関わらずさほど時間がかからず読了しました。横溝作品の素晴らしい雰囲気に、さらに本格度を加えたような作品で、好みです。また注釈が丁寧で、ミステリに対する愛も感じました。この本にでてくるタイトルも何冊か気になりました。

 本作の謎も、不可能犯罪3連発という、豪華で魅力たっぷりな物となっています。
 井原殺しについて。実は、私が唯一当てる事のできたのがこれでした。私が当てられるということは、難易度が低いということですが、3つの事件中もっともフェアであることかもしれません(伏線もたくさんありましたしね)。私はこの謎が一番好みでした。
 瀧川殺しについて。時計を壊したのは、瀧川の時計が壊れていることを知らない人物ではないか?ということを思った以外、あとのことはさっぱり(笑)。様々なミスリードによって、自然と犯行時間がずらされているのが見事でした。結末は犯人以外に協力者がいて、犯人を庇っていたというものですが、まあ笛子一人でもできないことはないし(?)、物語の色どりを加えるという点でありでした。
 大権寺殺しについて。これもさっぱりわかりませんでした。凍ったテニスコートに足跡がつかない具合や、石灰?をまいた具合がよくわからず、いまいちな印象を持ちました。注釈で説明はありますが、私は警部とおなじ"石灰をまいたら目立つんじゃ?"とか思ってしまいました(笑)。

 以下不満点。
 不可能犯罪ものにはつきものですが、やはり協力者の存在は不満です。井原殺しの真相や、話の流れ的に笛子がイト子と親子なのは察したし、何かしらやっているとは思いましたが、協力者がいるとやはり難易度が跳ね上がりますね(笑)。しかし、それを示唆するような伏線を残してあるのが流石です。
 瀧川殺しの死体放置は大胆であっぱれですが、犯人にとって危ない橋を渡りすぎなのでは…?
 過去の名作のネタバレはやめてほしです(笑)。

No.13 8点 パメル 2017/01/04 13:59
謎の人物が殺人事件の予言を言い残し忽然と姿を消すという魅力的なかたちで物語は始まる
怪しげな伝説に過去の因縁そしておどろおどろしい雰囲気に胡散臭い登場人物とワクワクさせてくれる要素がたくさん詰まっている
密室殺人が三度発生するが特に24年前の雪上での足跡なき殺人トリックの真相は衝撃度が高く十分現実的なところも好印象

No.12 6点 nukkam 2015/12/06 02:08
(ネタバレなしです) 1992年発表の本書は出版順では二階堂蘭子シリーズ第2作となりますが執筆順ではデビュー作の「地獄の奇術師」(1992年)より早かった本格派推理小説です(読む順はどちらが先でも大丈夫)。講談社文庫版で500ページを超す大作ですが他のシリーズ作品と比べるとプロットはシンプルで読みやすく、グロテスクな描写も少ないのでシリーズ入門編として好適かと思います。密室事件もありますが何と言っても被害者の周囲の雪の上に被害者と死体発見者以外の足跡のない事件が本書のハイライトで、非常に印象的なトリックが使われています。「地獄の奇術師」と同じく、手掛かり脚注を使った丁寧な謎解きが楽しめます。ただ最終章の「嘘」に関する蘭子の説明は蛇足のような気もします。また蘭子たち捜査陣側の描写が大半を占めるのは読者に探偵役と同条件で推理に参加させている気分を味わえる一方で、容疑者描写は物足りなくそこは一長一短でしょう。⇒(後記)本書で感心した足跡トリックが1950年代の国内ミステリーで既に使われていたのを私が知ったのはずっと後のことですがそれでも本書の評価を変えるつもりはありません。

No.11 8点 ロマン 2015/10/21 07:13
24年前に起きた犯人の足跡がない雪の中での殺人、南京錠で閉ざされた完全な密室での殺人、美人三姉妹の出生の秘密、江戸時代から遊廓を営んでいた旧家の血塗られた過去など道具立てが横溝正史っぽくドロドロした不気味さを出してる。特に雪の中の足跡のない殺人のトリックが秀逸。トリックとロジックが巧く噛み合った著者初期の秀作といえる。

No.10 8点 初老人 2015/08/07 01:16
作品の要となる過去の雪上の犯人の足跡無きトリックはまだこの手が残されていたのかと快哉を叫びたくなる出来、初読時別解に引っ掛かり、思わず苦笑してしまった記憶がある。
もう一つのテニスコートの殺人も軽く平均越え。
あとは浄霊会の密室トリックだが一番解にたどり着くのが容易く、密室の問題が解けると同時に犯人の正体にたどり着く事が可能(残念ながら私の頭では容易に結び付ける事が出来なかった)
トリックが連関していたりお互いに補いあって成立しているわけではないが単独としてのアイデアが素晴らしく、物語の中に無理なく溶け込んでいる。 

No.9 7点 いいちこ 2015/05/14 17:12
本作最大の見所と言うべき、雪上の足跡なき殺人のトリックは奇想であり白眉。
その他のトリックも総じて水準を超えるレベルなのだが、伏線の配置や登場人物の造形に甘さ。
プロット・トリックといった作品の核は充実しているのだが、完成度の低さから強い説得力をもたらすには至っておらず、もったいない作品

No.8 7点 蟷螂の斧 2011/11/11 17:44
足跡なき殺人(雪)と「富士美人図」の謎は良く考えられていて良いと思いました。この二つだけで物語が進めば、私的にはもっと高評価になったと思います。残りのトリックはないほうがスッキリしていたと感じました。あと探偵役の蘭子が学生なのに若々しさが感じられないのが残念でした。

No.7 8点 メルカトル 2010/06/10 00:09
冒頭から引き込まれる。
二階堂氏のその後の作品を読むにつけ、氏の中では個人的に最も好きな作品であることに気づいた。
二十四年前の足跡のない雪の密室のトリックは本書の白眉ではないだろうか。
江戸時代から遊郭を営んでいた旧家での殺人という、大時代的な雰囲気もなかなかのもの。

No.6 8点 E-BANKER 2009/08/04 22:32
二階堂蘭子シリーズ。
処女長編「地獄の奇術師」に続く2作目ですが、執筆順でいえばこちらの方が古いそうです。
江戸時代から遊郭を営んでいた旧家にもたらされた殺人予告。かつて狂死した遊女の除霊会の夜に起きた殺人事件。名探偵、二階堂蘭子が解き明かす「密室」そして「足跡なき殺人」の謎。美しき三姉妹を弄ぶ滅びの運命とは何か? というのが粗筋。
本作は、作者が敬愛するJ.Dカーの「プレーグコートの殺人」を下敷きとして書かれている作品。そこに、横溝&乱歩の日本的オドロオドロしさをまぶしたというのが直接の感想。ただ、そんなことはどうでもよくなるほどの迫力と気合を感じさせる作品になってます。
なかでも、24年前の「足跡なき殺人」の謎が秀逸! 大雪の中に男性の死体があるだけで、足跡が全くない状況。この謎が見事に解き明かされるカタルシス!(個人的には途中で真相に気付きましたが・・・)
真犯人の造形もなかなか素晴らしい。三姉妹の背後に潜む大いなる欺瞞なんていうのも、何となく横溝作品を思い起こさせます。
初期の蘭子シリーズは粒ぞろいですが、本作はボリューム的にも手頃(他が長いだけに)ですし、まとまりのある佳作という評価でいいと思います。
(蘭子のキャラも本作では割と抑え気味なので、アクが強くて生意気で嫌いというアンチ蘭子の方でも本作は読みやすいのではないかと・・・)

No.5 7点 teddhiri 2009/02/04 11:33
過去の足跡なき殺人が印象的。犯人はこの作者の作品では屈指の意外さだと思う。殺人のシーンも映像的で美しい。現在の殺人はそこそこ。

No.4 6点 如月雪也 2005/06/05 06:49
古臭い感じが好き。

No.3 7点 ばやし 2004/12/21 20:30
雪の足跡のトリックがわかったのが嬉しかった^^二階堂黎人に何気はまってきた(笑)

No.2 6点 Ryu 2004/08/19 22:08
タイヤの跡あったらわからないかな。狂気は好きだけど。トリックはいまいち。

No.1 7点 ギザじゅう 2003/05/25 14:54
雪の足跡トリックはなかなか面白い。しかも足跡トリックが二つもあるのでますます嬉しい。
『地獄の奇術師』のようなドロドロよりも、しっとりした感じが強いが、これはこれでよかった。


二階堂黎人
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