皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格/新本格 ] 聖アウスラ修道院の惨劇 二階堂蘭子シリーズ |
|||
---|---|---|---|
二階堂黎人 | 出版月: 1993年08月 | 平均: 5.50点 | 書評数: 18件 |
講談社 1993年08月 |
講談社 1996年11月 |
No.18 | 5点 | ボナンザ | 2024/10/27 01:23 |
---|---|---|---|
物々しい雰囲気は楽しめるが、ミステリとしての真相はそこまででもない。 |
No.17 | 8点 | 密室とアリバイ | 2023/05/02 15:53 |
---|---|---|---|
好きだけど満点は上げられない そんな作品 |
No.16 | 7点 | レッドキング | 2022/08/19 22:19 |
---|---|---|---|
二階堂蘭子シリーズ第三弾。前作の和風味から、本来のバタくさ洋食風味に戻る。採点ポイントは二つの密室。
塔の密室version1に 2.5点 塔の密室version2に 3点、で、計5.5点。 そこに、前半1/3の清張風・・意外やね・・地道捜査ネタと、後半1/3の地下迷宮冒険譚に併せて1点加点。 さらに、白人神父の首無し全裸逆さづり屍体「すけ-きよ(笑)」ネタに、0.5点加点で、合計7点。 |
No.15 | 5点 | ミステリ初心者 | 2020/06/24 23:56 |
---|---|---|---|
ネタバレをしています。
前作とは打って変わって、インディージョーンズのようなトレジャーハンターっぽい趣(?)がありました。頭を切られた神父の正体とその娘を追う警察の視点はやや退屈でしたが、蘭子パートの殺人事件についてと修道院の謎と宝探し(?)は面白く、読了まで時間がかかりませんでした。 推理小説的には2つの大きな事件があり、5~6人ぐらい殺されます。犯人当てというよりかは、密室トリックものという印象です。 私は、第一の密室は皆目見当がつきませんでした(笑)。第二の密室についてはわかりました。ただ、ページ数の割には小粒なトリックであり、前作からボリュームダウン感が否めません。 全体的な印象としては、本としては面白かったですが推理小説としてはいまいちといった感じです。 |
No.14 | 5点 | 斎藤警部 | 2019/02/23 10:38 |
---|---|---|---|
中盤、微妙な時間差モザイク進行が快い。終盤近くから急遽プチ社会派っぽくなるんだがそれは形だけ、雰囲気と中身は剛毅なる新本格で貫徹。この方向性が好きな人には相当ガツンと来る作品でありましょう。
ロックの年1969(昭和44)が舞台というだけでそれなりにセクシーな気分になりよるかと思ったらそんな事はなかった。本作の事件推移と世界ロックシーンの対照年表を誰か作っていないかな。新刊「鍵孔のない扉」が語り手の列車の旅のお伴に登場したのは萌えた。 「それでは、平面的に見て独立した浮島のような場所の通路は通れない」 嗚呼、この台詞の放って止まない隠喩! その直後の相槌が「そうなのか」と来る! 作者さん仰る ロジック<トリック<プロット ってのは私も同じだが、比率的に 7<8<9 くらいがいいな。やっぱロジックの逞しい裏打ちとトリックの強い幻惑が欲しい。 本作は 3<4<9 くらいかな? ロジックさんは最早ともかく、トリックさんがなかなか魅了してくれませんでした、残念。 でもプロット君の発信力と展開力でずいずい読ませるお話です。結果、堂々の合格点(5.4相当)。 「友情は再生するもの」 やて。 よう知っとったな、その通りや。 冒険らしきシーンでさっぱりハラハラドキドキ出来ないのはまあ仕方無いとして、これだけこってりした探偵小説&本格推理ギミックに同時彩色された物語でありながら、最後あれだけの大舞台に載せられた謎解きと大真相が、何故もっと用意周到な盤石の演出で花吹雪の中堂々披露されなかったのかと恨みが残ります。これも突き詰めれば前述のトリックの弱さ、これに依るものでしょうか。 換字式の方の暗号、最初から破りに行く気はサラサラ無かったけど、後知恵で「もし本気で当たれば、あ、そこの部分、ピンと来てたじゃん!」と思わせる、読者の気持ちに入り込んで来る良い暗号だった。 グロ描写に静かなるリアリティがあってちょっと気持ち悪くなるのもなかなかだ。 しかし吸血鬼のヨタ話にコロッと騙される警部さんって。。いったいどんな催眠術使ったんだい? |
No.13 | 8点 | Tetchy | 2019/01/30 23:22 |
---|---|---|---|
一読非常に読みやすく、更に本格ミステリ趣味に溢れていながらも警察の捜査状況も、慣例事項など専門的な内容も含めてしっかり書かれており、意外にも好感が持てた。
江戸川乱歩や横溝正史、はたまたジョン・ディクスン・カーが織り成すオカルティックな本格ミステリの世界観を見事に盛り込んだ作品を紡ぎ出している。 ケレン味という言葉がある。それは物語をただ語るだけでなく、作者独特の世界観に読者に導くはったりや嘘のような演出のことだ。先に挙げた乱歩や正史、カーや島田荘司氏などの作品はこのケレン味に溢れている。 そしてまた二階堂黎人氏もまたケレン味の作家である。上に書いたガジェットの数々は自分が面白いと感じた古今東西のミステリの衣鉢を継ぐかのように過剰なまでにケレン味に溢れた作品世界を描き出す。 しかし残念なのは探偵役の二階堂蘭子がまだまだ類型的なキャラクターに感じられることだ。 二階堂蘭子及び黎人2人の主人公たちをいけ好かないブルジョワ階級の、我々庶民である読者とは隔世の存在としているため、どこか親近感を抱くのを阻んでいる感じがある。 とはいえ昨今の本格ミステリは有栖川有栖氏の臨床犯罪学者火村然り、警視を親に持つ法月綸太郎然り、どこも似たような感じであるから、受け入れるべきなのだろう。 しかし今回この万能推理機械のように思われた二階堂蘭子に弱点が発覚する。それは彼女が泳げない、つまりカナヅチであることだ。この設定が物語最終のスペクタクルで活かされることで本書で初めて二階堂蘭子が類型的な万能探偵から一歩抜きんでた思いがした。 また文書庫の秘密を知り、打ちひしがれるマザー・プリシラの様子はそのまま未来の作者そのものを示しているかのように思える。 ど真ん中の本格ミステリをこよなく愛するがゆえに、その愛が深いだけに亜流や境界線上の本格ミステリに対して「○○は断じて本格ミステリではない!」、「本格ミステリとは斯くあるべきだ」と持論を強硬に展開するあまり、本格ミステリ論争まで仕掛けて、論破されそうになると正面からの抗議を避け、外側の部分で議論を煙に巻くという愚行に出た二階堂氏。私はこの「『容疑者xの献身』本格ミステリ論争」における氏の無様な姿に大いに失望した。 更にその後島田荘司氏を旗頭として掲げつつ、『本格ミステリ・ワールド』というムックを立ち上げ、いわゆる『俺ミス』と揶揄されるようになる、自身の認める本格ミステリを「黄金のミステリー」と題して選出するようになった。その結果、このムックはほどなく休刊に至る。 つまりマザー・プリシラこそ作者そのものなのだ。ミステリという宗教の中で本格ミステリのみを信奉し、それ以外のミステリを排するようになり、そして世間の目がやがて自身の好む本格ミステリから外れた作風へ嗜好が変化しそうになると、それを認めず、自分好みのミステリ選出をしてご満悦に至る。 折角これほどまでにたくさんの本格ミステリガジェットと豊富な知識を盛り込んだ面白い作品を書けるのに、それを他に強いるのは愚の骨頂である。作者は己の信じるものを自身の作品で語ることで答えにすればよいだけだ。それを絶対的真理や定理のように強要するのは決してやるべきでない。 聖アウスラ修道院の惨劇は数年後に自らが招いた二階堂黎人の惨劇になってしまった。彼があの日あの時、本書を読んでいたらあのような愚行は避けられたのではないか。未来の自分を予見したのは実はあの論争を引き起こす12年前の自分であった。実に皮肉な話である。 |
No.12 | 5点 | はっすー | 2017/08/21 00:50 |
---|---|---|---|
壁に投げつけた人もいると聞いて久しぶりの二階堂氏の作品
正直長い… 最後の真相には驚かされたものの他の暗号や密室トリックがあぁ…となってしまうレベル(でも壁には投げませんでした) 首無し死体の真相はどんでん返しのせいで最初は良かったのに結局それか…となってしまいモヤモヤ… 沢山の探偵小説要素を詰め込んだせいで個々のトリックのバランスが悪くなってしまった印象を受けました ただ二階堂氏がプロット重視と言っているようにいわゆる“探偵小説”としては面白いかも |
No.11 | 6点 | TON2 | 2012/12/10 18:12 |
---|---|---|---|
講談社文庫
昭和40年代後半、長野県の野尻湖畔にある聖アウスラ修道院で起こったヨハネ黙示録に見立てた殺人事件を、二階堂蘭子が謎解きます。 扱っている宗教的問題は、面白く感じました。 二階堂蘭子は、真相にたどり着いていながら、確信するまで口外しないため、奇矯な行動をとることになります。どうもこういう超人的探偵にはなじめません。 |
No.10 | 5点 | E-BANKER | 2009/10/04 21:59 |
---|---|---|---|
二階堂蘭子シリーズの長編3作目。
初期の蘭子シリーズとしては出来の悪い部類でしょうねぇ。首切り殺人やキリスト教の暗部など、後の作品にも度々出てくるようなギミックも登場しますが、今回はいかんせんトリックがパッとしないです。 蘭子シリーズは、たびたび犯罪のバックボーンとして宗教絡みの話が出てきますが、なかなか呑み込めない部分がありますね。 |
No.9 | 4点 | teddhiri | 2008/10/26 21:52 |
---|---|---|---|
犯人の正体やトリックはともかく、文書庫の正体やエピローグが辛い。 |
No.8 | 6点 | ばやし | 2004/12/21 20:31 |
---|---|---|---|
おもしろっかった^^吸血鬼のはなしが出て来たときには頭が?になったけど(笑) |
No.7 | 3点 | Platonic Pimp | 2004/10/15 13:45 |
---|---|---|---|
淡々と読んだが、あまり印象ないし、トリックも よくあるタイプですぐにわかった。 ダークなフインキなら綾辻さんの暗黒館の殺人のほうが上 |
No.6 | 5点 | Ryu | 2004/08/19 22:09 |
---|---|---|---|
なんかあんまり印象にない。 |
No.5 | 8点 | ギザじゅう | 2004/02/26 12:12 |
---|---|---|---|
ロジックよりトリックというだけあって、ロジックはやや飛躍気味で納得しづらいところがあるがそれを指摘するのはナンセンス。真相の意外性と豪快なトリック(密室トリックはいまいちだが・・・)を楽しめさえすればよいと思う。 舞台、真相の悪魔性、ペダントリー、どれもが前二作をはるかに凌駕する物。ただし現実からの遊離性と内容の過多気味の点で灰汁が強すぎて読者を選ぶ嫌いもある。 |
No.4 | 6点 | テツロー | 2002/03/22 21:43 |
---|---|---|---|
読んでて途中で思ったんですが、作者ではなく作中人物の二階堂黎人って、全然存在感ないですよね。記述者なんだからそこにいるのは分かってるんですが、学院内調査中の時、蘭子に「ねえ、黎人」と呼びかけられて、「お前、いたのか」と思ったぐらいです。 「地獄の奇術師」と比べて犯人分からなかった分は良いと思うし、蘭子の描写そのものは僕は文句無いのですが、上記の件でこの点数。 |
No.3 | 6点 | のり | 2002/03/08 02:31 |
---|---|---|---|
途中までは読みやすいし、テンポも良かったのに、ラストがあれ?って感じでした。犯人探しやどんでん返しも、「やっぱり」とか「興醒め」という感じ。なんか惜しい。 |
No.2 | 3点 | モトキング | 2001/12/27 16:14 |
---|---|---|---|
この作品は、雰囲気倒れな感を否めません。 ひたすらダークで神秘的な、ミステリとしては非常に理想型の舞台を用意しながら、解決がパッとしません。やたらミステリとして謎をばらまきながらも、秘密の洞窟やらキリストの秘宝だかが出てくるラスト近くは、まるでインディージョーンズです。 ミステリというより、ハリウッド的な冒険小説とでも銘打った方がよいのではないでしょうか。ただ、純粋にエンターテイメント性でも大して面白いとは思えませんが。 |
No.1 | 4点 | やすし | 2001/08/08 22:56 |
---|---|---|---|
大変努力して頑張って書いていることは、文章の隙間から伺えるのだが、その割には上出来の作品として誉めるわけにはいかない。 アウスラ修道院の登場人物の謎や信仰の謎もそれ自体としてみた時、面白いが、実際には無理な点があるのではないか? |