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[ 本格/新本格 ]
地獄の奇術師
二階堂蘭子シリーズ
二階堂黎人 出版月: 1992年08月 平均: 5.08点 書評数: 36件

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講談社
1992年08月

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1995年07月

No.36 7点 密室とアリバイ 2023/05/02 18:51
好きな作家だからこそ厳しい点をつけます。ここで挫折せずに「吸血の家」もぜひ読んでいただきたい。

No.35 4点 斎藤警部 2020/11/09 18:45
もはや歌舞伎。脳内見得をいちいち切らずには読めません。長い小説ながら展開も機敏、無駄は無し。ところが結末前半に達し、なかなかに底の浅い心理&物理トリックで塗り立てられた麩菓子構造の物語だった事が判明!! ←麩菓子は大好きです。 そこから心機一転?巻き返してからの結末後半も、目を疑う同種の浅はかさとこじつけスピリット発露で目がチカチカする!! 結末直前までは相当に面白かったんですよ。新本格だってんなら、まさかこの人物が真犯人ってことはねー~よな、などと思い込んでましたよ。思わせぶりなプロローグも、結果的にエピローグも、思わせぶりなだけでちっとも化けず(YHWH....)。1967の日本の話だってのにGSのGの字も出て来やしねえ。黎人と蘭子の微妙な関係をハードボイルド的に描写する力はある。そこはいい。物理的残酷描写に妙な皮膚感覚リアリティがむんむんで、人によってはかなりの嫌悪感でしょう。←褒めてますよ。 ところで講談社文庫の表紙はいったい誰? 中村憲剛じゃないですよね?? (ネタバレぽいが、真犯人ってこと??)

「面白いという言い方は死んだ者に対して不謹慎かもしれんが、確かに興味深い事件だった。歪んだ家庭と秘められた欲望、人知を超えた魔のトリック、そして勇敢な君たちの冒険。ある意味で、人間の多面性が非常によく表現された事件だったと私は思う。」 ←何なんだこの台詞は!!

No.34 5点 人並由真 2020/04/08 05:15
(ネタバレなし)
 数日前、蔵書の山の中に、そのうち電車の中で読もうとか大分前に思いながら手製の紙カバーをつけておき、結局そのまま忘れていた講談社ノベルス版を発見。そーいや、これまだ読んでなかったなあと自覚して、一晩で読了した。
 
 全体としては、四半世紀前の新本格黎明期の中で、作者の若さで書かれた一冊という印象であった。
 最後に大上段にふりかぶって明かされる動機のくだりなど、もしかしたら当時の二階堂センセは自分なりに、四大奇書ランクの長編を狙っていたのかねとも思ったりした。そこまで言ってしまうと、こっちの勝手なかいかぶりか?
 ちなみにみなさんの例に漏れず、自分も犯人は早々に丸わかりであった(笑)。
 
 第二&第三の殺人のトンデモな動機は、くだらなくって結構スキかも(作中の被害者には悪いが)。
 あとさりげなく東西のメジャー&マイナーミステリのネタバレ大博覧会みたいな感じでもあるが、ちゃんと寸止めは心得てくれているのかね? すでに読んだミステリについてのいくつかの記述を読むと、未読の作品を今後賞味するとき、一部どーも不安になりそうである。

 ところで本サイトでは、二階堂蘭子のキャラは不評のようだが(?)、個人的には別の蘭子の登場作品『聖アウスラ修道院の惨劇』は国産ミステリのオールタイムベスト10に入れたいくらいに大スキである。だからすでに初登場の本作で、おなじみの蘭子の名探偵キャラクターが確立されていたのが嬉しい(笑)。

 それとノベルス版110ページでの婆さんの一言が妙に気になるのだけれど、もしかしたらこれはこの時点での、今後のシリーズ展開に向けた仕込みでもあったりしたのであろーか。んー、考えすぎかもしれんが。

No.33 6点 ミステリ初心者 2020/01/10 19:11
ネタバレをしています。

 二階堂黎人さんの作品を読むのは2作目です。難しい漢字を使っていないためか、句読点や文が私と相性が良いのか、前に読んだものと同様に非常に読みやすく、ページ数の多さを全く感じませんでした。
 古典作品のお約束を踏襲するような雰囲気が最高でした。不気味で派手(?)な奇術師が早い段階で登場し、一気に物語に引き込まれます。過去の恨みと隠し事のある被害者たち、家系図や血筋の話。横溝作品的雰囲気を感じました(あまり深くはしりませんが)。

 非常に読みやすい作風に好感が持てる一方で、推理小説的要素である犯人当てやトリックはいまいち楽しめませんでした。
 細かい複線をすべて回収できたわけではありませんが、結構早い段階で英希を疑ってしまいました(笑)。なんか、非常に臭いキャラクターですよね(笑)。そのため、あまり意外性はありませんでした。
 さらに、トリック部分についてもいまいち好みではありませんでした。大きいイベントとして、清美・広美・竹子と秀一と義彦・亀ゑ門が襲われています。しかし、共犯ありきの犯行なので、それもインパクトに欠けます。名探偵から共犯の可能性が示唆されているのでフェアなのですが、共犯は好みではありません。
 義彦と亀ゑ門殺しの密室も完全には予想できませんでしたが、大きな予想外というわけでもなく拍子抜けでした。密室の必然性もよくわからず、亀ゑ門がわざとミスをした説が蘭子からでましたが、いずれにせよ読者がそれを推理することは不可能ですね。

 20章?の死亡の座の、蘭子による英希の動機を語る部分ですが、頭パープリンの私にはよくわかりませんでした(笑)。不要に思えます。

No.32 4点 レッドキング 2019/09/02 09:58
これが江戸川乱歩の作品だったら、敬意を表して「名誉9点」位は付けちゃってたかもなあ。
それにしても、あの女子高生探偵のキャラ、もちっと何とかならんのか。

No.31 5点 nukkam 2016/05/24 19:22
(ネタバレなしです) 二階堂黎人(1959年生まれ)の1992年発表のデビュー作である本書(二階堂蘭子シリーズ第1作)は、作中時代を1960年代後半に設定し、警察を翻弄する神出鬼没の怪人を登場させてまるで江戸川乱歩のスリラー小説を連想させるようなレトロ趣味が印象的です。似たようなプロットでは山村正夫の「湯殿山麓呪い村」(1980年)もありますが、あちらはもっと現代風の雰囲気です。グロテスクな場面もあり、描写力に秀でていますがこれは好き嫌いが分かれそうですね(個人的にはここまで乱歩を意識しなくてもと言いたいところです)。巻末に謎解き脚注を付けて読者に対するフェアプレーを意識しているところはいかにも「新本格派」の作家ならではです。謎解きがお粗末に感じられる部分もいくつかありますが、作者の意欲が非常によく伝わってきます。

No.30 4点 青い車 2016/01/27 18:26
厳しい意見になりますが「グレードの落ちた高木彬光」みたいな印象。トリックに創意が乏しいだけでなく、犯人のあからさまさ、道具立ての借り物感、描写の無駄なグロテスクさなど全体に粗が目立ちます。デビュー作なので多少の欠点はおおらかに見るべきなのでしょうが、二階堂さんは大作が多いのでなかなか手が出せないでいて評価を改める機会がまだありません。聞くところによると古風な筆致が持ち味の人らしいので手を出しても二の足を踏みそうで怖い…。

No.29 4点 初老人 2015/07/29 01:54
ホテルで使われた密室トリックは私程度の者であっても予測出来る程の難易度の低さ。おそらく大多数の読者がトリックの骨子は掴めてしまったにちがいない。
トリックの解明と合わせて犯行を手引きし実行した容疑者としてある人物の名前が上がるが勿論彼(か彼女?)が真の犯人といった安易な結末では終わらず、裏で糸を引いていた人物が判明する。
しかしながらこの最終的な犯人が実に魅力に乏しい人物で、 蘭子に最終局面で再三に渡りミスを指摘される等散々な結果を招く。この作品よりは謎の密度、トリックの質といった点で吸血の家の方がはるかにオススメ。

No.28 4点 三木対馬 2015/01/23 02:58
 これぞ古き良き時代、まだミステリが探偵小説と呼ばれ、ホラーとの垣根が低かった時代を髣髴とさせる古き良き時代の探偵小説。
 怪奇・論理・冒険・謎解きといった要素をこれでもかと全部のせにした作品です。十戒のくだりは蘭子さんではなく犯人に語らせればよかったんじゃないかと思いましたが、そうするとテンポが悪くなるためやむなく最後に挿入したのでしょう。

No.27 5点 バード 2014/02/17 18:53
カトリックで裏のある一族、隻腕の怪しい男、現場に残されるトランプ、数々の密室、偶然事件に巻き込まれる素人探偵、本格ミステリ好きなら涎を流しそうなてんこ盛りなんだが・・・、どうも少し料理の仕方が悪かった気がするなぁ。

不満点が結構あるけど一言にまとめるとプロットが甘い、この書き方じゃそう簡単に読者は騙されてくれないと思う。真犯人は割と最初から怪しいし事件の裏も隠しきれてない。最後の十戒のくだりもページがいたずらに増えるだけで不要だと思う。


デビュー作というのと舞台が懐かしい場所でほっこりしたので甘めに採点してこの点数。

No.26 4点 りらっくま 2013/07/11 21:35
作者の気合いが空回りしてる印象。
この手の設定を十分消化しきれてないかな。





最後犯人が落雷で死ぬなんて・・・・_| ̄|○

No.25 2点 TON2 2013/01/15 18:16
講談社NOVELS
 二階堂蘭子初登場作品。
 乱歩の雰囲気をまねているようですが、ちゃちさが抜けていません。だいたい昭和40年代の話とはいえ、ABO式の血液型で実の親子ではないと探偵が指摘するまで、警察が気づかないというのはあり得ません。

No.24 2点 海桐 2012/04/28 21:14
人狼城、聖アウスラ修道院に興味を持ったのでこの作品から読んでみたが、
なかなかの期待外れだった。
女探偵という設定は悪くないが、性格に魅力を感じない。
序盤に衒学で彩られた小説を批判しているが、この作品も宗教じみた動機や注釈塗れの古典ミステリ引用が鼻につく。
終盤、それまで普通の喋り方だった人物が犯人と判明した途端「私は○○なのだ! わはは!」と魔王のような言葉遣いになったり、
格闘シーンを傍観している主人公は「私は目を丸くした。」「私は心底驚かされた。」の連続で緊迫感の欠片も無かったり、
どうもそのような点が目に付いて物語りに集中できない。
警視や記者といったキャラクターも別段活躍せず、長い割りに印象に残らない作品だった。
2作目はどうかな?

No.23 2点 星屑の仔 2010/02/14 13:14
何て言うか・・・・・・
無駄に長かった。
冗長だった。
たぶん、事件そのものだけを書けば半分に収まっていたんじゃないかな。
なんか宗教の蘊蓄を語られたが、良く分からなかった。
言葉も何か芝居かかっていて読み辛かった。

うん、以上。

No.22 6点 vivi 2010/01/14 01:35
皆さんのおっしゃるように、犯人は分かりやすいですね。
それはやっぱり、この作品が良くも悪くも、
「古き良き探偵小説」を踏襲していることが、
古典的作品を読んでる人には分かってしまうからかも。

私は、どうにもこの探偵・蘭子が好きになれず、
何のシンパシーも抱くことができません。
キャラ好きの私には、その点がこのシリーズへの敷居の高さです。

蘭子が、解決編でゴチャゴチャ宗教的な解釈をしていますが、
本当は「呪い」だった・・・というのが、メタ視点での読み方かも(笑)

No.21 2点 ケニー 2009/12/25 18:14
犯人が一瞬でわかってしまったので、その後何をどうしようと、「どうせこの人が犯人なのに・・・」と全く驚きがなかった。この著者の作品を読むのは初めてだっただけに残念の一言でした。

No.20 6点 E-BANKER 2009/09/07 22:28
二階堂蘭子の探偵譚第1章。
作者の記念すべきデビュー作。
~十字架屋敷と呼ばれる実業家の邸宅に、ミイラのような男が出現した。顔中に包帯を巻いた、異様な格好である。自らを「地獄の奇術師」と名乗り、復讐のためにこの実業家一族を皆殺しにすると予告したのだ。「地獄の奇術師」の目的は何なのか? 女子高生で名探偵・二階堂蘭子の推理が冴え渡る~

「江戸川乱歩」の世界が甦った!というべき雰囲気。
時は昭和40年代。かろうじて、東京郊外であれば、まだ夜の闇に怖さが残っていた時代なのでしょう。
それ以上に、現代であれば当然行われる「DNA鑑定」などの先進的科学捜査が、まだ運用されていなかった時代、という方がより重要な時代設定なのでしょう。
しかし、前半のくだりはどうなんでしょうねぇ・・・
昔読んだ、怪人二十面相シリーズを彷彿させる、ゾクゾクさせるような展開。
あまりにも大時代的すぎて、ついていけなくなる読者も多いことでしょう。
2作目(「吸血の家」)以降は、大掛かりなトリックで、読者の度肝を抜くようなプロットが登場しますが、本作ではその辺りが弱くて、中途半端。
まぁ、意外な真犯人とその動機が本作の「肝」だとは思いますが、ちょっと荒唐無稽な感がどうしてもつきまといます。

ただ、本シリーズの作品中には、本作のエピソードがたびたび登場しますので、シリーズ作を読まれる方にとってはどうしても避けて通れない1冊とは言えるでしょう。
(しかし、「地獄の奇術師」なんてネーミング! 二階堂氏以外は付けないだろうなぁ・・・)

No.19 4点 堀木正雄 2009/09/01 14:21
暗いパロディといった感じ。
特にクイーンの例の作品そのまま引用してるし…。著者が探偵小説好きなのは分かるがあまりに古典的名作の借用が多いです。

No.18 4点 いけお 2008/11/28 09:26
雰囲気でカバーしているが、誰が、なぜ、どうやっての部分が揃って弱い。
文章は読みにくいことは無かったが、無駄な修飾文が多い印象。
人物や設定にリアリティを求めるのは筋違いだろうが「〜ですわ」だけは気になる。

No.17 4点 あい 2008/06/20 14:05
あんまりおもしろくない


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