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[ 本格/新本格 ]
地獄の道化師
明智小五郎シリーズ
江戸川乱歩 出版月: 1974年06月 平均: 6.20点 書評数: 10件

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角川書店
1974年06月

光文社
2005年08月

沖積舎
2007年10月

春陽堂書店
2015年03月

集英社
2017年04月

No.10 7点 みりん 2024/10/29 04:41
犯人消失トリック・犯人の意外性・真相の納得感など、今まで読んできた乱歩の通俗物の中では出色の出来映えだと思いました。私は空さんが指摘している誘拐の描写ですっかりミスリードされたせいで、真相は普通に衝撃的でありました。なにかと謙遜(というか卑下)するイメージの乱歩でさえも「通俗ものながら、犯人の意外性の構成は、ややうまくできていたのではないかと思う」と言っています。それにしても、男の○○○は流石にズルいwww
話の流れは毎度お決まりのパターンですが、それでそれなりに面白くなってしまうので仕方ないです。

No.9 6点 虫暮部 2023/08/17 12:16
 この犯人の設定はあんまりと言えばあんまりだが、それだけに捨て身のトリック(他作品では、リスクが大きい、そこまでしなくても、と感じることが多いパターン)に説得力がある。
 後半では捜査陣を利用して犯人が被害者に接近。“巨人の影”~“屋根裏の怪異” は警察が相応の対処をする前提のショウ・タイムであって、そのへんを解決編でもっと強調してもいいのに。

No.8 6点 斎藤警部 2021/11/01 20:56
犯人の意外性より、犯人像の鮮烈な悲劇性ですね。通俗なものではありますが、通俗ならではの刺さり具合です。それはまた、犯人が物語の中で実は一度も■■を■■ていない(■■でもないのに!)という異様な事実にも染め上げられてありましょう。 ミステリー三昧さんも書いておられますが、最後の最後まで確定容疑者を一人に絞らせない周到な技が光ります(或る人物が■■■■のまま、というのが大きいかな)。こんだけ毒々しい物語の末にバッサリしたエンドも良し(妖怪人間ベムを彷彿)。サイズ感含め「一寸法師」との喰い合わせは確かに良いですな。

No.7 6点 レッドキング 2020/11/27 20:21
書評見てて、あれ?自分もこれ採点しなかったっけ?と不思議な気がしたが、そうだ、二階堂黎人「地獄の奇術師」の方だった。犯人の哀れさをことさらに憐れまないドライさがよい。

No.6 6点 2020/11/25 23:39
長めの中編、あるいは短めの長編という長さの本作は、石膏像の中から死体が発見されるという乱歩らしい発端ですが、偶然踏切での事故が起こらなかったら犯人はどうするつもりだったのか、少々疑問はあります。もちろんなんとかして死体が発見されるようにできなくはありませんが。
その後もいかにも乱歩らしい展開は続きますが、全体としては皆さん書かれているとおり、謎解き的興味の強い、犯人の意外性を工夫した作品に仕上がっています。ただあい子が誘拐されるシーンについては、犯人はあい子に道化師の扮装をしていない顔を見せ、会話もしているように書かれているのは問題ありで、これも説明がつかなくはないのですが、明智の推理だけでははっきりしません。
最初の事件の死体の偶然要素については、その偶然があったからこそ、犯人はこんな計画を立てたわけだとは思うのですが、それでもいくらなんでもという気はします。

No.5 6点 メルカトル 2017/09/03 22:28
小学生の時に「少年探偵団シリーズ」の一作として読みましたが、非常に感動しました。一応図書室にあったものは全巻読破していますが本作がシリーズ中では最高傑作だと思いました。しかし何せ小学生でしたから、顔のない死体などには全く慣れておらず(多分初めての体験だったと思いますが)、意外な犯人という観点からも一読者としてまだまだ未熟でした。
当然大人になってからあらすじなどほぼ忘れてしまっていましたので再読してみましたが、乱歩としては本格ミステリの色合いが濃いとは言え、分かりやすい犯人像や比較的すんなりとしたプロットに違和感を覚えました。「あれ?こんなんだったっけ」みたいな感覚でしたね。つまり拍子抜けですか。やはりミステリばかり読みすぎて免疫ができてしまったせいか、この程度では驚きや感銘を受けないような体質になっていたんですね。
子供の頃の感動は薄れ、擦れた一ミステリファンとしての私が、この作品を素晴らしいと絶賛することを許しませんでした。さすがに読まなければよかったとは思いませんでしたが、夢のような体験が苦い思い出に変わるのをどうしても避けることができないという、辛い経験をしました。

No.4 5点 ボナンザ 2014/04/07 21:53
乱歩は同様の仕掛けで多く作品を書いているが、初見ならそれなりに楽しめるできになっている。

No.3 5点 haruka 2013/11/17 16:52
そこそこ意外性のあるどんでん返しが用意されているが、今読むとミエミエだろう。

No.2 6点 ミステリー三昧 2009/08/28 15:16
<江戸川乱歩全集13>明智小五郎シリーズ(中篇/1939)です。
怪奇幻想趣味(変格)よりも理知的興味(本格)に重点置いた推理小説とのこと。最大の謎となる地獄の道化師の正体はなんとなく察することができました。明智が語った「逆説論」を心得ていた点が大きく、動機の観点から考えても分かりやすい犯人当てでした。でも、ある手を使ったミスディレクションが多用されてるため最後の最後まで確信が得られないプロットになっていた点でミステリの質は高めです。中編の推理小説だったことや二重三重の偶然に頼った部分で少し点数を低めにしましたが、江戸川乱歩の「本格」を味わいたい人にはオススメできる作品です。

No.1 9点 シュウ 2008/09/26 19:00
乱歩の長編作品は犯人当てとしては結構分かりやすいものが多く、最高傑作とされる孤島の鬼でも犯人は中盤には分かってしまいます。
つまり推理小説というより冒険活劇小説と言った方がいいものが多いのですが、これは最後の最後に意外な犯人が判明するため珍しく犯人当てが楽しめます。
恐怖度も高く、今思い返してもあの犯人像にはちょっと寒気がします。ついでに明智の思いやりのかけらもない言動にも寒気がしますw
個人的には乱歩の長編作品としてはこれが最高傑作だと思うのですが、あまり分かってもらえません。


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