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[ 本格/新本格 ]
犬はどこだ
S&Rシリーズ
米澤穂信 出版月: 2005年07月 平均: 6.25点 書評数: 16件

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東京創元社
2005年07月

東京創元社
2008年02月

No.16 6点 パメル 2021/10/23 08:20
故郷の八保市に戻り、紺屋S&R(サーチ&レスキュー)という犬を捜す商売を始めた紺屋長一郎。開業早々、二つの依頼が舞い込む。一つは、孫の行方を捜して欲しいというもの。もう一つは、神社に伝わる古文書の由来を調べること。犬捜しではないことに不本意な長一郎だったが、探偵になりたいと押しかけてきた高校の後輩・ハンペーこと半田平吉と調査にとりかかる。
本当は人捜しなどしたくない長一郎だが、彼の視点では意外なほど本格的なハードボイルドな語りが楽しめる。一方、ハンペーの視点はトレンチコートやサングラス、マティーニという形から入りたいハンペーらしい、ユーモラスな語りが楽しめる。途中、「オロロ畑でつかまえて」が引き合いに出されるように、萩原浩氏の「ハードボイルド・エッグ」のような雰囲気。
この二人の視点が交互に語られ、それぞれの調査が描かれ、失踪人捜しと古文書調査がどのように一本に繋がっていくのかという意外性が読みどころ。途中で挿入される長一郎とGENのチャットもいいアクセントとなっている。やがて、現代の病巣ともいえる犯罪があぶり出され、追う者と追われる者、それに介入する主人公というよくある図式が展開される。
ラストは、それが一瞬にして反転する鮮やかな逆転劇が用意されている。悪くなないが、何故かもどかしさを感じた。普通ならば、途中経過の調査報告をもっと頻繁にするのではないだろうか。

No.15 7点 sophia 2019/09/03 00:27
二つの依頼に共通点があることは早い段階で読者には分かっているのですが、いかんせん報連相のなっていない二人の調査員たちは気付きません。しかしながら二つの依頼がどう絡み合うのかまでは終盤まで読者にも分からないという構成。絡み合ってからは急加速で面白くなりました。ネットから現実世界に移った鬼ごっこの構図の反転が鮮やか。しかし、最後あっさりしすぎでは?更なる高評価もあり得た作品だと思うのでちょっともったいなかったですね。あと、主人公がなぜ犬捜しを専門にしたいのかがよく分かりませんでした。タイトルに「犬」を入れる程であれば語って欲しかったです。語ってましたっけ?
余談。「鎌手」は「構ってちゃん」ってことかと思ってました(笑)それと「2ちゃんねる(今は5ちゃんねるですが)」という言葉が小説にはっきり出てくるのは新鮮でした。

No.14 6点 青い車 2016/05/20 22:45
 どこか乾いていて、さながらハードボイルドのような文体が気に入りました。それでいて、ネット上のトラブルが事件の発端となっている現代的な要素があるのも面白いです。スカッとした爽快感はないものの何とも言えない余韻の残るラストも印象的。シリーズ化を期待したいのですが、現在のところこの一作だけで止まっているので続篇はもう書かれないのでしょうか?

No.13 5点 風桜青紫 2015/12/19 09:01
軽いタッチのハードボイルドもので、まあ、サクッと読めた。……としか言いようがない。事件のインパクトがうすいんだよね。米澤本人はこんなとってけたようなオチでも「連城三紀彦的」とか思ってそうだけど。紺屋くんのどうしようもなさとか、ネットで絡んでくる奴の怖さとか、けっこう楽しめるところもあったから5点。

No.12 4点 ボナンザ 2014/06/04 13:55
二つの事件を合わせたといっても古文書の方は事件ですらないじゃん・・・。
おそらくこのアイディアが先にあったのではなく、どうやって二つの事件を合流させる作品を書くか知恵を絞ったのではなかろうか。
つながりに必然性が乏しい。
テーマ自体は米澤流七人の侍ってとこかな?

No.11 6点 E-BANKER 2014/05/11 20:52
2005年に発表された作者六番目の長編作品。
「氷菓」「愚者のエンドロール」など「古典部シリーズ」、そしてライトノベル風味以外では初の作品という位置付けとなる。

~何か自営業を始めようと決めたとき、最初に思い付いたのはお好み焼き屋だった。しかしお好み焼き屋は支障があって叶わなかった。そこで探偵事務所を開いた。この事務所<紺屋S&R>が想定している業務内容は、ただひとつ「犬」だ。犬捜しをするのだ・・・。それなのに開業するや否や舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかもこの二つは調査過程で微妙にクロスしてきて・・・。いったいこの事件の全体像とは?~

作者の“筆達者”振りを感じられる作品だろう。
冒頭に触れたとおり、それまでのラノベ風味ミステリーから、軽タッチのハードボイルド作品に挑戦した本作。
この挑戦はまずまず成功を収めたということになるかな。

探偵事務所開業早々、妙な依頼を引き受けることになった主人公・紺屋。しかも二つも・・・。
序盤から中盤にかけては、紺屋と助手の二人の捜査過程が順に語られることになる。
調査は徐々に進むものの、なかなか事件の全体像が掴めないまま終盤に突入。
(どなたかも指摘していたが、二人が互いに情報交換しないことが事件の解明が進まない原因となっている)
そして、ラストにはそれまでの調査結果を反転させる結果が待ち受けている・・・
心に傷を負い故郷に帰省せざるをえなくなった主人公・紺屋の造形もなかなか嵌っていて良い。

ということでここまで褒めてきたけど、全体的にはもうワンパンチ欲しかったなぁというのが本音。
これまで読んだ他作品(例えば「インシテミル」や「追想五段章」など)でもそうだったけど、作者のやりたいこと、描きたいプロットというのは十分に理解できるし、それなりの評価に値する水準なのだけど、どこかもうひとつ足りないような気にさせられるのだ。
未読の作品(「折れた竜骨」「満願」など)には満足のいくものがあるのかもしれないが、まだまだ伸びしろの期待できる年齢&キャリアだし、今後に期待したい。
(などと、エラそうなことを書いてみたりする・・・)

まぁ本作で一番のお気に入りは、ラストの一行で決まりだろう。(これがタイトルの意味なのかな?)

No.10 8点 mohicant 2012/10/15 22:38
 キャラクターに愛着が持てたし、ストーリーもしっかりとした複線があってなかなか。単発で終わらせるにはもったいない。続編期待。

No.9 8点 itokin 2012/09/04 21:42
軽妙な言い回しと凸凹探偵のキャラクターが最高、軽ハードボイルド調で読み手を飽きさせない最後の終わり方もこの本の特徴が出ていて面白い。続編が出ればすぐに読みたい気持ちだ。

No.8 6点 isurrender 2011/08/15 16:04
読みやすさは抜群だと思う
ユーモラスなハードボイルドのようであり、ラストにどうなるんだろうと読者に期待させる描き方も上手い
そしてあのラストになるとは正直予想してなかった
でも、あのラストであるにも関わらず読了感が悪くないところが良い

No.7 5点 kanamori 2010/07/12 21:04
犬探し専門探偵のはずが、失踪人探し&古文書の解読に取り組むことになる探偵と助手。
ひと言でいうと青春私立探偵小説というになりますが、設定に既読感あるものの、終盤の構図の反転は面白かった。
脇役の造形がいつも秀逸な作者らしく、主人公より助手がいい味だしています。

No.6 7点 dei 2010/04/30 00:15
なかなかな作品。
ライトでさくっと読めて、楽しめる。

No.5 6点 まさむね 2010/03/08 21:30
基本的に探偵と助手の2視点での一人称ですが,何ら違和感なく入り込めます。(まあ,読者としては両視点での情報を入手しているだけに、「互いに報告しとけよ」っていうもどかしさもあるでしょうが…)また,時折織り込まれている,チャットやログなどの「電子的文章」がいいアクセントになっており,素直に読み進めやすいですね。
後半~ラストは,好みの問題もあると思いますが,私は「余韻」というよりも,やや中途半端なイメージが残りました。
しかし,各キャラクターがなかなか魅力的で,純粋に楽しめます。シリーズ化が楽しみ。

No.4 8点 文生 2010/01/22 08:40
軽妙な登場人物のやり取りが楽しく、事件の展開も意外さがあって引き込まれる。
そしてヒネリの効いたラストがいい。
軽ハードボイルド本格風味の傑作。

No.3 7点 あるびれお 2009/06/13 04:34
探偵と助手の「行き違い」の連続に、報告・連絡・相談の重要性を再確認させられました(笑)ラストはなんというか、ハードボイルドしてますね。

No.2 7点 江守森江 2009/05/22 18:30
読み始めは日常の謎っぽいのだが途中からハードボイルドに転じる。
結末にチョットビビってしまった。
※対策的な余談
この作品の様に、身元を探られ嫌がらせされない為に、ここの書評にも身元に関しては嘘を散りばめている。

No.1 4点 ぷねうま 2007/11/17 07:12
今までの作者の作風とは一味違った感じ。
なので今までの米澤の「日常の謎とキャラクター」に魅力を感じていた読者には少し期待外れか。


米澤穂信
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