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[ 日常の謎 ]
夏期限定トロピカルパフェ事件
小市民シリーズ
米澤穂信 出版月: 2006年04月 平均: 5.70点 書評数: 20件

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東京創元社
2006年04月

No.20 5点 2021/03/19 17:52
 〈日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!〉互恵関係にある男女二人が、清く慎ましい高校生活を目指す〈小市民〉シリーズ第二弾。収録作は間奏曲を除くと、隔月刊誌「ミステリーズ!」2005年10,12月号掲載の「シャルロットだけはぼくのもの」「シェイク・ハーフ」に、書き下ろしの小佐内さん誘拐編AB面 おいで、キャンデーをあげる/スイート・メモリー を加えた実質三作品。前作で正体を明かして吹っ切れたのか〈小市民の誓い〉などどこへやら、いきなり高下駄で常悟朗の向こう脛を蹴り飛ばすなど、小佐内さんしょっぱなから〈孤狼の心〉全開である。
 企みの布石は序盤から打たれているが、魅力的な設定からファンの多い「シャルロット~」のみややイレギュラー。〈彼女に買ってきてねと頼まれたケーキを、こっそり一個だけ多く食べてしまおう!〉という身につまされるシチュエーションだが、百も承知で仕掛けた勝負とはいえ、これは明らかにジョーゴロが不利。この状況だと意識が最初に向く場所に手掛かりがある上、相手がずっと冷房下にいた事も考え併せると更に分が悪い。わざと気付かないでいるのが大人の対応だと思うが、ゆきにはそれはちょっと無理か。尤もこの二人の関係は、そんな事で壊れはしないようだが。
 と思ってたら中盤暗号モノ?の「シェイク~」を挟んで終盤まさかの展開。狙い澄ました一撃がこれ以上無く効果的に働いた後、あらゆる因果は精算される。絶品の筈の溶けかけた特製トロピカルパフェは、高二の夏の思い出を含んで胸焼けするほど甘く苦い。作者のジャンピングボードたる一冊だけど、小佐内さんの行為を許せない人には少々辛い作り。なので無難な前作の方が、オジサンの口には合ってます。

No.19 6点 じきる 2020/08/30 16:40
連作短編としては中々の出来。
登場人物の癖は前作以上に出ている。

No.18 6点 青い車 2016/08/28 00:01
 春期と同じく、謎解きの醍醐味は小規模な事件が中心となる「日常の謎」系として見ても弱い、というのが正直な感想です(『シャルロットだけはぼくのもの』は引きつけられましたが)。それでも、今回は小佐内さん誘拐というスリリングな展開で前作より読者へのアピールは強くなっています。あと問題となるのは主人公ふたりにどれだけ共感を覚えられるかですが、僕は共感まではいかずともちょっと変わった価値観のある子たちを見守る、という程度のスタンスで読みました。

No.17 5点 風桜青紫 2015/12/19 08:37
米澤穂信ってこの作品で一気にミステリランキングに名をつらねたんだけど、いまいちどこがすごいのはわからん(そこまで上位じゃないから、別にすごいわけでもないんだろうけど)。『シャルロットだけはぼくのもの』とか面白そうな事件設定なのに解決がしょうもなさすぎてがっかりしてしまった。ジョーゴロもゆきもあまり好きじゃないからキャラ読みできない(ゆきはもっとボコボコにされるべきだった)し、前作のが面白かったな。とはいえ安定した読み心地だったし、5点ぐらいはつけてもいいだろう。

No.16 6点 505 2015/09/30 21:17
前作から時間がかなり経過しており、高校2年の夏休みになっている。長編小説という体裁を採っているが、最初の2篇だけは比較的独立しているのが特徴的。 また、ミステリとしての仕掛けも前作以上であり、一本のネタで持っていくパワーがあるのは確か。
「シャルロットだけはぼくのもの」は倒叙ミステリ。犯行が如何に暴かれるのか、という知恵比べを楽しめる。犯人の行動の隙を突いたのは実に巧妙な視点。整理された情報量の豊富さが、ある種のミスディレクションになっているところが憎い。
「シェイク・ハーフ」は暗号モノ。暗号そのものに秘められた想いというよりかは、何故そういう体裁になったのかに近い気がする不思議な1篇。不思議といっても、頓珍漢な雰囲気が漂う訳でもなく、きちんとした筋道がある。どういった経緯で、その暗号を読み取ったのか。ライトに描かれても、芯はぶれず。この手軽さが売りでもあるので、それに適した作品と言える。

本編でもある『夏期限定トロピカルパフェ事件』は実に技巧的。小佐内さんというキャラから、ある程度は事件の真相は見えてくるのが瑕であるが、圧巻の論理と帰結はインパクト大。ここまで人を動かすとは、米澤穂信の手腕が恐ろしい。愛くるしいキャラ達からの〝反撃〟は、まさに読者への挑戦に思える。
『古典部シリーズ』とは違って、徐々に派手になっていく様が末恐ろしい。果たして彼ら自身が火傷する日は来るのだろうか

No.15 4点 ボナンザ 2014/10/13 00:41
前作と異なり一本のネタを仕掛けた短編集だが、途中のストーリーに独立した魅力が乏しいのが残念。

No.14 4点 makomako 2014/06/27 17:47
作者は素敵な高校生だけを描くのは嫌いなのだろうな。どうせなら初めからそれなりの主人公というならまだよいのだが、小学生に見えてかわいい女の子がこんな性格というのはやってられませんね。
私にとっては読後感が悪いいやな小説でした。

No.13 7点 mohicant 2012/10/17 00:00
小山内さんのダークな部分が前作より増している本作。この胸くそ悪い感じが米澤作品の魅力の一つだと思う。

No.12 7点 シレン 2011/10/02 16:17
短篇集ですが、話はつながっています。
前作に比べてキャラクターの特徴付けがかなり強まった感じがします。
次の「秋期限定~」も読んでみたいと思いました。

No.11 3点 3880403 2011/04/06 20:03
前作を読んでいたので惰性で読んだがやっぱりイマイチ。
小学生とかは楽しめるかもしれない。少年探偵団とかそんなノリ。

No.10 6点 HORNET 2011/03/02 15:45
 ミステリの楽しみ半分,小鳩くん,小佐内さんの「小市民に徹するコミカルなやりとり」の楽しみ半分の作品なので,小佐内さんのダークな部分が見えたのは意外でした・・・(どう考えても「小市民」のやることではない)
 しかしその分ミステリの要素が高まったため,結果として採点は前作と変わらずです。この作品でますます堂島健吾が好きになりました。

No.9 5点 ウィン 2010/09/25 12:25
前作よりも面白かった。
相変わらずな「小市民」っぷりには恐れ入るばかりだ。
とはいえ、多少「小市民」としてのルールを乱してもいる。
今回は前作よりも、さらに小佐内さんのスイーツ好きが前面に押し出されている感じ。
夏休みをスイーツ食べ歩きに費やすほどである。
個人的には表題にあるトロピカルパフェよりも、小鳩常五朗絶賛のシャルロットが気になった。
肝心の事件の方は、まあそんなもんだろう……といった感じのもの。

No.8 5点 まさむね 2010/08/17 22:05
前作「春季限定~」よりも上質にまとまっている。
あれれ?というラストシーンが気になったので(作者の策略にまんまと・・・),きっと次回作も読むことになるだろうなぁ。

No.7 6点 kanamori 2010/07/11 22:53
高校生・小鳩&小佐内さんの小市民シリーズ第2弾。
二人の信念「探偵好き」と「復讐好き」からの脱却というテーマが、物語の仕掛けにきっちり結びついている点で、前作より出来がいいように思います。

No.6 7点 isurrender 2009/07/22 02:03
軽い感じでいいと思います
疑問は少々残るけれど軽いから許せちゃう

No.5 7点 あるびれお 2009/06/13 04:38
内容とキャラクタと語り口、もしかしたら、絶妙のアンバランスなのかもしれないな、と、シリーズ2作目にして感じました。それにしても、彼らはホントに小市民を目指すつもりがあるのでしょうか?気になります。

No.4 7点 江守森江 2009/05/22 18:25
短編として一部分を切り離して読んでも良い出来だったが、繋ぎの話を加えて一冊に上手く纏めている。
春から冬まで最低一周はするので続編が楽しみ。

No.3 6点 だい様 2009/04/01 00:00
小市民シリーズ第2弾

前作よりミステリー要素が強くなっていますね。
『シャルロットだけはぼくのもの』が面白かったです。

No.2 5点 なの 2008/02/08 13:55
相変わらずの小鳩のウザさ
続編は当然あるんでしょうけど、小佐内さんの過去が明らかになったら嫌だなぁ
女性はミステリアスな方が魅力的です

No.1 7点 ぷねうま 2007/11/17 07:18
前作よりも連作短編としての完成度は高い。
全く関係ないが自分の周りに「自分は変わっているから普通になりたいんだ」とか心の中で思っている奴がいたとしたら、絶対サブイ奴だと思う。別に本シリーズの批判じゃないが。


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