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[ ハードボイルド ]
長いお別れ
フィリップ・マーロウ/別邦題『ロング・グッドバイ』『長い別れ』『ザ・ロング・グッドバイ』
レイモンド・チャンドラー 出版月: 1958年10月 平均: 7.69点 書評数: 26件

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早川書房
1958年10月

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1972年01月

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2007年03月

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2010年09月

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2022年04月

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2023年05月

No.26 9点 八二一 2021/08/16 20:41
新訳ということで賛否両論があった作品。個人的には何の違和感もなく、孤独、死、愛、友情、そして何よりも私立探偵マーロウの生き様が良く描かれていると感じた。村上春樹訳を特別意識することなく探偵小説の新しい裾野を広げられたことの方が大切では。

No.25 4点 レッドキング 2018/05/29 17:48
レイモンド・チャンドラーって、もっとしぶい神ゼリフをビシバシ決めまくってんのかと思ってたよ。全然かっこ良くないじゃんフィリップ・マーロオ。松田優作や初期ルパン三世のがはるかにハードボイルドしてんじゃん。


2021/6/25 追記。村上春樹訳で再読。フィリップ・マーロウ=「ドライ」「タフ」「ハード」てな先入観・・おそらくドラマ等のパロディ(トリビュートでもよいが)で植え付けられた・・先入観は、「ウェット」「やわ」「女々しい」と見事に転倒された。そりゃあ、一人称で語り続ければ、人間誰しも、孤独で愚痴っぽく痛い悲鳴となろう。
ミステリ骨格としては・・「水底の女」未満「さよなら、愛しい人」以上ってとこかな。

No.24 7点 tider-tiger 2018/05/11 22:07
もちろん好きな作品です。が、特にこれが好きというわけでもない作品。
とりあえず導入~序盤はすごくいい。チャンドラー作品の中でいちばん好きかも。マーロウはなぜレノックスに魅かれたのか。これはもうその人が持つ天性の愛嬌とでもいうしかないでしょう。なぜかわからんけど好きになってしまうような人間。
そして、レノックスと別れ、次の事件が起こる。これがサボテンを桜に接ぎ木したみたいに不細工。初読時はわけがわからなくなって苦労しました。読解力のなさもあったのでしょうが、二冊の本を同時に読まされているような違和感。相変わらずの麻薬を処方する医者。ですが、まあこんなのはチャンドラーにはよくあることです。
本作にあまり夢中になれない最大の原因は、テリー・レノックスが好きになれないからです。意志の弱さというのか、なんというのか。あの人物が本当に勇気を出して戦友を救ったのか?
「おばあさんが狙っているのは本当に~?」は笑いました。チャンドラー作品で一番笑ったセリフはこれかもしれません。
それから、村上訳で大きな収穫が一つありました。
清水訳では「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」となっていたこの一文。名文とされていますが、正直なところ私にはどこがいいのかさっぱりわからない文章でした。いい悪い以前に意味がよくわからなかったのです。
※再会を予期しての言葉なら理解できるのですが、文脈的にそんな風ではなかったため。
ですが↓
村上訳「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」
これでようやく合点がいきました。近親者が亡くなったときなど「片腕をもがれたような悲しみ」なんて表現することがありますが、それに近いニュアンスの言葉だったんですね。むろんこの部分に関しては村上訳を推します。
清水訳は、この一文に関しては誤訳といっていいレベルだと思います。

チャンドラーについてよく言われていることに対する私見
「チャンドラーは普通の小説を書きたがっていた」
本当にそうなのか? 私はチャンドラーはミステリが書きたくて書きたくてたまらなかった(けど書けなかった)人だと思っています。
※チャンドラーの評伝などは読んだことありません。あくまで作品を読んでの憶測に過ぎません。
「大人のための読み物」
本当かなあ。もちろん子供にはわからないと思いますが、そうかといって完全に成熟した大人が楽しめるのかというとそれも疑問なのです。
※makomakoさんが本作の書評で仰っていたことは理解できます。本当にその通りだと思います。
文章表現の面白さなどは除外して、フィリップ・マーロウにどの程度感情移入できるか、彼を理解できるのかという観点で見ると、むしろある種の子供っぽさを残した人の方が愉しめるのではないかと思うのです。青臭い理想主義、青臭い反抗心、融通の利かなさ、若さゆえの潔癖、こうしたものを大人になっても抱えている人こそがチャンドラーに向いているのではないかと。チャンドラーがわからない人は子供なのではなく、むしろ大人なのではないかと。
そんなわけで、私にはまだフィリップ・マーロウにさよならを言う方法がみつかっておりません。

2018/05/12 訂正及び追記

No.23 7点 青い車 2017/02/20 18:32
 チャンドラーの表現方法は最初は苦手としていたのが正直なところです。本作も数年前読んだきりほったらかしでした。ところが今回、再読時に思いのほかその世界観・探偵フィリップ・マーロウの生き様にグイグイ引き込まれました。
 男女のロマンスを絡めた作品はいくつかあっても、「男と男の友情」をメインテーマとしたものは『長いお別れ』を除いて他に知りません。初読時にピンとこなかったマーロウの己の美学を貫く姿も、ホームズ、ポアロ、エラリーと一味違う魅力として今回はすんなり受け入れられました。
 あと、本作の大きな楽しみのひとつはマーロウの名台詞の多さ。「アルコールは恋愛のようなものだね」「ギムレットには早すぎる」「ぼくなんか新しいおもちゃをあてがわれた子供です」など、これがさらりと言える奴はなかなかいない、けど言えたらカッコいい、そんなものが目白押しです。
 ハードボイルドは英語で読んだ方がはるかに面白いとよく聞きます。自分の英語力では100パーセント楽しめないことだけが残念です。

No.22 6点 いいちこ 2016/06/09 16:15
ハードボイルドとは端的に言えば、主人公の一人称視点から登場人物の行動を描くことに主眼を置き、直接的な心理描写を極力廃した作品群と理解。
その点、本作は事実関係を掴み切ることができず、ハードボイルド作品を翻訳で読むことの限界を感じた読書であった。
私が読んだ清水俊二訳とは別に、より逐語訳寄りの村上春樹訳が存在するとのことだが、当該作の評価も賛否両論が分かれている状態。
英文で読むべきであろうが、表面的には意味を取れても、真の意図を過たず汲み取れるとも思えない。
結局、ネイティヴスピーカー以外には、真に理解するのは困難な作品なのだろうか。
当方の理解力不足に起因しており申し訳ない気もするが、格調高い叙述の一端を垣間見たことと、ミステリとしての不完全燃焼を相殺してこの評価

No.21 8点 クリスティ再読 2016/05/22 22:20
本作も何度読み返したかよくわからない作品になるが、今回はどうせなので長らく親しんできた清水俊二訳ではなくて、新しい村上春樹の訳で再読しよう。
...マーロウっておしゃべりだったんだな....
今回の村上訳だと、マーロウが叩く軽口を、字幕流に簡潔に流すのではなくて、逐語訳的に念入りに訳してあるのが大きな特徴だ。なので、評者がずっと以前から疑問に思っていたことについて、ちょっと結論が出たようにも思う。というのは、「かわいい女」以降の作品で、評者はマーロウが登場する女性と結構無節操に関係を持つことや、作中での私立探偵としての雇用関係がすべて曖昧になってしまうことなどが、どうしても気になっていたのである。要するに「かわいい女」以降のマーロウは決して「かっこいいコード・ヒーローではなくて、タダの幻滅した男であり、何のため・誰のために動いているのか自分でも訳がわからなくなっているような、アンチヒーロー的なポジションになっているのではないか?」という疑問なんだよね(そもそもそう読まなきゃ「プレイバック」って意味不明なんだけどね)。
この疑問のきっかけはアルトマンの映画なんだけど、今回読後にさらに映画も一緒に見直して、そういう感想が正しいように再度感じている。映画だとおしゃべり感は「独り言の多さ」でそういう感じが出ているが、軽口を叩くのはカッコいい洒落やジョークというよりも、マーロウが痛みを感じていることの表現だと思うんだよね。センスも頭も十分信用のおけるアルトマンの「ホテル・カリフォルニアなマーロウ」とでも言うべき描き方は、公開当時特に日本では総スカンに近い拒絶反応があったわけだけど、やはりアメリカでは昔から屈折したアンチヒーローとしてマーロウを捉えていたんだろうなぁ...
ま、だから「ギムレットには早すぎる」とか「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」とかの名セリフ集としてヤニ下がるような読み方だけは、評者は絶対したくないよ...f**k とか s**t と吐き捨てるような映画の終わり方から、原作の本作を逆照射するような「読み方」をしていきたいなと思うのだ。いかがかな?

No.20 9点 蟷螂の斧 2016/03/18 07:55
(再読)(東西ベスト6位)「大アンケートによるミステリー・サスペンス洋画ベスト150」の書評でもふれた映画の脚本トラブルからか?、1952年ハリウッドの脚本仕事に見切りをつけ、本作に全力を傾けたようですね。「最後の一行」的感覚でいえば『ギムレットにはまだ早すぎるね』がすべてであるような気がします。本作は、筋書きがいいのであって、いくら男の友情や独特の文体がいいからといっても、それだけでは傑作にはならなかったような気がします。同レベルの筆力を持った作家が、本格もの、叙述もので別の角度から書いたとしても、やはり傑作になるのではと思いました。
ちなみに日米英の嗜好の差です。
(米)大いなる眠り>長いお別れ>さらば愛しき女よ>湖中の女
(英)大いなる眠り>さらば愛しき女よ>長いお別れ>湖中の女
(日)長いお別れ>さらば愛しき女よ 
米英では「大いなる眠り」が断然人気のようです。参考・日英米各ベスト100より

No.19 9点 斎藤警部 2016/02/03 12:08
酒もだが、コーヒーの薫りが染み込んだ名作。 第二十二章、滑り出しの数頁がとても好きだ。 ギムレット? エメラルド? このあたり、ストーリーがミステリ流儀で蠢き始める十字路だろうか。

長い小説の終わり間近でもう一度ギアが上がる作りが頼もしい。ここが最終コーナーかと見えた地点から、本当の終結地点までストーリーの激しい起伏が持続。 ラストシーンは。。 反転、感動ともどもやられました。アンコールピースの様な、日常に戻る合図の様な最後の一文も良い。

大事な亡き(行きずりの)友を偲びながら夥しい数と存在感の主要登場人物群。味方も敵もグレイゾーンも躍動豊かに、上手に書き分けられている。
時々皮肉たっぷりの妄想で暴走するのも最高だ。あわや森村誠一もどきのヒッピー演説になりかけるじゃないか。

今さらながらフィリップ・マーロウというのは不思議な良い奴です。それにしても同じL.A.上流犯罪捜査の後輩フランク・コロンボとは、敵(時に好敵手)を見下ろすタイミングと容赦無さの発揮場所が正反対だな。

さてこの小説がどうしてこんなに心地よいのかと追憶を巡らせば、要するに松本清張の長篇良作と程近い感覚なのでしょう。但し清張の場合は会話文さえ無駄口を排除するものだから余計にストイックでサスペンス度合いも強い。
TBSやFMLにはのめり込まなかったが、TLGBには深い所を掴まれた。

No.18 10点 Izumi 2015/07/14 00:01
おそらく最も有名なハードボイルド小説の主人公、私立探偵フィリップ・マーロウシリーズの六作目。
酔いつぶれていた男テリー・レノックスを助けたマーロウは何度か会って杯を重ねるうちに友情を覚え始める。しかしレノックスは妻である大富豪の娘殺しの容疑をかけられ逃亡の果てに自殺をしてしまう。彼の無実を信じるマーロウは別の依頼から再びレノックス失踪の理由を探ることになるが――。

シリーズの中でもこの作品の人気が高い理由は(特に日本ではその傾向が顕著)前述のマーロウとレノックスの不器用な友情が感性に訴えてくるものがあるからだろう。孤高の存在であるマーロウに対して感情移入がしやすいのだ。有名な最後の一節まで余すことなく味わえる名作である。

翻訳についてだが早川書房から清水俊二訳と村上春樹訳がでている。フィッツジェラルドの訳でもおなじことがいえるが村上春樹はチャンドラーからの影響を受けているので、いわゆる村上節はそれほど気にならない。しかし清水訳に比べると直接的にすぎるきらいがあり(もちろん良い部分もあるが)味気なく感じる。タイトルからして『ロング・グッドバイ』の意味がわからない日本人はいないだろうが情緒に欠ける。この小説にふさわしく『長いお別れ』とした清水の訳は素晴らしい。マーロウの独白、科白についても清水は数々の名訳を残している。ただ問題もあり清水訳は完訳ではない。ストーリーは追えるがマーロウの皮肉交じりの軽口が大幅にカットされているのだ。これはチャンドラーを読む楽しみがおおきく損なわれている。まずは清水俊二訳を読んでから補完するように村上春樹訳を読むのが理想だろう。

No.17 7点 アイス・コーヒー 2014/05/11 12:03
古典的名作として名高い本作ではあるが、正直自分にはその魅力を理解することはできなかった。恐らく本作の面白さを半分も理解していないのだろう。そんな自分が「長いお別れ」についてあれこれ云う権利はないが、一応感想を残しておきたい。

主題となるのはフィリップ・マーロウとテリー・レノックスの友情だろう。序盤での出会いから、クライマックスの余韻までよく出来た演出だ。極めて印象に残るストーリーだと云っていい。
しかし、このストーリーにアル中作家が関わるもう一つのストーリーが絡み、事件は複雑になる。
全体的にスッキリしない終わり方だと感じた。やはりハードボイルドは好みじゃない。

No.16 6点 sophia 2014/05/03 17:33
「さらば愛しき女よ」よりは全然読めました。
ラストにはちょっと感動しました。
でもやっぱりハードボイルドって基本的に合わないかも。

No.15 8点 mini 2014/04/18 09:54
一部で話題になっていたが、明日19日にNHK土曜ドラマ「ロング・グッドバイ」が始まる、原作はもちろんチャンドラーのあれ
一応舞台を日本に置き換えているが、マーロウ役に浅野忠信、酔漢テリー役に綾野剛など実力派を揃え、音楽担当にあの『あまちゃん』の音楽を手掛けた大友良英を起用するなど、う~んNHK気合入ってんなぁ
ドラマに合わせて早川文庫から司城志朗によるドラマ版も刊行された、多分ノベライズじゃなくてこれを元にドラマが創られたのかも
これはもう便乗するしかないでしょ、既に書評済だったけど一旦削除して再登録

マーロウは卑しき街を行く孤高のヒーローなどではなく、生意気な口調のすれた兄ちゃん像の方が正しいという意見も根強いが、さてNHKドラマではマーロウ像をどう料理するのだろうか
「長いお別れ」は酔漢テリー部分と中心的事件部分とで話が二つに割れているのだが、一般的には酔漢テリー部分が面白いとよく言われる
しかし中心的事件部分の地道な調査探偵場面もなかなか面白いと私は思う、そこだけを見ればそれほど複雑なプロットじゃない、まぁ真相はちょっとややこしいし解決も中途半端感は有る
でも他のチャンドラー作品の方が事件自体はもっとややこしいしね
「長いお別れ」が複雑に感じさせるのは中心的事件に酔漢テリーが変な絡み方をする二重構造になっているからで、ややこしいと感じた読者は一旦テリーを頭から追い出してしまえばいい(笑)
でもテリーが登場するからの8点ですよ、中心的事件だけで採点するなら6~7点でしょうね

No.14 5点 ボナンザ 2014/04/08 21:13
これぞハードボイルド!
かっこいい大人のためのミステリー

No.13 6点 makomako 2012/10/28 17:18
 どうもこの話は私にはあわない。登場人物がなんでこんなに暴力的でわざととしか思えないほど相手を挑発しているようで。さらに相手がひどく怒りっぽくすぐにナイフなどを持ち出したりして。
 読み始めはマーロウという人物がバカに見えて仕方がなかった。
 もうちょっと丁寧にやればこんな目にあわなくてもすみそうなのにねえ。
 そんなわけでこの長い話を読みきるのにかなり努力が必要でした。ことに最初のあたりでは何度かもう読むのを止めようかと思ったほどでしたが、評判の名作なのできっと面白くなるだろうとがんばって読むことになりました。
 わたしは初めのうちマーロウという主人公にはじめはぜんぜん感情移入ができなかったのです。自分に素直でなくわざと嫌われるようなせりふを吐き、すぐに暴力沙汰となる人間は現代の日本人からはあまり好まれないのでは。
 読み進むにつれて何とか彼がキライでない程度にはなりました。
 それにしても50年代のアメリカは飲酒運転は容認され、警官の暴力などはぜんぜん気にされていない世界であったのだ。
 日本の官憲が暴力的であったというけどアメリカもあんまり変わりなかったのかも知れない。
非常に評価の高い作品にあまり低い点数をつけるのは気がひけますが、わたしなりの感想ということでご勘弁を。

No.12 9点 E-BANKER 2012/06/10 18:48
記念すべき700冊目の書評は、ハードボイルド史上最大の傑作とも言える本作をセレクト。
1954年発表。R.チャンドラー畢竟の名作とも言える本作。
村上春樹訳版「ロング・グッバイ」とどちらにしようか迷ったが、やっぱりチャンドラーと言えばこっちだろと思い、清水俊二訳版で読了。

~コーヒーをつぎ、タバコに火をつけてくれたら、あとはぼくについてすべてを忘れてくれ・・・妻を殺したと告白して死んだテリー・レノックスからの手紙にはそう書かれていた。彼の無実を信じ、逃亡を助けた私立探偵F・マーロウには心の残る結末だった。だが、別の依頼でテリーの隣人の失踪の理由を探るうち、マーロウは再び事件の渦中へと巻き込まれてしまう。ハードボイルドの巨匠が瑞々しい文体と非情な視線で男の友情を描き上げた畢生の傑作!~

うーん。さすがにスゴイ・・・
書評なんぞをグダグダ書くような作品ではないような気がする。
とにかく、本作については、ミステリー的にこうだとか、ここが惜しいなどと細かい粗さがしをすべきではないし、しない。

文庫版で500頁を超える大作なのだが、読んでるうちに完全に作品世界に呑みこまれてしまった。
まさにこれがマーロウという男なのだ!
わずかの期間、友人だったレノックスという男のために、危険を顧みず事件の渦中に身を投げ出していく姿、2人の美女に翻弄されながらも己の本分を貫こうとするスタンス・・・
ニヒルなだけではない、熱い心を宿しながらも決して表にはそれを見えない、それが男の美学。

二転三転する終盤からラストにミステリー要素を垣間見ながら、静かなラストへ。
そしてまた、ラストの1行が実に小粋で心憎い。

とにかく、「ハードボイルドの最高傑作」の金看板は決して誇張ではないという評価。
何とも言えない作品の高貴さと奥行きを是非味わって欲しい。
(やっぱり美しい薔薇にはトゲがあるってことかなぁー、って陳腐な感想・・・)

No.11 6点 NAP 2012/02/13 22:26
序盤なかなか感じがつかめず珍しく休憩してやっと読みました。最後の方は一気に読めました。
マーロウ、頑固な男です。笑

No.10 6点 測量ボ-イ 2011/10/16 11:46
記念すべき300冊めの書評は古の海外名作で。
このサイトをご覧の方なら殆どの方が読んでいる(あるいは
知っている)名作ですが、今回初めて読みました。

男の友情を謳った物語ですが、どうも僕にはいまひとつそれ
が伝わってこず、本格色も薄いこともあって、世間の評判ほ
ど心に残るものではありませんでした。
従い採点はどうしても辛めになります。
(高評価の方々、ゴメンナサイ)

この作品も、もっと英語を勉強して原文で読むとその良さが
判るのかも知れませんね(でも、困難だ)。

これで書評300冊となりましたが、100冊毎のペ-スは
1-100冊め  約3週間
101-200冊め 約6ケ月
201-300冊め 約1年9ケ月
となっています。150冊めくらいまでは既に読んだ作品で書
評できたのですが、それ以降は殆どあらたに読んだ作品です。
そうすると400冊めの書評は再来年の夏くらいになるんでし
ょうかねえ。まあ、頑張ります。

No.9 10点 卑弥呼 2011/08/19 00:44
清水俊二の功績。

No.8 7点 itokin 2011/01/05 20:44
短いつきあいで、それほど衝撃的なことがなかった中で命をかけて何度も助けるマーロウの性格に共感を抱くことが正直出来ない。ただそれにもまして、作家の格調の高い読者を引きつける文体はすばらしく評価したい。

No.7 9点 kanamori 2010/07/17 19:01
チャンドラーをロジック面や理屈で評価するのはナンセンスだと思っています。
実際、本書はハードボイルド文体で書いた男の友情物語というだけで、ミステリとしての本筋はあまり覚えていない。マーロウの粋なセリフの数々と、華麗な言い回しの文章に酔えればそれでいいのではないかと思います。


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