皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 猫の舌に釘をうて |
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都筑道夫 | 出版月: 1961年01月 | 平均: 6.33点 | 書評数: 9件 |
東都書房 1961年01月 |
平安書店 1974年01月 |
講談社 1977年06月 |
光文社 2003年07月 |
徳間書店 2022年02月 |
No.9 | 6点 | ボナンザ | 2023/05/05 17:48 |
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まだ読んでなかったか・・・な一作。アイデアが先に来てその勢いで書いたんだろうけど、身勝手なようで憎めない文体も相まって印象に残る。 |
No.8 | 7点 | 斎藤警部 | 2021/03/02 17:07 |
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単語もフレーズも、文章も小説構成も、無駄にと言いたいほど勿体ぶって解りづらい要素が多く、短い割には読破に時間を要するかも知れないが、そこんとこアタイは好き。 前代未聞?の「読者への挑戦」の趣深さがアッと言わない間に捲られるのは歯痒さメランコリーだが、その忙しなさも独特の味。 やはり、完成品として締まっていると思います。 「三重露出」がもんじゃ焼きずっころびだったアタイも、本作にはジルバを踊るコツを教えてほしいです。 予告一人三役自体は、面白いアイディアだけど、さほど決まっちゃいませんよね。。でもそこは捨て石ながらアシスト一点ゲットしてますよね。。 虫暮部さん仰る様に、猫舌ホットコーヒーのアレは、アイラテ一本のアタイには盲点返しの伏線引き倒しも上等で、硬くて噛めない白い恋人を巡っての宮大工アクションシーンin札幌もある意味究極の逆アリバイトリックとして珍重します。 前期ZOOファンだったアタイとしては、後期ZOOとEXILEに足りないのは本作のような余裕ある遊びだよなー、と切に唇を噛む。いや噛まん。 最後に、これはマジネタバレですけど、 「そっくりさん」ってのが実は本格ミステリの核心を突いていたってのはね、わかりませんでした! 目眩まし大成功! |
No.7 | 5点 | クリスティ再読 | 2019/10/31 09:26 |
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たしかに「シンデレラの罠」は大した作品じゃないんだよ...ああいう「趣向」モノは、パズラー以上にふと我に返るとバカバカしく感じる部分もあるんだけど、「犯人=探偵=被害者」趣向をやってみせた本作、これもまあ言ってみれば、たいしたことない。
とはいえ、たぶん都筑の思いは「趣向の小説」というあたりにあるんだろう。趣向、というからには、この趣向が馬鹿馬鹿しく、非現実的であったとしても、その趣向をかりそめのゲームの規則と受け入れて、その見立てに積極的に心を添えていくことが必要である。本作が本屋で売っている商品としての小説であって、作中で主張するような束見本の中に書かれた手記ではないことは、それこそ明白なのである。だからこそ、この「趣向」に心を寄せて楽しむ「見立て」のこころが、読者に要求されるのだ。もちろん、パズラーというものをジャンルではなくてこういう「趣向」と捉えるのなら、パズラー自体も「趣向の小説」の一つである。 そうして読むと、喫茶「サンドリエ」に集う人々、そして同人誌「侏羅紀」の同人たち、といった、「座」の文芸という、日本の伝統文学のありようを思わせる「集い」が本作に描かれているのも、そういう「趣向の共有」という、一種の「幻影の共同体」の話のようにも思われるのだ。また、東京をさまよう主人公が、おそらく今はもう消えた地名にコダワリ列挙するあたりにも、都筑の江戸前な低回趣味がうかがわれて、評者は妙な郷愁みたいなものを感じてた。本作はリアルタイムでの手記になるのだけど、これを「過去」として描くと、実は「三重露出」の翻訳者がわの話になる。あの哀切さには、こういう「失われた人間関係」が潜んでいるようなのである。 だから、意外に本作、「犯人=探偵=被害者」の三重露出のミステリという以上に「貧しい作家の生活記録の上に、事件の進行を二重焼していって、そのあいだに恋の回想を綯いまぜれば、わたくし小説でもあり、本格推理小説でもあり、恋愛小説でもあるユニークな作品が、できあがる」と作中で言っているのが、本来の「三重露出」であったようにも思われるのだ。また本作であまり触れられない主人公が訳する小説の中身が、のちの「三重露出」の翻訳側とまた見立てるならば、「幻の都筑道夫著の『猫の下に釘をうて』」「束見本に書かれた淡路瑛一の手記」「淡路瑛一の仕事の翻訳」の三層の「もう一つの三重露出」もある。後の小説「三重露出」は、本作の書き直しと捉えるのが適切だろう。三一書房の版でも講談社大衆文学館の版でも、「猫の舌に釘をうて」「三重露出」が合本なのは、都筑の意図に即した編集だと評者は思うのだ。 |
No.6 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2018/09/04 11:27 |
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講談社版・裏表紙より~『最愛の女有紀子が、友人塚本の妻になるや私の塚本への殺意はおさえられなくなった。だが塚本を殺せば有紀子も不幸になる。そこで考えたのが代償殺人行為だ。行きつけの喫茶店の常連に塚本そっくりの男がいる。彼のコーヒーに“毒”を入れよう!! ところが展開は意外や意外。ミステリの難題一人三役に挑んだ傑作。』~
「私はこの事件の犯人であり、探偵であり、そしてどうやら、被害者にもなりそうだ」。セバスチャン・ジャプリゾ氏の「シンデレラの罠」(1962)のキャッチコピーのようですが、本作の方が1年先行(1961)しています。その点は評価したいと思います。作中でニコラス・ブレイク氏に触れていることから、「野獣死すべし」(1954)のオマージュであることが窺えます。本自体への仕掛けは、まあ、あれこれ言うようなものではなかったですね(苦笑)。 |
No.5 | 6点 | 虫暮部 | 2018/08/31 10:56 |
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昭和30年代の時代風俗を活写しつつ、動物愛護団体VS洋菓子職人VS宮大工という三つ巴の争いにラング・ド・シャ誕生秘話を絡ませた壮大な展開には驚愕させられた。コーヒーの温度を伏線にした密室トリックも見事。
更に題名が絶妙で、猫の舌に釘を打つとあれがああなって大団円なんて物語は未だかつて読んだことがない。 |
No.4 | 7点 | kanamori | 2010/07/03 20:38 |
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著者のミステリとしては第2作。
主人公・淡路瑛一(=作者がミステリ作家としてデビュー前に使っていたペンネーム)が、探偵=犯人=被害者の一人三役となる構成の妙が有名な作品で、本自体にも仕掛けがある前衛的ミステリ。 物語そのものは平凡ですが、発表年次を考えると、この先駆的アイデアはすばらしい。 |
No.3 | 6点 | 江守森江 | 2009/06/05 15:59 |
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ここの書評と「本格ミステリ・フラッシュバック」を見て図書館で借りた。
単独収録の初出版が書庫保存されていたので、先に書かれている「本」の仕掛けも楽しめた。 ネタバレ (読む前に本をパラパラしては駄目) 読者挑戦も仕掛けに組み込み、一冊の本として読者に楽しんでもらう趣向なのだろうが、ロジカルな推理を期待すると肩すかしをくらう。 |
No.2 | 6点 | 響の字 | 2009/02/02 11:23 |
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古い作品なのによくできてるなぁ・・・ってのが感想。
同様のプロットは多いが、全体の展開に関しては優秀。読みやすいし。 最後のオチをどう見るかで評価が分かれると思うんだ。 |
No.1 | 8点 | こう | 2008/05/11 23:34 |
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都筑道夫面目躍如の作品です。冒頭で一人三役(犯人、探偵、被害者)であることが記されていながら話を壊さず成立させておりまた泡坂作品とは違う本自体への仕掛けがあり非常に面白かったです。初期の都築作品は本格に対する遊び心にあふれておりお薦めです。
ただ現在手に入る文庫は他作品が一緒に収録されている様です。そうするとこの作品の「本」としての完成度が落ちてしまうため残念です。(泡坂作品のしあわせの書に他作品が一緒に収録されて一冊になっている様なものですから) |