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[ 本格 ]
靴に棲む老婆
エラリイ・クイーン、別題『生者と死者と』
エラリイ・クイーン 出版月: 1954年10月 平均: 5.69点 書評数: 13件

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早川書房
1954年10月


1954年10月

早川書房
1954年10月

東京創元社
1959年09月

東京創元社
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1997年11月

No.13 7点 虫暮部 2020/03/27 14:05
 キ印ファミリーのキャラクターが悉くツボ。
 ところで、第一の殺人で一番怪しいのはエラリーではないかいな。
 エラリーは一人で拳銃を取りに長兄の部屋へ行った。部屋を出てから決闘場所に面々が揃うまで、場面が少し飛んでいる。その道すがらは描写されていないので、そこですり替えを行うことが可能である。
 拳銃を渡す前に念の為の確認をしていない点、また“状況的に自分にも可能だ”と自身で指摘していない点も気になる。
 動機は、次章冒頭で語られている如く、“殺人の現場に立ち会う特典に浴して”みたかったのだろう。

 7章。“小さなコルトは(略)そのままそっくりあった”――原理的に、1度手に取った銃を“そのままそっくり”の状態に戻すことは不可能である。三人称でコレ大丈夫なの? と思ったら、この記述は正しいのだ。なんというフェアプレイ!

No.12 4点 レッドキング 2019/10/07 01:21
マザーグース見立て殺人ものの一つだが、登場人物達の「フリーク」具合が、カーに比べてイマイチ。カーならば、もっともっとホラーでドタバタでグロテスクかつファンタスティックな童話的キャラで楽しませてくれたろう。
「全く同じサインというのは偽造である。」てなロジックは目からウロコだった。

No.11 6点 クリスティ再読 2017/10/09 19:53
「エジプト十字架」やって直後に本作である。当然お題は「あかね書房懐かしい」。まあエジプト十字架はその後にもオトナ向きで読み直したが、さすがに本作は読み直していない。それでも決闘の話とか何となく覚えていたなぁ。「パンは出さずにスープで済ませ、鞭で叩いてベッドに..」は子供心にビビったものだよ。
まあ本作、館モノのパロディみたいなものだ。館モノ、マザーグース、操りの問題などなど、クイーンがしたかったことが雑然と並んでいる感じだ。それでも本作を子供向きの原作に選ぶセンスはなかなかよろしい。漫画的だから、どうリライトしてもファンタジックで楽し気になるよね。
今回評者は結構楽しく読んだな。漫画的なキャラは立ってて、ユーモアあるし、例の拳銃の手品はそうセンス悪くない。しかしねえ、犯人逮捕の後で残りページの量を見て、「あまだ少しある」って気づいたら、やはり黒幕がいるんだよね...とついつい予測しちゃうのは、いい加減クイーンにスれ過ぎているような気がする。もう残りわずかだが、自戒。

No.10 7点 青い車 2016/07/24 22:57
 『Yの悲劇』のハッター家の再来を思わせる、狂った一族を中心にした事件にエラリーが挑戦します。犯人は見え見えとの声もありますが、拳銃の工作は単純そうでなかなか練られています。また、何よりどんな事件でも純粋にロジックを積み重ねて犯人を導き出す姿勢はやはりエラリー・クイーン、といった感じです。ファン投票ベスト10は伊達ではありません。そして、あの人物が初めて登場する記念すべき作品でもあるのでファンは要チェックです。

No.9 8点 斎藤警部 2015/08/11 13:05
こんな家には住みたかないが、外から観るならメルヘンチックでカラフルでミステリ興味も充分のキュートな「館」もの。 もう相当な昔になるけど、読んでいて本当に愉しかったなあ。 エラリーさんの本も、ロジックで来るだけでなく舞台装置に妙な一癖かませてくれると相乗効果で本当に魅力的だ。

あんまり面白いんで母親にも薦めたら「そういう(ガーイキーチーのいっぱい出て来る)話は(気分的に)好きじゃない」と断られたんだ。懐かしいなあ。

No.8 7点 nukkam 2015/06/21 23:47
(ネタバレなしです) 作者は作風を色々変えたことで有名ですがそれにしても1943年発表のシリーズ第16作の本書の前後に「災厄の町」(1942年)と「フォックス家の殺人」(1945年)が書かれているのは驚きです。というかこの時期の作品では本書が異色の存在というべきかもしれません。シリアスな人間ドラマを展開した前後作に対して本書は歪んだユーモアと軽妙さを特色としており、作品全体が浮世離れしているような印象を受けます。しかしながら本格派推理小説としての謎解きはしっかり作られており、十分に傑作だと思います。

No.7 6点 了然和尚 2015/03/12 15:33
探偵、警察の目の前で堂々と殺人が行われて、しかも犯人が不明というのは、なかなか良かったです。本作も犯人や裏事情は簡単に推測ができましたが、今のミステリにつながる王道といったとこなんでしょう。3人のきちがいと3人の正常な人なので、一人一殺のほうが良かったかも。

No.6 5点 ボナンザ 2014/04/08 17:16
悪くはない。
中期以降の作品の中では頭一つ抜けている。

No.5 5点 TON2 2013/01/24 18:23
創元推理文庫
 物語の進行につれて犯人が二転三転。最初の部分は、訳が原文に引っ張られすぎて日本語としてこなれていないため、大変読みづらかったです。

No.4 4点 E-BANKER 2011/10/29 22:32
国名シリーズ後の第2期、ライツヴィルシリーズの合間に発表された作品。
確か、昔ジュブナイル版で読んだ記憶があるのだが・・・ほとんど覚えてなかった。

~靴の宮殿に住む百万長者の老婆の6人の子供。3人は精神異常者で3人はまとも。そのまともな子供が次々と殺されて、しかも手を下して殺した殺人犯は、真の犯人ではないという、クイーン一流の精緻を極めたプロット。クイーンの転身第2期の作品中の白眉とするに足る名作で、陰惨限りない雰囲気を柔らかな同様のユーモアでくるみ、一種独特の気品が滲み出ている・・・~

プロットは面白いが、何とも中途半端な読後感。
腹違いの兄弟が、時代遅れの決闘を行い、エラリーが空砲とすり替えたはずのピストルから、実弾が発射され、「まともな」方が殺されてしまう。誰が、実弾をすり替え得たか? というのが本作メインの謎。
一旦、納得できる解決が示されたと思いきや、ラストでひっくり返されるという、二重構造の鮮やかさ。
など、さすがに円熟期を迎えたクイーンの技巧の確かさは窺える。
ただねぇ、魅力的な「材料」を生かしきれてないのも事実。
マザーグースは結局どうしたかったんでしょうね? 単なる雰囲気つくりか?
事件の本筋とは全く関係ないため、完全に浮いている印象。
「まともでない」兄弟たちも、「まともでないのか」、「まともでない振りをしているのか」など、読者を惹きこむ役目を果たしていない。

ということで、やっぱり欠点の方がどちらかといえば目立つ作品でしょうね。
(ラストのニッキー・ポーターの逸話には、「へぇー」って思わされた。)

No.3 3点 mini 2011/04/07 09:57
「災厄の町」「フォックス家の殺人」のライツヴィル2作の間に発表されたメルヘン調で独自色の強い単発的雰囲気の作品
「靴に棲む老婆」を含むこの後期3作の中では個人的には「フォックス家」が一番好きだな
作風が作品毎にあまりにも異なるので、この時期のクイーンは方向性を模索していたのだろうか?
「靴に棲む老婆」の舞台設定はどこか現実離れした登場人物達が棲むちょっと現実離れした館
日本の本格愛好家がいかにもイメージするいわゆる”館もの”に近い
題名だけなら館ものっぽい「フォックス家の殺人」が、家族の絆がテーマであって”館もの”では全然無いのと対照的だ
私はCCやお屋敷もの館ものという舞台設定に全然興味が無い読者なので、「靴に棲む老婆」は舞台設定からして合わなかった
同じ一族ものでもあり「Yの悲劇」との類似性が感じられるが、後期のクイーンにはこういうくだけた雰囲気でしか書けなくなっていたのだろうか、それとも意図的に「Yの悲劇」のセルフカバーをやりたかったのだろうか
謎解き面では陰で操る黒幕の正体は判らなかったが、表面的な実行犯は判った
いかにもクイーンが仕掛けそうな感じから犯人はこいつしかないと早い段階で確信したが、ただ方法が直ぐには分からなかった
途中で○の○○番号が不明という件でトリックが分かった、これはこういう手順でやればやれば普通に実行可能だろうと見破れた
後期の中では謎解き面も優れているという噂は聞いていたが、なぁ~んだ大した事無いじゃんと油断してたら続きがあったとは!、あぁぁ・・・
でも黒幕の正体の方はあまりセンスがいいとは…

No.2 5点 Tetchy 2010/03/10 21:42
マザー・グースの歌に擬えた殺人事件。この童謡殺人というテーマは古今東西の作家によっていくつもの作品が書かれているが、クイーンも例外でなかった。
しかしクリスティの『そして誰もいなくなった』然り、ヴァン・ダインの『僧正殺人事件』然りと、他の作家たちのこのマザー・グースを扱った童謡殺人の作品が傑作で有名なのに対して、本書はクイーン作品の中ではさほど有名ではない。読了した今、それも仕方がないかなという感想だ。

真犯人の正体はなかなかに驚かされるものであったが、論理に論理を重ねていけばいくほど、創りすぎの感が否めないのが痛いところ。
ニッキー・ポッター誕生の作品と捉えればクイーンシリーズの世界に浸るためには避けるべきではない作品だろうけど。

No.1 7点 2009/01/05 22:51
童謡(マザーグース)殺人だというので、『僧正殺人事件』や『そして誰もいなくなった』の不気味さを期待していると、気が抜けること間違いありません。文学性にこだわったライツヴィル・シリーズの合間に書かれた本書は、気分転換を図ったとでも言うことなのでしょうか。童謡のメルヘン的な雰囲気があります。軽いタッチなのですが、推理や意外性等、謎解きミステリとしての出来について言えば、この時期のベストでしょう。
「読者への挑戦」をしていたころのクイーンとはやはり違いますが、最後まで楽しく読める作品だと思います。


エラリイ・クイーン
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