海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 本格 ]
エラリー・クイーンの事件簿1
エラリイ・クイーン
エラリイ・クイーン 出版月: 1972年01月 平均: 5.50点 書評数: 4件

書評を見る | 採点するジャンル投票


東京創元社
1972年01月

No.4 4点 ことは 2022/05/02 23:50
数十年ぶりの再読。
ノベライズのため、心理描写が薄いからだろう。読み応えが軽い。
・「消えた死体」
元の長編から、事件の構図はそのままで、周辺状況を変更させた作品。
若いときは、タイトルになった「死体を消す理由」が気がきていると感じてかなり評価が高かったが、今回の再読では、それ以外がかなり評価が低い。
エラリーは名探偵らしくないし、警察連中はポンコツだし、オリジナルはこんなキャラじゃないよ、と残念だった。さらに、これはノベライズの悪いところがでてしまったのだと思うが、会話が安っぽいし、味気ない。特に、エラリーとニッキーの会話は、目も当てられない。(事件簿2の「完全犯罪」は、エラリーとニッキーの会話が少なかったので目につかなかったのだと思う)
「死体を消す理由」も、「最終的な落とし所はどうするつもりだった?」という点が疑問で、少し評価がさがった。
総じて、おすすめはできないかな。
・「ペントハウスの謎」
これもノベライズのためだと思うが、エラリーが、違法侵入したり、タクシーで追跡したりと、私立探偵小説の探偵のような行動をして、キャラが違う。ガジェット満載だが、定形のガジェットで面白みは少ない。

No.3 6点 ボナンザ 2020/01/11 22:01
クイーンらしい謎解きが楽しめる佳作二つ。
シナリオコレクションの超絶的な水準には劣るが、ファンなら読んで損なし。

No.2 6点 2012/08/29 13:47
映画のノベライゼーションであることを意識して再読してみると、収録2作ともいかにも映画的な場面展開ですし、カーチェイス、尾行など視覚効果を意識した作りになっています。軽いノリは、少し前の『ドラゴンの歯』にも通じます。
『消えた死体』の元になった長編は小説らしい重厚な作品でしたが、全く異なるシチュエーションにして、なかなかよくできたヴァリエーションだと思えます。映画公開が1940年であることを考えると、あの原作長編を選んでこのような形に変えたのは、当時のアメリカ世情を考慮してのことかもしれません。
翌年製作の『ペントハウスの謎』は当時の中国政情を背景にして、スパイ小説的な味を加えています。しかし映画でも、電球に関する推理にはクイーンらしさがありました。
『靴に棲む老婆』より前、ニッキー・ポーターが別設定で登場する2作品でもあります。しかも『ペントハウスの謎』依頼人名はシーラ・コッブねぇ…

No.1 6点 Tetchy 2009/10/25 01:31
映画オリジナル脚本を小説にリライトした「消えた死体」、「ペントハウスの謎」の2編を収録した中編集。
「消えた死体」は長編『ニッポン樫鳥の謎』の原形だろう。同一のアイデアで別の話を作っただけで、物語の構成は全く一緒だ。もう少しアレンジが欲しいところだ。ただなぜ犯人が死体を隠すのかという理由はさすがに秀逸。物語のスピード感といい、適度な長さといい、『ニッポン樫鳥の謎』が無ければ、クイーンの作品としても上位の部類に入っただろう。

「ペントハウスの謎」はクイーンの作品にしては異色とも云える派手な事件である。腹話術師と同じ船に乗り合わせた身元詐称の人物たち、消えた宝石の謎など色々エッセンスを放り込んでいるが、逆に謎の焦点が曖昧になり、最後の切れ味に欠ける。特に犯人を限定する決め手となったあるしるしの正体は全く解らないだろう。
容疑者一同を集めて謎解きという、古典的な手法に則った解決シーンだが、カタルシスは得られなかった。


キーワードから探す
エラリイ・クイーン
2018年07月
犯罪コーポレーションの冒険
平均:5.67 / 書評数:3
2016年01月
熱く冷たいアリバイ
平均:5.50 / 書評数:2
2015年11月
摩天楼のクローズドサークル
平均:6.00 / 書評数:1
2015年09月
チェスプレイヤーの密室
平均:6.00 / 書評数:2
2010年02月
ミステリの女王の冒険
平均:6.33 / 書評数:3
2009年03月
死せる案山子の冒険
平均:7.71 / 書評数:7
2008年03月
ナポレオンの剃刀の冒険
平均:8.10 / 書評数:10
2006年01月
間違いの悲劇
平均:6.00 / 書評数:10
2005年07月
エラリー・クイーンの国際事件簿
平均:7.50 / 書評数:4
2004年11月
神の灯
平均:6.00 / 書評数:1
2000年02月
青の殺人
平均:5.67 / 書評数:3
1979年09月
大富豪殺人事件
平均:3.33 / 書評数:3
1976年10月
孤独の島
平均:5.17 / 書評数:6
悪の起源
平均:6.20 / 書評数:10
1976年06月
第八の日
平均:5.75 / 書評数:8
1976年03月
クイーン犯罪実験室
平均:4.67 / 書評数:3
真鍮の家
平均:5.17 / 書評数:6
1975年11月
悪魔の報酬
平均:5.10 / 書評数:10
1974年04月
エラリー・クイーンの事件簿2
平均:5.67 / 書評数:3
1974年01月
心地よく秘密めいた場所
平均:4.60 / 書評数:5
1972年01月
エラリー・クイーンの事件簿1
平均:5.50 / 書評数:4
最後の女
平均:4.75 / 書評数:8
1969年01月
三角形の第四辺
平均:4.00 / 書評数:8
1968年01月
クイーンのフルハウス
平均:6.14 / 書評数:7
平均:5.17 / 書評数:6
1967年01月
二百万ドルの死者
平均:4.67 / 書評数:3
恐怖の研究
平均:5.17 / 書評数:6
1965年01月
盤面の敵
平均:5.36 / 書評数:11
1962年01月
犯罪カレンダー (7月~12月)
平均:5.86 / 書評数:7
犯罪カレンダー (1月~6月)
平均:5.67 / 書評数:6
1961年03月
フランス白粉の秘密
平均:6.48 / 書評数:29
1960年12月
ローマ帽子の秘密
平均:5.40 / 書評数:20
1960年01月
クイーン検察局
平均:4.80 / 書評数:5
ガラスの村
平均:6.55 / 書評数:11
1959年01月
十日間の不思議
平均:6.69 / 書評数:16
1958年10月
Xの悲劇
平均:8.06 / 書評数:54
1958年01月
シャム双子の秘密
平均:6.08 / 書評数:24
エラリー・クイーンの新冒険
平均:6.75 / 書評数:16
エラリー・クイーンの冒険
平均:7.16 / 書評数:19
最後の一撃
平均:4.75 / 書評数:8
日本庭園の秘密
平均:5.86 / 書評数:14
1957年08月
ハートの4
平均:5.08 / 書評数:12
1957年01月
クイーン警視自身の事件
平均:5.80 / 書評数:5
ダブル・ダブル
平均:5.36 / 書評数:11
フォックス家の殺人
平均:7.00 / 書評数:16
レーン最後の事件
平均:6.97 / 書評数:29
アメリカ銃の秘密
平均:5.30 / 書評数:20
ギリシャ棺の秘密
平均:7.66 / 書評数:29
1956年09月
緋文字
平均:5.56 / 書評数:9
1956年01月
中途の家
平均:6.84 / 書評数:25
エジプト十字架の秘密
平均:6.97 / 書評数:37
1955年10月
帝王死す
平均:5.10 / 書評数:10
1955年02月
スペイン岬の秘密
平均:6.32 / 書評数:19
1954年10月
靴に棲む老婆
平均:5.87 / 書評数:15
九尾の猫
平均:7.09 / 書評数:22
1951年01月
Zの悲劇
平均:6.47 / 書評数:32
オランダ靴の秘密
平均:7.66 / 書評数:38
1950年01月
災厄の町
平均:7.33 / 書評数:30
Yの悲劇
平均:8.10 / 書評数:61
チャイナ蜜柑の秘密
平均:5.53 / 書評数:19
1948年01月
ドラゴンの歯
平均:5.12 / 書評数:8