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[ 短編集(分類不能) ]
バランスが肝心
マット・スカダーもの エイレングラフもの ほか
ローレンス・ブロック 出版月: 1993年07月 平均: 8.00点 書評数: 3件

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早川書房
1993年07月

No.3 6点 蟷螂の斧 2025/06/13 17:49
①雲を消した少年 6点 先生から雲を消す方法を教えられ…じっと見つめると
②狂気の行方 8点 男は急に奇行を始める…精神病院へ入院
③危険な稼業 6点 妻は夫の悪事を許容している…夫の悩みとは
④処女とコニャック 7点 兄は弟の貴重なコニャックを、弟は兄の美しい養女を欲しい。お互い交換する約束だが…漁夫の利
⑤経験 7点 無実なのに逮捕された。弁護士は無罪にする自信があるという…元妻の策略
⑥週末の客 6点 家に帰ると泥棒に入られていた。そんな時友人から電話…こんな場合、会う約束を守る?
⑦それもまた立派な強請 5点 人妻から浮気相手のことを相談され…浮気相手を訪ね
⑧人生の折り返し点 6点 俺の人生は76年、丁度半分の38歳となった…パリに行きたい
⑨マロリイ・クイーンの死 5点 死因は毒殺、撲殺、刺殺、銃殺…そんなバカな
⑩今日はそんな日 7点 二人の刑事は、他殺と自殺に意見が分かれた…どちらに軍配?
⑪安らかに眠れ、レオ・ヤングダール 4点 母からヤングダールの死亡記事が送られてきた…娘は爆笑する
⑫バランスが肝心 8点 愛人との写真で強請られた男は…その対策の結果は
⑬ホット・アイズ、コールド・アイズ 6点 美人でグラマラスな彼女は男たちの視線に耐えた。しかし、夜、厚化粧で出かける…アパートで何が?
⑭最期に笑みを 6点 死期の迫った作家は、ある事故は殺人だと言い切った…安楽椅子探偵
⑮風変わりな人質 9点 誘拐された娘は、父親には隠し金があると犯人に教える…犯人達は娘を殺す?
⑯エイレングラフの取り決め 5点 自分が弁護する人物は、全員無実という…弁護する前に犯人が
⑰カシャッ! 7点 動物狩りから写真撮影に変えた話を聞き、カメラを買う…撮影対象は
⑱逃げるが勝ち? 6点 妻は浮気相手と夫殺しを計画するが…横領男の運命
⑲バッグ・レディの死 5点 女の浮浪者が刺殺された。彼女は見知らぬ人物32人に少額の遺産を残していた…虚無

No.2 8点 ALFA 2025/05/02 07:23
鮮やかなオチが楽しい第1短編集「おかしなことを聞くね」に続く第2短編集。
こちらはさらにバラエティ豊かで、ミステリーやサスペンスの枠はないに等しい。まさに「分類不能」短編集。なかには斜め上にオチて読み手を呆然とさせる作品もある。

そんな中で印象に残ったのは「安らかに眠れ、レオ・ヤングダール」 。なにも起きない "あるあるネタ" にカムフラージュされた男女の破綻が本筋か?そう思って読むと二人の会話の微妙な違和感が周到な伏線であったことに気づく。とても洗練された掌編。

表題作「バランスが肝心」はひねりの効いた笑えるサスペンス。唯一のマシュウ・スカダー物「バッグ・レディの死」は長編なみの読み応え。

No.1 10点 Tetchy 2014/09/03 23:16
ブロックの第2短編集である本書はまたもや実にヴァラエティに富んだ内容となった。まずファンタジーから始まるのが実に意外。そこから殺人、叙述トリック、詐欺、強請、狂気、本格ミステリのパロディ、リドルストーリー、小咄、サイコパス、探偵物、奇妙な味に更にはジャンル別不可能な物とよくもまあこれだけのアイデアが出るものだと読んでいる最中もしそうだったが、今振り返って改めて感嘆する。
そしてここにはブロックしか書けない作品が揃っている。「処女とコニャック」、「それもまた立派な強請」、「人生の折り返し点」、「安らかに眠れ、レオ・ヤングダール」、「バランスが肝心」、「バッグ・レディの死」などがそうだ。
そんな極上の作品が並ぶ中で個人的ベストを敢えて挙げるとすると「人生の折り返し点」と「バッグ・レディの死」の2作になろうか。
また一種忘れがたいのは「安らかに眠れ、レオ・ヤングダール」。10数ページの小品でその内容は単なるバカ話にしか過ぎない話なのだが、こういう話こそ折に触れ繰り返し語られる不思議な力を持っているものだ。偶然の織り成すおかしみというものがこの作品にはある。

限られた枚数でこれだけのヴァリエーションとアイデアに絶妙なオチをつける、まことに短編は「バランスが肝心」だ。


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ローレンス・ブロック
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