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[ 本格 ]
泥棒は選べない
泥棒バーニィ
ローレンス・ブロック 出版月: 1980年04月 平均: 6.50点 書評数: 2件

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早川書房
1980年04月

早川書房
1992年02月

No.2 7点 Tetchy 2013/12/23 19:31
まず驚くのはその軽快な筆致。とてもマット・スカダーシリーズと同じ作家が書いたとは思えないほど、軽妙でユニークだ。特に絶妙なのは会話だ。突然話があらぬ方向に向かうバーニイと、彼を取り巻く人物たちのやり取りは洒落た漫才のようで実に面白い。しかもジョークを持ち味にするキャラクター―例えばネルソン・デミル作品のジョン・コーリー―にありがちな嫌味が全くなく、逆にバーニイの人柄の良さが滲み出てくる。

バーニイのへらず口として語られる彼の過去の失敗談や逃亡中に間借りする知り合いの俳優についての解説が巧みに事件の要素として関わってくるのは驚いた。単なるエピソードとして読み過ごしていると読者は何のことだっけ?と呆気に取られてしまうだろう。
これは謎の依頼人がハリウッド映画によく出てくる名もない脇役を務める俳優だったことも関係しているのかもしれない。数ある映画を観ていて見過ごしがちな存在ながらも、ある人やある場面では特定の意味を持った存在となるというのは、この単なるエピソードも事件の重要な情報になり得る、つまり不要な物などはないのだということを暗示しているように私は感じた。

正直第1作目の本書は最初の導入部が実に面白かったせいもあり、途中バーニイが身動きとれずにいる辺りは中だるみを感じてしまったのは否めない。が、さりげない手がかりや伏線と云った意外に本格ミステリな趣向が凝らされており、正直最後の真相には感心してしまった。

No.1 6点 mini 2009/08/22 10:09
ローレンス・ブロックは読みたい作家ではあったのだが、私が酒が苦手なのでマット・スカダーものには手が出なかった
そこで作者を代表するもう一つのシリーズ、泥棒バーニー・ローデンバーを読んでみた
ローレンス・ブロックは文章が独特で、流れるような文体は決して読み難くは無いのだが、ちょっとひねくれた注釈をいちいち差し挟む感じは好き嫌いが分かれるかもしれない
ミステリーとしては期待以上で、私は見破ってしまったのだが、本格しか読まないような読者が読んでも楽しめるような意外な真相解明が待っている
と言うか探偵役の職業が泥棒という設定だけで、半分は本格として書かれているだろ、これ
ブロックのようないかにもな職人気質な作家は敬遠されがちだが、いやどうして良い意味での職人技だし、今やアメリカを代表する現代ミステリー作家という一般的評価は全く妥当だ


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ローレンス・ブロック
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