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日本探偵小説全集(11)名作集 1 海野 十三・山本 禾太郎・水谷 準 ほか |
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| アンソロジー(出版社編) | 出版月: 1996年06月 | 平均: 8.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 東京創元社 1996年06月 |
| No.1 | 8点 | クリスティ再読 | 2026/10/01 20:56 |
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| さて懸案の一冊。例の分厚い日本探偵小説全集のアンソロ巻。短編集か、というとヘヴィな長編ドキュメンタリ山本禾太郎「小笛事件」を収録。もちろん岡本綺堂の半七から始まり、谷崎潤一郎・菊池寛・芥川・佐藤春夫といった文豪ミステリに続いて、「新青年」らしさ爆発な看板作家たち、海野十三、牧逸馬、渡辺啓助、渡辺温、水谷準、城昌幸といった面々が続くオールスターズ。重量級のアンソロである。
まあだから堂々の長編「小笛事件」は別項で扱わせてください。 最近では谷崎のミステリ系アンソロもあれば、海野・渡辺啓助・水谷準・城昌幸あたりはそれぞれの個人で名作集が編まれているから評者はそっちで親しんでいたこともあって、だいたい半分はすでに書評済み。まあだけど全体像を掴むためにも再読しているよ。そしてこの全集の陰の立役者だった北村薫氏の解説があり、全集全体の中でのこのアンソロ巻の位置付けなど舞台裏を明かしている。要するに乱歩の巻で「赤い部屋」が入らなかったのは、この谷崎の「途上」を入れるためだったし、北村氏なら半七が入らないわけがない。横溝の巻の金田一ストーリーの構築も狙いである。そういう手の内を明かしている。 やはり思うのは、戦前の「乱歩以前」のミステリを担ったのが、ポオ・ボードレールを紹介した詩人たちの感性だということ。そしてその詩魂というものが、都会的な短編小説として、「新青年らしい作家」である渡辺温・水谷準・城昌幸に強く流れ込んでいることだ。だからこのアンソロに評者が2作追加するのならば、萩原朔太郎「殺人事件」などを含む萩原のミステリ詩と、村山槐多「悪魔の舌」だろうな。特に渡辺温はちゃんと読んだことがなかったが、都会的なポエジーの横溢する「父を失う話」「可哀想な姉」「兵隊の死」と「これぞ新青年!」といったポエジーと味わいのある短編が、いい。また水谷準はロマンの塊みたいな「お・それ・みお」「胡桃園の青白き番人」の味わいが素晴らしい。それに対して城昌幸はこのアンソロでは戦前の作品でなく戦後作中心なのは北村氏の好みだろうな。やや長めの「憂愁の人」にショートショート規模の「スタイリスト」「ママゴト」と続くと、城氏の独特なこだわりが見えてくる。 でやはり期待していたのが羽志主水「監獄部屋」と地味井平造「魔」かな。「監獄部屋」といえば、プロレタリア文学とミステリの合体作品として有名作でもある。プロレタリア文学も実はモダニズム文学の一種だというのは、このアンソロには入ってないが葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」がミステリ枠で評価されることにも表れている。確かにミステリとプロレタリア文学では、内面描写の意図的な軽視という共通点もあるわけだ。 で牧逸馬が入っているのが何気にうれしい。海員気質を語った「上海された男」はいいなあ。庶民から見た海外という、インテリ主導だけではない海外イメージを、海外雄飛を掲げる雑誌「新青年」は紹介し続けたわけである。その実弟地味井平造「魔」はサイレント喜劇のような味わい。 そういうリアルな社会への視線が遊戯文学というだけでもないミステリに当初からあったわけである。「小笛事件」は項を改めるが、浜尾四郎にもあったような司法制度への疑問を菊池寛が小説にした「ある抗議書」はなかなか考えさせられる。安易に死刑囚が宗教で救われていいのか?という宗教自体への問いでもある。まあ菊池の「恩讐の彼方に」と似たようなテーマでもあるんだが。 すまん、海野十三は今読むとSF趣向が「トンデモ・ミステリ」に近づいちゃうなあ(苦笑)解説で触れている また帆村 少々無理な 謎を解き という「宝石」誌上にあった探偵川柳がナイス(笑) |
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