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[ 本格 ]
どもりの主教
ペリイ・メイスン 別題「どもりの僧正」
E・S・ガードナー 出版月: 1956年01月 平均: 5.33点 書評数: 6件

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東京創元社
1956年01月

早川書房
1956年02月

早川書房
1972年01月

早川書房
1981年01月

グーテンベルク21
2015年04月

No.6 5点 nukkam 2020/02/17 22:10
(ネタバレなしです) 1936年発表のペリー・メイスンシリーズ第9作の本格派推理小説で、複雑なプロットとスピーディーな展開の組み合わせは初期作品ならではですが、個人的には拙速気味に感じました。マロリイ主教と名乗る人物がメイスンの依頼人になりますが何度も話の途中でどもることからメイスンは弁護士や主教はどもりの人間には務まらないはずだと若干疑います。他にも本物なのか偽者なのか怪しい人物が登場するなど事態はどんどん錯綜します。終盤は一気に解決するのですが、推理説明が不十分に感じられ、例えばある人物の行方が明らかになる場面はあまりにも唐突な印象があります。最後に次回作の予告がされますが、なぜかハヤカワ文庫版ではシリーズ第10作の「危険な未亡人」(1937年)でなく第11作の「カナリヤの爪」(1937年)の予告でした(弾十六さんのご講評では米国初版ではちゃんと「危険な未亡人」が予告されていたらしいです)。またハヤカワ文庫版の巻末解説ではアガサ・クリスティーの「スタイルズの怪事件」(1920年)の犯人名とトリックが堂々とネタバレされてますのでまだ未読の人は注意下さい。

No.5 6点 弾十六 2018/11/04 17:52
ペリーファン評価★★★★☆
ペリー メイスン第9話。1936年9月出版。ハヤカワ文庫で読了。
22年前が1914年と明記。舞台はLAとSF。レインコートで雨に濡れる登場人物の姿が印象的(皆、傘をささない) ドレイクは風邪をひき、p.125でAge before beautyとのセリフ、やはりメイスンより年上?自動車はステップが立派な30年代のもの。メイスンの冒険は控えめ、バーガーもまとも、ホルコム出番なし。誰もが嘘をついているように思える技巧的な筋立てですがギリギリ成立し、パズルのピースが上手く嵌ります。
ハヤカワ文庫では、ラスト後、助手ジャクスンが顔を出し第11話に続く…実は差し替えで米初版はちゃんと第10話に続きます。
銃は32口径コルト自動拳銃(M1903ですね)とメーカー不明の38口径リヴォルヴァが登場。

No.4 5点 E-BANKER 2016/07/16 22:54
1936年発表。
お馴染みペリィ・メイスンシリーズの長編九作目に当たるのがコレ。

~ペリィ・メイスンの事務所にやってきてシドニーの主教マロリイと名乗った男は“どもり”だった。男はどもりながら、彼の二十二年前の重過失致死事件の弁護を引き受けてくれるかと頼むのだった。相手は名にしおう百万長者のレンヴォルド家だった。興味を覚えたメイスンは、主教を帰すと私立探偵ドレイクに命じてすぐにホテルまで尾行させたたのだが・・・。結果はメイスンが案じたとおりだった。ホテルに戻った主教は、部屋で待ち伏せていた赤毛の娘に頭を殴られて気を失っていたのだ!~

巻末解説者によると、本作はガードナーが最も脂の乗った頃の作品とのこと。
うーん。確かにそういう感触はある。
筆が乗っているというか、酔っているというか・・・(?)
メイスンもデラ・ストリートも大はしゃぎに大はしゃぎだし・・・

でも正直なとこ、プロットが錯綜していてよく分からなかった、というのが本音。
“つかみ”はいいと思うんだよね
メイスンが事件に引き込まれて、渦中に飛び込んでいくところまでは実にスムーズ。
ただ中盤からがイケない。
他の方も触れられてましたが、複雑にしすぎたために不自然というか無理矢理感がどうしても強くなってしまった。
動機も結局よく分からなかったし・・・

まぁシリーズファンにとっては、いつものようにメイスンが八面六臂の活躍をして、大団円に終わるのが堪えられないのだろう。
ファンでない私にとってはあまり楽しい時間とは言えなかったが・・・
しばらくは読まないかな・・・多分。

No.3 5点 了然和尚 2015/06/08 20:18
これで9作目まで読みましたが、さすがに既読感があり新鮮さが無いですね。死体(罪体)の登場が遅く、それまでの登場人物は主教他胡散臭いので、ちょっと読みにくかったです。解決もどこまでが犯人とグルなのか理解しにくく、読み直しさせられましたが、それなりに本格の手がかりが示されており、感心します。デラ・ストリートが殺されかかるというテレビ映えしそうな場面もあります。

No.2 5点 2010/11/13 11:01
説教に慣れた主教(Bishop:創元版では「僧正」。ヴァン・ダインの例のやつですね)という位の高い聖職者がどもるなんて変だ、メイスンを訪れたその主教は偽者ではないかというのが、まず興味をひく謎です。しかし、一番最後に明かされるその答は、なんだか拍子抜けでした。
銃を撃ったのが誰かという謎は、普通に考えればあまりに当然なところですが、動機がネックになって、根本的なからくりはすぐには思い浮かばないでしょう。しかし作者はそれだけでは弱いと考えたのか、さらに事件の経緯をやたら複雑化していますが、かえって不自然になってしまったように思えます。主教の行方は明らかに無理があります(もっと手っ取り早くて都合のいい方法が目の前にあったはず)。ホテルから消えた女の行方にも、被告人の黙秘理由にも、説得力はありません。
ご都合主義で万事めでたしの結末にするため相当無理をした筋立てなのですが、読んでいる間はメイスンが逮捕されそうになったり、罪体問題を論じたりして、それなりに楽しめました。

No.1 6点 kanamori 2010/09/09 18:31
弁護士ペリイ・メイスン、シリーズの第9作。
作者の脂の乗り切っていた時期の作品で、テンポよく次々事件が発生し、謎も多く、なかなか複雑なプロットでした。秘書のデラ・ストリートや探偵のポール・ドレイクと、いつもの面々も大活躍します。
終盤、事件現場のヨットハーバーにて、メイスンの謎解きによって、登場人物たちの行動がパズルのピースが嵌る様にきれいに明らかになるのが圧巻です。


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E・S・ガードナー
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