皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格 ] 憑かれた夫 ペリイ・メイスン |
|||
---|---|---|---|
E・S・ガードナー | 出版月: 1958年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
早川書房 1958年01月 |
早川書房 1986年06月 |
No.2 | 6点 | 弾十六 | 2018/11/17 16:58 |
---|---|---|---|
ペリーファン評価★★★★☆
ペリー メイスン第18話。1941年2月出版。HPBで読了。 冒頭、ハリウッドに向かうプラチナブロンドが事件に巻き込まれます。メイスン登場は第五章p23から。あの犬の事件の法廷で有名なメイスン。シナリオ作家あがりで、ここ2年余りでのし上がった34才の映画プロデューサーのモデルってプレストン スタージェスをすぐに思いついたのですが1940年にやっと初の監督・脚本作を仕上げたばかりなので、まだ大物という感じではないはず。メイスン映画(1934-37)の経験から作者が見聞きしたイメージなのでしょう。 メイスンが見つける死体の数は多すぎる、メイスンを信じない警察の人間はすぐ思いつくだけで3876人いる、メイスンには兄弟も妻もいない、いずれもトラッグ調べ。 メイスンとトラッグが味方となり敵となり絡み合って事件は進み、裁判は予審で終了。あとはメイスンが解説するのですが、ちょっと複雑すぎて解決編を2回読み直しました。 トラッグ警部が前作に続き大活躍。メイスンへの好意(僕は君が好きだ。君も僕が好きなんだろう)を隠さずBL好きには堪らないかも。 以下トリヴィアです。 銃は小口径(多分32口径)のオートマチックが登場。メーカー不明です。 p36『映画』誌(Photoplay): 映画関係セレブのゴシップ雑誌(1911-1980)。 p154 3丁目とタウンゼント街の角のサザン パシフィック鉄道駅(Southern Pacific Depot at Third and Townsend Streets): Southern Pacific Depot San FranciscoでWeb検索すると駅ビルの写真が見られます。1914年建造のMission Revival-styleで1970年代に取り壊されたとのこと。 p217 四人で仲良くレストランで夕食の時、デラと先に踊りたいとトラッグが言うと、ドレイクは「年の順だよ。」(Age before beauty, my lad)と返します。トラッグとメイスンの歳はほぼ同じと書かれてるので、ドレイクはメイスンより年上なのでしょうか?作者がメイスンとドレイクの年の差や上下をはっきり書いたことは無いように思います。(60年代メイスンシリーズではトラッグはメイスンより年上な感じの描写ですが、これは多分TVシリーズの逆影響。あるいは翻訳がTVの印象に引きずられたのかも。なお、TVシリーズ主演者の生年はメイスン=レイモンド バー1917年、デラ=バーバラ ヘイル1922年、ドレイク=ウィリアム ホッパー1915年、トラッグ=レイ コリンズ1889年) p221 乾杯の音頭をとったメイスンは「犯罪のために乾杯」(Here is to crime)、このあとの作品で何度も出てくる作者お気に入りの文句です。(D.A.セルビイやクール&ラムにも出てきます) トラッグが「そして犯人の逮捕に」(And the catching of criminals)とすかさず返すのが可笑しい。 |
No.1 | 6点 | nukkam | 2016/02/07 03:14 |
---|---|---|---|
(ネタバレなしです) 1941年発表のペリイ・メイスンシリーズ第18作です。ヒッチハイクでロス・アンジェルスへ向かう女性が大型車に乗せてくれた運転手に車中で襲われ、抵抗する内に車が横滑りして数台に衝突し、女性が気づいた時にはなぜか運転席でハンドルを握っていて運転手が消えていたという事件で幕開けしますが、プロットは地味で法廷場面も盛り上がりを欠き、真相は結構入り組んでいますのでじっくりと読むことを勧めます。第19章でメイスンが「生物でない手掛かりは余り重視しない方がいい。それよりも動機だとか機会だとかいうものを分析してみて、どういうことが起こったかを推理する方がずっと効果が大きい」と語っているのが興味深いですね。 |