皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 法廷・リーガル ] 怯えるタイピスト ペリイ・メイスン |
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E・S・ガードナー | 出版月: 1957年01月 | 平均: 5.33点 | 書評数: 3件 |
早川書房 1957年01月 |
早川書房 1979年10月 |
No.3 | 5点 | nukkam | 2022/01/26 01:07 |
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(ネタバレなしです) 1956年発表のペリイ・メイスンシリーズ第49作の本格派推理小説で、シリーズ屈指の怪作だと思います。弁護依頼を受けたのが逮捕後と後手に回っているだけでなく非協力的な態度の依頼人、失踪中の容疑者は捕まらない、別の容疑者の尾行は失敗とまともな準備もできずに法廷場面に突入です。この法廷場面の第18章で他のシリーズ作品にはなかった展開に驚かされます(他のシリーズ作品をいくつか先に読んでおくことを勧めます)。もちろんメイスンならではの逆転劇は用意されているのですが、複雑な真相説明にもう一歩丁寧さが欲しかったですね。ハミルトン・バーガー地方検事の「弁護人は争点を混乱させようと計っているのです」というコメントは他の作品でもあったような気がしますが今回は共感しました。ある人物が(身を滅ぼしかねないのに)最後まで偽りを続けた理由が私にはわからず、釈然としませんでした。 |
No.2 | 6点 | 弾十六 | 2020/01/20 01:37 |
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ペリーファン評価★★★★☆
ペリー メイスン第49話。1956年1月出版。ハヤカワ文庫で読了。(なお、以下はAmazon書評をちょっと手直しした再録です。) フランス、イギリス、南アフリカ -- 国際色豊かな事件。完璧なタイピスト、消えた女、古風な手紙、宝石密輸事件が道具立てです。ロボトミー手術を受けた男が出てきたり、綱引き(7月4日に田舎町でやっているらしい)のコツが語られます。今回は被告側が反対尋問出来ない起訴陪審(grand jury「大陪審」と訳されることが多い)経由なので、何が出てくるか五里霧中で陪審裁判を迎えます。いやに自信たっぷりなバーガー、メイスンは焦りますが… ラストはちょっとどうかなあ、というややスッキリしない感じ。 ジャクソンとトラッグは名前だけ登場、二人ともしばらくご無沙汰です。 文庫版には「があどなあ・ほうだん/5」が付属、弁護士の秘密交通権についての解説があります。 (2017年4月30日記載) |
No.1 | 5点 | 空 | 2019/05/08 20:19 |
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メイスン、ついにバーガー検事に敗れる?
今回ガードナーがやりたかったのは、これでしょうね。普通だと裁判の途中でメイスンによって真犯人が明らかにされ、告訴が取り下げられることになるのですが、本作では陪審員の評決まで出て、その後裁判長による判決言い渡しの場で真相が明かされることになります。この最後のどんでん返しは、シリーズ中でもおそらく最も意外なのではないでしょうか。 その意外性はいいのですが、そのためずいぶん無理をしているのが難点です。バーガー検事が密かに握っている事実は、もっと早くわかっていて当然のことなのですが、この事実を警察が厳密に調査すれば、ネタが割れてしまいます。だからと言って、読者に隠しておきさえすれば不自然さがなくなるというわけではありません。タイトルのタイピストのオフィスでの事件への関わり方も不自然ですし、共犯者が多すぎるのも減点対象です。 |