皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] カナリヤの爪 ペリイ・メイスン 別題「びっこのカナリヤ」 |
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E・S・ガードナー | 出版月: 1956年01月 | 平均: 6.17点 | 書評数: 6件 |
早川書房 1956年01月 |
早川書房 1956年01月 |
早川書房 1977年08月 |
グーテンベルク21 2016年01月 |
No.6 | 6点 | nukkam | 2023/10/09 21:17 |
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(ネタバレなしです) 1937年発表のペリイ・メイスンシリーズ第11作の本格派推理小説ですが、「餌のついた釣針」(1940年)のハヤカワ文庫版の巻末解説によると「メイスンが永久に退場する作品に書きかえようとしました」と紹介されていてびっくりです。弾十六さんのご講評によると出版社に出版を断られたとあってそれも影響したのかもしれませんね。別の出版社が出版してくれてシリーズ存続になってよかったです。離婚訴訟に発展しそうな相談事にメイスンは関心のない態度を隠しませんが、すぐに殺人事件が起きます。ハヤカワ文庫版で250ページに満たない作品ですが、交通事故を絡めてなかなか複雑で大胆な謎解きを用意しています(現場見取り図がほしかったです)。空さんのご講評で紹介の風変わりなタイムリミットは印象的で、もしもシリーズ最終作になっていたらこの幕切れはもっとロマンティックに締めくくられたかもしれませんね。 |
No.5 | 7点 | 弾十六 | 2018/11/13 22:57 |
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ペリー ファン評価★★★★★
ペリー メイスン第11話。1937年9月出版。Saturday Evening Post連載(1937-05-29〜1937-07-17) ハヤカワ文庫で読了。 ガードナーは本作がLiberty誌から断られガッカリ。もしPost誌が買わなかったらシリーズは、ここで終わっていたかも。 主計さんの文庫あとがきを読めば、訳者が本作に思い入れが強いのがわかりますが、ちょっとくだけすぎの会話文(特にドレイク)は好みが分かれると思います。 物語自体は、スピード感満載の、ちょっと込み入ってるが割とスッキリした筋の話です。メイスンのやんちゃな行動は控え目、ホルコム刑事はちょっとしか活躍しません。なので全体的にパンチには欠けますが、ファンには楽しい幕切れが… (次の事件の予告は前作で終了) さて、トリヴィアです。 モンタレイ号、ヨハンソン船長という「どもりの主教」関係の名前がちょっとだけ出てきて覚えてる人はニヤリ。 デラの個人情報は、シリーズ中にほとんど出てきませんが、本作では「姉妹はいないので損してた」(I always felt I was short-changed by not having any sisters)と自ら暴露。 訳文では「ロスアンジェルス」(p5、p180)となっていますが、いずれも原文はthe city。 Hawaiian ParadiseはHarry Owens作詞作曲で1935年作。 銃はスミス・アンド・ウェッスン 38口径六連発リボルバーが登場。ミリタリー&ポリス(M10)だと思われます。「台は鋼鉄張りかニッケル張りか」(Was it blued-steel or nickel-plated?)というセリフは、表面がブルースチール(青黒い色)かニッケル仕上げ(銀色)かということ。「握りの台尻に近い部分の真珠のはめ込み」(the pearl handles right near the butt of the gun)とはパールグリップのことですね。 |
No.4 | 6点 | 空 | 2015/08/29 23:22 |
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ガードナーが考え出した事件解決までのタイム・リミットは、なんともとぼけたものでした。最終章でメイスンとデラが間一髪で間に合ったのには苦笑もの。次の事件の予告を入れるいつもとは全然違う大げさにロマンチックな終わり方でした。
事件の方はというと、タイトルのカナリヤの爪の問題は、ごく早い段階で簡単に解決してしまい、その後例によって殺人事件へと展開していきます。しかし今回は珍しく容疑者が3人もいて、一時は3人とも警察に逮捕されてしまいます。で、検察送りになるのは結局そのうち1人だけですが、その人物が被告人の裁判が始まる前に、もう一つの殺人事件の検死審問で事件は解決してしまいます。真相の背景は、ちょっと見当がつかないだろうというものでした。 それにしても、ドレイク探偵の「そうじゃないでしょう。まだだろう」という台詞に代表される阿部主計氏の統一のとれていない翻訳は、問題です。 |
No.3 | 6点 | 了然和尚 | 2015/07/27 10:51 |
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これまでの作品のような寝技工作や法廷での論争は減っているので、ペリーメイソン物らしくない感じもしますが、複数の事件や人物がぴたり収まる展開には感動です。最初の3作あたりでは、法廷活動が中心で、極論すれば自分の弁護人が無実になれば真相はどうでもよい(じつは真犯人であっても)という感じでしたが、本作では普通に本格物の名探偵的なポジションになっていて、謎を解決します。 |
No.2 | 6点 | kanamori | 2010/09/15 17:59 |
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前作「どもりの主教」のエピローグで予告されていた「びっこのカナリヤ」事件。
依頼人女性の姉夫婦の家で発見された死体と、同時期に近所で発生した交通事故がどう結びつくのかがメインの謎で、お得意のトリックで意外な真相を見せてくれてます。カナリヤの爪はほとんど本筋と関係ありませんが。 最後に世界一周旅行に旅立つ船上で、メイスンが秘書のデラ・ストリートにプロポーズしますが、デラの返事とその理由がなかなかふるっています。 |
No.1 | 6点 | mini | 2008/12/06 10:59 |
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どうも日本の読者には、作品ごとにムラがある作家の唯一の傑作とか一発屋作家とかの宣伝文句があるとブックオフとか漁ってまで探すくせに、平均して水準以上で作品ごとにバラツキのない安定した作家は好まれない変な風潮がある
作品レベルが安定している作家の方が安心して読めると思うのだが、逆にどれを読んだらいいのか分からないという心理が働くのかもしれない 海外ものがあまり読まれていない現状では、出来不出来がはっきりしている作家の方が、この作家ならこれって感じで、読むべき作品が特定できるし迷わないということなんだろう そういう意味ではガードナーは損してる作家ではあるが、たしかに突出した超傑作もない代わりに、どれを読んでも水準以上という、特定の一作品を選び難い作家ではある ペリー・メイスンのシリーズで一作だけ初めての人にお薦めなのを強いて選べば「カナリヤの爪」だろうか シリーズ長編の中では比較的短いし、解決編でのどんでん返しが鮮やかなので、ガードナーに偏見を持つような本格偏愛読者にも楽しめると思う |