皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] 怒りっぽい女 ペリイ・メイスン 別題「すねた娘」「短気な娘」 |
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E・S・ガードナー | 出版月: 1957年01月 | 平均: 6.25点 | 書評数: 4件 |
![]() 東京創元社 1957年01月 |
![]() 東京創元社 1959年01月 |
![]() 東京創元社 1960年01月 |
![]() 角川書店 1961年01月 |
画像がありません。 早川書房 1961年01月 |
![]() 早川書房 1979年09月 |
![]() グーテンベルク21 2015年03月 |
No.4 | 6点 | クリスティ再読 | 2025/03/24 17:37 |
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そういえば「E. S. ガードナーの「ペリー・メイスン」 絶滅の謎」という論文をネットで見つけたよ。ある意味「読めば、分かる(面白い)」を体現したシリーズであるにもかかわらず、現在日米ともに電子書籍以外では現役本がほぼ絶滅している状況にあることについて考察したものなんだ。
いやミステリマニアの立場では、「当世流ペリー・メイスンの読み方」というようなことを、しっかり考え直すことの方が、大事なのではないのかとか思うのだ。 というわけで第二作。初の法廷場面あり。ハヤカワでは「怒りっぽい女」だが、「すねた娘」の創元が訳題では圧勝。ヒロインで依頼人のフランセスの甘え切った「すねた娘」っぷりが、まさに「まんま」。それをかばって嘘自白をしたがるロミオとか、今じゃ阿呆呼ばわりされても仕方ないが、昭和エンタメ感を盛り上げる(苦笑) でなんだが、一応「ミステリらしい」仕掛けもある。しかし、ぺリイ・メイスンの「読み方」は、揃ったデータから静的に推理するのを楽しむものではなくて、ダイナミックな法廷駆け引きの中で推理内容をどう「武器化」するのか、というあたりを想像しながら読むということだろう。メイスンが「何を狙っているか」がホントに大事で、これを割ってしまうとつまらない。だからこそ、ポイントを際立てるためにメイスンの意図を探る「質問役」が要るわけだ。今回これが見習い弁護士フランク・エヴァリーくん。しかし、ちょっとばかり役者が不足。実際、デラくんとかドレイクくんとかで十分な気もするから、フランクくんはフェードアウトしたのだろう。 勿論ペリーメイスンで描かれる「ボクシングみたいな」アメリカの刑事裁判という日本の常識からやや外れた「珍しい」話の興味と、メイスンが活用して見せる特殊なルールに対する「あこがれ」みたいなものが、日本の読者にはあったんだろう。メイスンが勝つに決まってるんだもん、無責任に楽しめるちょっとした「背のび感」を持った読書体験だったともおもうのだ。 まあだけど本作はミステリっぽいと言えば大変ミステリっぽい話。仕掛けがメイスンの法廷闘争に噛み合っているのがナイス。 |
No.3 | 5点 | nukkam | 2021/03/02 21:28 |
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(ネタバレなしです) 1933年発表のペリー・メイスンシリーズ第2作の本格派推理小説で初めて法廷場面が描かれた作品でもあります(シリーズ前作の「ビロードの爪」(1933年)には法廷場面はありません)。メイスンは全82作品を通じて年をとらないキャラクターとして認識されていますが、本書では説得の通じない相手に怒りを隠せないなど若さを感じさせますね。単に真相を見破るだけでは成功とは言えず、いかに法廷で証明できるかがこのシリーズでのハイライトですが本書では実に深遠な法廷戦略をとっていて印象的でした。もっともそれはメイスンが説明して初めて私はわかったのであって、それまでは実に地味に立ち回っており盛り上がりに欠ける展開という気もします。なお「ビロードの爪」の締め括りで次回作(つまり本書)を予告した演出がありましたがそれは本書でも採用されており、シリーズ第3作の「幸運の脚の娘」(1934年)へ続くようになっています。しかしそれが読めるのは創元推理文庫版のみで、角川文庫版とハヤカワ・ミステリ文庫版では(本筋には影響ないとはいえ)この演出部分が削除されているのは残念です。 |
No.2 | 7点 | 弾十六 | 2018/10/29 20:22 |
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ペリーファン評価★★★★☆
ペリー メイスン第2話 1933年9月出版 ハヤカワ文庫で読みました。 デラはabout twentyseven。この頃のメイスン事務所の従業員はデラ(タイピスト、速記者兼秘書: a typist, Della Street, combination stenographer and secretary この順番がちょっと意外でした…)と見習い弁護士のフランク エヴァリー(今回、ちょっとだけ活躍)の二人だけ。本作には事務所の間取りの紹介もあります。(応接間2つ、図書室、速記室、私室2つ) ドレイク登場は12章から、この位の塩梅が良いですね。(ドレイク探偵の尾行講座や意外な過去も語られますのでドレイクファンは注目) 前作と異なり、本作ではメイスンが無敗(絞首刑なし)を自慢しています。法廷場面はシリーズ初。異例の弁護が炸裂します。ハヤカワ文庫のカヴァー絵の車は時代が違いますね… (どう見ても1950年代の車です) |
No.1 | 7点 | 空 | 2011/02/13 23:13 |
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大岡昇平が訳した創元版で読んだ作品。
メイスンものは依頼人を被告人にするため、作品によってはかなり無理やりな偶然を使うこともありますが、本作はそれほど気にならない程度です。重要手がかりははっきりわかるように堂々と示してありますし、解決もすっきりできています。また被告人2人のキャラクターも、このようなタイプの作品では問題ない程度には描かれています。 まだ第2作だからということもあるのでしょうか。メイスンの法廷戦術はそれほど派手ではありません。法廷外での実験を画策してくれてはいますが。 しかし久しぶりに再読して一番驚いたのは、犯人が使うトリックが他の作家の非常に有名な某傑作とよく似た発想であったことでした。すっかり記憶から飛んでいました。その傑作の方がやはりトリックの使い方はすぐれていますが、本作はそれより10年近く早いのです。 |