皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 法廷・リーガル ] 埋められた時計 ペリイ・メイスン |
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E・S・ガードナー | 出版月: 1959年10月 | 平均: 4.67点 | 書評数: 3件 |
早川書房 1959年10月 |
グーテンベルク21 2016年01月 |
No.3 | 5点 | nukkam | 2022/09/28 06:55 |
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(ネタバレなしです) 1943年発表のペリイ・メイスンシリーズ第22作の本格派推理小説です。埋められた時計の発見シーンで幕開けし、最後までこの時計の役割が謎としてつきまとう展開でこのタイトル以上のタイトルはありえないでしょう。「十件のうち九件までは有罪にしてしまう」裁判成績をもつ若手のマックネア地方検事の強敵ぶりもなかなかです。空さんや弾十六さんのご講評で紹介されているように戦場から帰還した青年を主人公にした章を挿入していますが、被害者でも容疑者でも探偵役でもなく証人の役割に留めているのであまり効果的ではなかったように思います。2人の被告が告発されたりメイスンが違法な捜査したりと他にもユニークな試みを織り込んだ力作ですが、複雑な真相の説明はそれなりに丁寧ながらあまり論理的な推理でないので強引な解決の感がしてすっきりできませんでした。 |
No.2 | 5点 | 弾十六 | 2019/08/15 19:27 |
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ペリーファン評価★★★☆☆
ペリー メイスン第22話。1943年5月出版。グーテンベルク21の電子本で読了。(なお、以下はAmazon書評の転載です。ちょっと訂正しました。いずれ再読したらあらためて書きます。) 負傷した復員兵、タイヤの配給、戦時タイム(太陽時間より1時間早い)などの道具立てが時代を感じさせ、多少の法律違反はものともしない時期の行動派ペリーの活躍。でもペリー視点じゃ無い記載が途中にも混じっててちょっと興ざめ。銃は38口径コルト複動式(ダブルアクションのことですね)六連発リボルバー、シリアル14581が登場。約5年前に入手した、ということなので、シリアルで探したら1907年製ポリスポジティブ(38S&W弾)と1909年製ポリスポジティブスペシャル(38SP弾)が見つかりました。 (2017年2月25日記載; 2019-8-15訂正) |
No.1 | 4点 | 空 | 2018/12/03 00:03 |
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最初の3章はメイスンが登場せず、さらに途中第14章もメイスンの視点から書かれていない作品です。まあ、ストーリー上からはその方がわかりやすいとは言えるのですが、なんだか中途半端な感じがします。その4つの章は、太平洋戦争で負傷して復員してきた青年の視点から描かれているのですが、彼のその経歴が特に意味を持ってくるわけでもなく、作中での役割があやふやなのです。
冒頭から登場する、ブリキ容器に入れて埋められた目覚まし時計の意味が最大の謎になっていて、メイスンもずいぶん悩むのですが、最後に明かされてみるとなんだかねえという感じでした。時計をあらかじめ埋めておく必要もないように思えますし、実際にはどうやったらそれがうまくいくのか不明です。拳銃と薬物に関する部分は、複雑にしすぎていますし、第14~15章の医師の行動もほとんど無意味としか思えず、不満点の多い作品でした。 |