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[ 本格/新本格 ]
凶鳥の如き忌むもの
刀城言耶シリーズ
三津田信三 出版月: 2006年09月 平均: 6.41点 書評数: 29件

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講談社
2006年09月

原書房
2009年04月

講談社
2012年10月

No.29 10点 密室とアリバイ 2023/05/02 15:00
珍しく消失の謎を看破できてしまった作品であるが、幻想的でいて派手なトリックを十分に堪能できた

No.28 4点 ALFA 2023/01/17 15:08
トリックが強烈なだけに、それを支える土台つまり「お話」がしっかりしていないとリアリティが出ない。
名作「首無」や「忌名」に比べるとこの作品は動機、人物描写、時代感といったお話部分が物足りない。

たとえば時代感。ここは横溝流の濃い昭和感が欲しいところだが、真知子巻きをわざわざ現代人向きに解説したり、Gパンがジーンズになってたりと平成感が丸出しになっている。
「とある昭和の卯月」の手記のはずが、平成の視点になっていて興ざめ。 
ディテールに神が宿っていないのだ。

余談だけどファッションアイテム名って時代性がよく出るよね。
昭和のGパン、平成のジーンズ、令和ではデニム。チョッキ、ベストまあジレは特殊かな。
ズボン、スラックス、パンツ等々。
「今日はスカートをやめてパンツで街に出た・・・」なんてことのない文だが、昭和の記述ならとんでもないことに・・・

No.27 8点 みりん 2023/01/09 05:44
「首無の如き祟るもの」の評価が高く、これを読みたいがためにシリーズ順に「厭魅の如き憑くもの」と「凶鳥の如き忌むもの」を読んできました。そしてこのサイトでは本作品の評価が低くあまり期待せずに読んだが、個人的には非常に斬新な密室消失トリックで満足しました。

【ネタバレあります】




厭魅〜は怪異とミステリが5:5くらいでしたが今回はほとんどミステリなのが気に入った理由かもしれません。「鳥葬」「鵺喰」「人骨」などたくさんのヒントが出ていたのにあんな悪魔的発想には全く気づけませんでした。
不満点としては糸のトリックや振り子のトリックなど文字の説明でほとんどわからなかったので図面が欲しかったこと。頭の中で想像する力が欠如してるなあと痛感させられました。

No.26 7点 メルカトル 2022/04/25 22:48
瀬戸内海の兜離の浦沖に浮かぶ鳥坏島。鵺敷神社の祭壇“大鳥様の間”で巫女、朱音は神事“鳥人の儀”を執り行う。怪異譚蒐集の為、この地を訪ねた刀城言耶の目前で、謎の人間消失は起きた。大鳥様の奇跡か?鳥女と呼ばれる化け物の仕業か?『厭魅の如き憑くもの』に続く“刀城言耶”シリーズ第二長編待望の刊行。
『BOOK』データベースより。

何か、悪い意味ではなく嫌な小説を読んでしまった、みたいな読後感です。前半は耳慣れないワードが結構出てきて、やや理解が追い付かない面がありました。が、その雰囲気はやはりシリーズを通しての独特のものであり、良い具合にストーリーやトリックに絡んでくるので、我慢して読むしかありません。ここを飛ばし読みすると解決編で得られるカタルシスが減じる可能性があります。

物語の舞台は固定されていて、それだけ濃縮された世界であるのは間違いないですが、その分スケールの大きさは感じられません。その反面密度は濃いですね。
人間消失のトリックに関しては、もう何も申しますまい。ただ、巫女の心情がもう少し深掘りされていれば更に素晴らしい小説になったのではないかと思います。いずれにせよ、普通のミステリに飽きてしまった読者向けとは言えるでしょう。それだけ尋常ではない代物ってことで。評価が割れるのはやむを得ない所も納得です。
一つ残念なのは拝殿の見取り図がなかった事。これは是非とも挿して欲しかったですね。

No.25 8点 人並由真 2021/09/27 08:26
(ネタバレなし)
 シリーズ第二弾、クローズド・サークルもの、人間消失ネタ、モンスターまたは妖怪は鳥の属性、という程度の予備知識で読み出す。

 中盤の仮説&ロジックの討議合戦はやや手ごわかったが、それでも気が付くとあっという間に200ページ以上になり、そのままクライマックスまで一直線であった。それで迎える、サプライズの連続の果ての最後の真相……。
 いや、文句なしに度肝を抜かれました!!!

 こういう方向の意味でのリアリティとか、こんな考えする人間いるか!? とか言ってもまるで無意味で、ある種の狂気の域に達した当該キャラクターの(中略)に、ただただ畏怖するのみ。

 腹が立つというか不愉快な描写が細部にあったから減点しようかとも思ったが、これだけパワフルで破格なパズラーを読ませられては、それもしにくい。

 それでもあえて言えば、18年前の事件の方の形成でちょっとひっかかる気もしないでもないんだけど、まあそれも解釈のしようでイクスキューズ可能な範疇ではあろう。

 個人的には第1作目よりもさらに面白かった。
 評価が割れるのもわからないでもないが、このシリーズをこれからまだまだ楽しめるのは非常にウレシイ。

 しかし本シリーズの長編は、まずはみんな原書房のハードカバー版が元版と思っていたんだけど、これは講談社ノベルスが先だったんですな。
 たまたまその講談社ノベルス版で読んだけど、あとから改めて意識して軽くびっくりしました。

No.24 8点 じきる 2020/10/11 12:12
刀城シリーズ第2弾で、今回は孤島を舞台にしたクローズドサークル。
雰囲気作りは相変わらず上手い。建物周りの描写がかなりわかりづらいのは難点だが、それを差し引いてもやはりこの作者の書くストーリーは好きだ。
メインの密室トリックは前代未聞の大技で、賛否が分かれるのも仕方ないかなぁとは思う。個人的には鳥坏島や背景の民俗学要素がしっかりトリックと結びついているのが好印象で、他のダミー推理よりはずっと説得力を感じました。

No.23 6点 斎藤警部 2020/08/26 19:21
「密室」 からの人間消失かと思いきや。。 そこに巨大な盲点というか盲面というか、広大な盲空間があったわけだ。。。。

夏の瀬戸内海の事件話はエエなあ。 シリーズ第一作に比べると格段に読みやすく、映像もよく浮かび、ストレス無くサクサク行けた。とても昭和三十年代初頭に思えない、あまりに頑固な平成の空気感はもう仕方無いか。誰の台詞か分かりづらくなる癖はかなり改善されてた(所々あったが)。 コージー過ぎラノベ感強過ぎでホラーな手触りは無かったけど、読んでてなんとも愉しかったス。だがその果てに見せつけられた結末は、むしろ第一作のほうがガツンと来たな。。。。 それでもこの、狂気のトリックと真相! ここに行き着く迄ののんびり旅行で見せつけられる大枠のリアリティ無さはお約束で一向に気にならんけど、だからと言って、、細かい所の一々のアンリアルさはちょっとスリルを殺ぐなあ。。 おかしな落差に一々カックン来た(それでも愉しい!)。 それと、文学的意味じゃなく、本格ミステリの演出として人間がどうも書けていない。特に真犯人(!?)。これでは折角意図した結末衝撃も、詰めの甘い人間描写に吸収されてふゎっとしちゃうよ。 おかしな大きな落差。。 だが、この狂気のトリックと真相だ!

“(それにしても登っているというのに、まるで真っ暗な奈落の底に降りていくような、この妙な気分は何だろう・・・・・・)”

伏線もいっぱいありましたな、だけど意外性が一々低いよなあ。その伏線でそっち行くか?!って驚きの急転回は無かった。(あの狂気のトリック周りを除いて!) 人間消失講義に連なるダミー解決披瀝でのせこい物理トリックシャバダバは辟易したけど、やっぱあの狂気のトリックと真相には参った。 だから、もっと強烈な文章で書いててくれれば。。。。 だが読む価値はある!

No.22 8点 mediocrity 2020/08/18 00:45
文庫本の番号が「み58-9」なので、読むまで刀城シリーズ2作目だと知らなかった。1作目と3作目を既に読んでいるので飛ばしていたことになる。荘重かつページ数もあるので、読み始めるのに心の準備が必要なシリーズ。

今回は島が舞台である。紆余曲折の末に驚愕の解決にたどりついたが、正答が最も納得のいく推理であったのはポイントが高い。
メイントリックは可能性の一つとしては想像していたので、むしろ周辺の細々とした事柄の置き方に技巧を感じた。2番目に可能性の高そうな推理ではダメな理由が、はっきりと示されているのがすばらしい。このあたりが適当で、ドンデン返し前の推理の方が良くない?という感想を抱く作品は非常に多い。
一つ注文をつけると、建物の立体図が欲しかった。渡り廊下を登りきるまではわかるが、その先の一番重要な場所がわかりにくい。綾辻作品の異様な建築でさえ平面図でほぼ全体がイメージできるのだが、本作は最後まで頭の中で「絵」が定まらなかった。

No.21 5点 okutetsu 2020/07/24 01:33
お話としては楽しめたし、雰囲気作りはこの作者ほんとに上手いなと思う。
真相はちょっと現実味がなくて拍子抜け。
そんなこと計画して実行できるやつおらんだろうと。

No.20 7点 ボナンザ 2020/05/08 23:03
この作品は雰囲気にハマるかどうかですね。ハマらないと実質的なトリックはあれだけなので、評価は平均点くらいだと思います。

No.19 4点 雪の日 2020/04/13 15:07
ホラー感が少なく、トリックも大胆だがイマイチ。

No.18 5点 レッドキング 2020/03/29 22:48
驚くべき不可能トリック。でも、そんな綺麗に白骨になるかなあ。

No.17 7点 新世紀ミステリー 2019/06/22 22:06
2006年発表。タイトルの鳥に因んだ「密室」からの消失トリックがユニークで、ダミーの機械トリック抜け道トリックもそれぞれに面白かったです。

No.16 9点 monica 2019/02/18 00:38
この作品、評価低いですね~(汗)

まず舞台や雰囲気は満足です。
かなり興味を持って読めました。

推理小説として不満を持っている方が
多いようですが、確かに本格推理ものとして
読むとすっきりしないかもしれませんね。

私は誰が「行使」してどのように「処理」したか
よりも「そもそも鳥人の儀ってどういうもの?」
というスタンスで読んでいたので、「行使」も
「処理」も二の次でした。

テーマからして横溝正史と比較されることが
多いようですが、個人的には読後感は、
京極夏彦氏の「魍魎の匣」に似ている気が
します。

好みが別れる作品なのかもしれませんね。

No.15 8点 青い車 2016/02/21 17:08
トンデモ系の大トリックは賛否が分かれそうですが僕は支持します。人間消失の謎として、これまでになかったアイディアではないでしょうか。きっちり鳥坏島を活かしたトリックであるのもプラスに評価。それにこの現代に横溝正史の発展形のような、村や孤島を舞台にした本格ミステリーが読めるだけでありがたいです。犯人の意外性は控えめですが、やはり後半に行くほど加速する面白さは健在です。

No.14 5点 HORNET 2014/11/09 09:49
他の刀城言耶シリーズを読み、シリーズとしては初期のこの作品を後に読むことになった。目が慣れてきたせいかもしれないが、初期の作品の割には読みやすく、読み進めるのが難解という印象はあまりなかった。
 戦後10年ほど(?)の時代の、瀬戸内海にある孤島を舞台とした「人間消失」を題材とした作品だが、格式と曰くのある神社、儀式を扱うところなど、氏の作風が色濃く表れていてその点では期待通り。
 また、物語の要所にちりばめられている伏線が、結末において見事に回収され、真相に一役買っているのもさすがといいたい。
(ここからネタバレあり)
 ただ、メイントリックに関しては、そこまできれいに痕跡を残さないものなのか?ある意味「大味」な真相という感じがして、少々肩透かしを食らうものだった。また、後半の人間消失は、事前準備はあったものの突発的なものだったわけだが、多少の偶然性も重なってうまくいってしまうのもちょっとご都合主義な感じがした。

No.13 5点 名探偵ジャパン 2014/10/06 15:42
今まで読んできた刀城言耶シリーズはどれも傑作揃いで、本シリーズに対する要求は自然とハードルが上がってしまう。そんな中で読んだ本書は、その高いハードルを越えるには至らなかったようだ。
トリックを成立させるために作者が作る舞台設定、人物設定をいかに自然に読者に納得させるか。刀城シリーズはそのさじ加減が絶妙なのだが、本作については少しやりすぎという印象を受ける。「そこまでやるかよ」と思ってしまったのだ。もちろんそのための、現代の風習、一般の常識が通用しない戦後の、しかも閉鎖的な地方という舞台設定は分かるが。
メイントリック自体も博打が過ぎるような。
しかし、今までの刀城言耶シリーズと比べて、という注釈付きでの評価のため、本作単体で読めば一般的なミステリの基準は軽々クリアしているといえる。
5点は辛いかなとも思ったが、数々の傑作を生み出してきた実績のある作者、三津田信三に敬意を表し、この点数にした。

No.12 6点 simo10 2013/05/22 20:49
--ネタばれ含みます--

刀城言耶シリーズ第二弾。覚悟はしていましたが、やはり第一弾と同様、漢字、用語が難しいわ、蘊蓄が長いわ、事件がなかなか発生しないわ(前作同様250ページくらいで発生) で読むのが大変でした。
ミステリ的には密室状況からの消失トリックに分類されます。
その真相は…う~ん、評価が難しい。赤黒の死の真相も合わせてちゃんと説明は合理的になされてるんだけど。
ショッキングな真相でありながら、拍子抜けの感も否めないといったところです。
朱音の過去の証言も消失トリックにどう絡めてくれるか期待していたんですが…これが一番残念だったかな。
他の方の書評を読んでから知りましたが、本作が文庫化されたのは最近だったんですね。(書店で新作コーナーに置かれていたのでなんでやねんと思っていました。)

No.11 7点 E-BANKER 2012/11/25 20:37
刀城言耶シリーズの2作目。舞台は瀬戸内のとある孤島。
文庫落ちしてから読むため、順番としては「厭魅」→「首無」→「山魔」→「密室」→本作になってしまった(書評とは関係ないけど)。

~瀬戸内海の兜離(とり)の浦沖に浮かぶ鳥坏島(とりつきじま)。鵺敷神社の祭壇“大鳥様の間”で巫女・朱音は神事『鳥人の儀』を執り行う。怪異譚蒐集のためこの地を訪れた刀城言耶の目の前で、謎の人間消失は起きた。大鳥様の奇跡なのか? 鳥女(とりめ)と呼ばれる化け物の仕業か? 刀城言耶の推理は如何に・・・~

これも力作なのは確か。
ホラーと本格ミステリーの融合がウリの本シリーズだが、今回は紹介文のとおり「人間消失」がメインテーマ。
まさに、目の前は断崖絶壁しかないという密室から1人の人間が忽然と消えてしまうのだ!
そして、相変わらず舞台設定が秀逸。
戦後間もない時代の瀬戸内の小島というと、何となく横溝正史の世界観と重なるが、1つ1つの設定や小道具が最終的には謎の解明に効いてくるのだ。

本作の評価を左右しているのは、ラストに炸裂するメイントリックの件だろう。
これは確かに「衝撃的」だ。
本シリーズらしく、事件の謎を細分化しそれを1つ1つ検討していくというロジックの徹底ぶりなのだが、この真相はある意味最もシンプルなのではないか?
ただ、あまりにもシンプル過ぎて、個人的には最初から検討材料として入れてなかったというものだった・・・
あらゆる可能性が否定されて、この真相が浮かび上がったラストには唸らされた。

「首無」や「山魔」との比較では、このシンプルさと非道さ(残虐性?)が受け入れられないのかもしれないが、個人的には遜色ないレベルに感じた。
やはり、ハズレのない貴重な作家の1人だと思う。
(文庫版解説では、横溝「本陣殺人事件」との類似性に触れられていて「成程」と納得。ただ、舞台設定からは「悪霊島」の影響も感じる・・・「鵺」だしね)

No.10 4点 ミステリ初心者 2012/05/28 15:05
 厭魅の~を読んだ後だったので、ハードルが上がった状態で読んでしまったせいかも知れませんが、ちょっと期待はずれ。
 密室系で、オリジナリティーは高いと思うけど、なんか好きになれないトリック?です。

 ホラー部分は怖いところがあります。穴をみると目があるっていう部分は怖いですが、似たような話はあるし…。
 今のところ刀城言耶シリーズ長編で唯一楽しめなかった作品。


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