海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト

[ 本格/新本格 ]
黒面の狐
物理波矢多シリーズ
三津田信三 出版月: 2016年09月 平均: 6.33点 書評数: 3件

書評を見る | 採点するジャンル投票


文藝春秋
2016年09月

文藝春秋
2019年03月

No.3 7点 HORNET 2017/03/20 23:28
 久々の三津田ワールドって感じで、よかったんじゃないでしょうか。
 戦後の炭鉱社会の薀蓄は単純に面白かった。やっぱり自分があんまり知らないことについて知る(くどくない程度に、わかりやすく)ってのは楽しいんだなぁと改めて実感。坑内の薄暗い感じと、さびれた炭鉱村の様子がよくマッチしてて、雰囲気出てたと思う。きっと映像化しても面白い(ただし、昨今の洗練された映像とイケメン・美女の組合せではなくて、昔の横溝映画のような、野暮ったさと辛気臭さ、泥臭~い感じでね)
 ラストに畳みかけられる、「可能性を一つ一つ潰していく」という論理性とセットの「どんでん返しの連続」にはもう慣れた。でも、と言いながら……それを期待していた!!(笑)それなりに満足。
 筋道やからくりはわからなかったが、正直、真相は想定内というか予想していた。

No.2 5点 mozart 2016/11/29 10:29
戦前から戦後にかけての炭坑関連の記述については、「幽女の~」の蘊蓄に比べるとそれほどくどくなく、比較的読みやすかったと思います。ただ、最後の「多重解決&棄却」は、やや「言耶シリーズの劣化版」の感が・・・。トリックもちょっとご都合主義ぎみだったし。肝心のフーダニットもひとひねりがあったとはいえ、その破壊力はイマイチでした。
とはいえ、久々に「言耶テイスト」を味わうことができたのも事実で、次作では是非とも「首無」を凌ぐような言耶ワールドを(もちろん言耶の「~の如き」シリーズで)現出してもらいたいものです。

No.1 7点 人並由真 2016/11/03 03:07
(ネタバレなし)
 昭和二十年代初頭。先に満州の建国大学に学び、亜細亜と世界の諸国がいずれ平和で文明的な将来を迎えるようにと願っていた青年・物理波矢多(もとろいはやた)。そんな彼は大戦の現実に心身をすり減らして帰国し、九州の炭鉱地帯に流れ着いた。そこで波矢多は、3歳年上の親切な美青年・合里光範(あいざとみのる)と知り合い、その紹介で合里の勤務先である抜井炭鉱の炭鉱夫として働くことになる。だがある日炭鉱に落盤事故が生じ、さらにそれと前後して宿舎の周辺で不可解な怪死事件が連続して発生する。そしてその周囲には、黒い狐面をつけた何者かの姿があった…。

 大戦直後の九州の炭鉱地という特異な場を舞台にした、ホラーティストの不可能犯罪パズラー。当時の時代まで日本の国力を支えた石炭採掘現場の実状が仔細に語られ、同時に暗く深い地の底で奮闘する炭鉱夫の実態、そしてそんな彼らの側に常にいる神がかり的な、あるいは魔性めいた存在が物語の重要な要素となる。
 ミステリ的には複数の密室で生じた連続変死(自殺? 殺人?)事件がキモとなるが、ほぼ同時に発生した落盤事故現場からの生存可能者救出の可能性、さらに時を隔てて別の炭鉱で起きた不思議なできごととの関係性を探る興味などがほど良い歩幅で絡み合い、なかなかの求心力となっている。
 犯人の正体とその犯行までの経緯の大きな部分のひとつは何となく見当はつくかもしれないが、盛り込まれた仕掛けを細部まで見抜くのはちょっと難しいかとも思う。真相らしきものを順々に並べていっては、ひとつひとつやっぱりダメ、とひっくり返していく解決編の趣向も楽しい。いずれにしろ筆者には、カーのオカルト趣味系不可能犯罪ものを読むのと近い興味でかなり面白かった。
 ちなみにこの主人公・物理波矢多、シリーズ化されそうなので今後の展開を見守ることにしよう。


三津田信三
2021年07月
忌名の如き贄るもの
平均:8.67 / 書評数:3
2020年09月
逢魔宿り
2019年07月
魔偶の如き齎すもの
平均:6.60 / 書評数:5
2019年04月
白魔の塔
2018年09月
犯罪乱歩幻想
平均:5.00 / 書評数:2
2018年06月
碆霊の如き祀るもの
平均:6.14 / 書評数:7
2016年09月
黒面の狐
平均:6.33 / 書評数:3
2016年07月
怪談のテープ起こし
平均:5.00 / 書評数:1
2015年07月
誰かの家
平均:5.00 / 書評数:1
2014年08月
どこの家にも怖いものはいる
平均:5.50 / 書評数:2
2014年03月
五骨の刃
平均:5.00 / 書評数:1
2012年11月
のぞきめ
平均:6.00 / 書評数:1
2012年09月
ついてくるもの
平均:5.50 / 書評数:2
2012年04月
幽女の如き怨むもの
平均:4.79 / 書評数:14
2011年07月
生霊の如き重るもの
平均:6.07 / 書評数:14
2011年03月
七人の鬼ごっこ
平均:5.50 / 書評数:4
2010年09月
災園
平均:5.00 / 書評数:1
2010年03月
六蠱の軀
平均:6.00 / 書評数:1
2009年12月
水魑の如き沈むもの
平均:6.61 / 書評数:18
2009年09月
赫眼
平均:5.00 / 書評数:3
2009年04月
密室の如き籠るもの
平均:6.29 / 書評数:14
2009年03月
四隅の魔
平均:6.25 / 書評数:4
2008年09月
凶宅
平均:5.00 / 書評数:3
2008年06月
十三の呪
平均:6.00 / 書評数:4
2008年04月
山魔の如き嗤うもの
平均:7.17 / 書評数:30
2007年07月
禍家
平均:5.71 / 書評数:7
2007年06月
スラッシャー廃園の殺人
平均:5.50 / 書評数:4
2007年04月
首無の如き祟るもの
平均:8.38 / 書評数:78
2006年09月
凶鳥の如き忌むもの
平均:6.28 / 書評数:25
2006年02月
厭魅の如き憑くもの
平均:7.20 / 書評数:41
2004年05月
シェルター終末の殺人
平均:4.67 / 書評数:3
2003年12月
百蛇堂―怪談作家の語る話
平均:5.67 / 書評数:3
2003年09月
蛇棺葬
平均:4.67 / 書評数:3
2002年08月
作者不詳 ミステリ作家の読む本
平均:6.88 / 書評数:8
2001年08月
ホラー作家の棲む家
平均:5.50 / 書評数:10