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[ 本格/新本格 ]
魔偶の如き齎すもの
刀城言耶シリーズ
三津田信三 出版月: 2019年07月 平均: 6.57点 書評数: 7件

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講談社
2019年07月

講談社
2022年06月

No.7 7点 ALFA 2023/06/15 08:48
シリーズ長編ほどのねっとりとした重厚感や緻密さはないけど、ホラー風味の謎解きが楽しめる。ただ、本格視点で読むと少し物足りないかも・・・
横溝や清張を思わせる独特の昭和感もよく出ている。
その昭和感についてイチャモンをひとつ。「敗戦」「敗戦後」というワードはあの時代にそぐわない。『終戦』、そして敗戦後でも終戦後でもなくただの『戦後』こそがあの時代の固有名詞なのだ。

No.6 6点 ボナンザ 2023/04/30 17:47
どれも雰囲気満点で面白い。
○○がネタバレ気味・・・。

No.5 6点 じきる 2021/08/04 15:36
良くも悪くもいつもの刀城シリーズ短編集って感じです。安定感はあります。
表題作は中々面白い仕掛けでした。

No.4 6点 ミステリ初心者 2021/06/20 18:55
ネタバレをしています。

 全て刀城言耶シリーズの中短編です。これまでのシリーズ同様、妖怪や宗教や民俗的(?)なホラーと、多重解決が楽しめる本格推理小説です。シリーズのファンなら楽しめると思います。

・妖服の~
 どうやって凶器を運んだか?ということが焦点になっています。
 電話線を使ったり、花火を使ったりする推理は楽しめました。郵便局員のコスプレをした推理が一番現実的に感じました。
 私は、回覧板を使ったのではないかと一瞬だけ考えましたが、まさかあの時点ですでに殺し終えてるとは思いませんでした(笑)。

・巫死の~
 いかにして不二生は消えたか?が問題です。
 設定が面白く、話に引き込まれました。しかし、最終的な推理は私の好みではありませんでした…。

・獣家の~
 2人の獣家についての不思議な証言と、インチキ宗教に騙された男の証言から合理的な解決をする話です。
 大学生の証言が坂を下っていることはわかりましたが、歩荷の証言を照らし合わせるのが面倒で、真相には気づけませんでした(笑)。ドラマのトリック的な、大がかりな真相でしたが、面白さは普通ていど…。

・魔偶の~
 密室に近い事件です。不可能犯罪というわけではなく、4人の中から誰が犯人であるかとうのが問題です。卍堂の見取り図を見ると、思わずワクワクしてしまいますね(笑)。
 実は私は、祖父江偲が登場したとき、露骨に怪しんでしまいました(笑)。シリーズを読んでいる人にとっては、みんなそうだと思います。関西弁やうちなどの特徴がみられませんし、微妙にキャラクターが異なっていますもんね。
 祖父江偲犯人説は置いておき、他に考えたのは、お里犯人説に近いものでした(笑)。
 小間井犯人説は、連作短編特有の、それまでの話にヒントが隠されている感じで面白かったです。
 魔偶の~全体として、動機や印象で犯人を決めつけている感じがあり、本格推理小説としては叙述トリックありきな印象でした。

 もうすぐ、シリーズ長編新刊がでるようですね。たのしみです。

No.3 7点 人並由真 2019/11/27 18:00
(ネタバレなし)
 刀城言耶シリーズはまだ二冊目。代表作らしい既存の長編は手つかず(いずれ読みたく思います)で、短編集もこれが初めて。
 以下、簡単に感想&コメント

①『妖服の如き切るもの』……ホックの、サム・ホーソンものかレオポオルド警部ものみたいな仕上がりのよくできた短編パズラー。初っ端から好印象の一本。
②『巫死の如き甦るもの』……まだシリーズ初心者なので既存作品との相違がどうのこうのと言うのはよくわからないのだけど、奇矯なシチュエーションから生じる謎にそれにふさわしい解決を与えた佳作。
③『獣家の如き吸うもの』……ビジュアル的には、すごく好きな雰囲気の話。系列の違う二種類のトリックを掛け合わせた感じの真相が頗る印象的。
④『魔偶の如き齎すもの』……わー、これは<中略>版の『××××』。(中略)読者向けに書かれた作品だと思うが、自分のような立場の人間がこんなT・P・Oで初読することにも、それなりの意味はあったかも?

 以上4編、どれも面白かった。各編を読み始める前はなんとなく軽く気構えちゃうんだけど、一度ページを開くとスイスイ作中世界に溶け込めるリーダビリティの高さも嬉しい。

No.2 7点 虫暮部 2019/08/30 10:02
 “巫死”の教義(?)や六人の女性の詳細はもっと知りたかった。“獣家”の像が結局は虚仮威しなのもがっかり。このシリーズ、長編は冗長になるのに、短編だと結末が急ぎ足だなぁ。

No.1 7点 青い車 2019/08/18 11:11
 少し前に『首無の如き祟るもの』を再読してそのトリックの高度さに感心したところだったので、サクッと読める本書の短編はかなり軽い印象を受けます。一方で、このシリーズの長編は長い説明パートでどうしてもだれてしまうところが難点だとも思っていて、その分読みやすいのは助かるともいえます。以下、一言ずつ感想です。

①『妖服の如き切るもの』 トリックは目新しくないものの、伏線の妙で膝を打つタイプの作品です。
②『巫死の如き甦るもの』 アイデアは以前の長編のアレンジですが、こっちはこっちで上手い使い方です。
③『獣家の如き吸うもの』 建物のカラクリはなるほどと思いました。しかし個人的に一番印象が薄いです。
④『魔偶の如き齎すもの』 一人の作家につき一度しか使えない大技で、恒例の「推理を立てては崩す」の繰り返しも楽しめます。


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