海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト

[ 本格/新本格 ]
忌名の如き贄るもの
刀城言耶シリーズ
三津田信三 出版月: 2021年07月 平均: 8.10点 書評数: 10件

書評を見る | 採点するジャンル投票


講談社
2021年07月

No.10 6点 take5 2022/06/12 16:14
すみません、
皆さん高評価なので、
首無以来作者のものを久しぶりに読んだのですが、
民間信仰や儀礼的行事が、
あまり得意ではないと再認識した次第です。
二転三転は見事なのですが、
最後の一行の切れが私には刺さらなかったのです。
地名人名が読みにくいのも私にはつらかったです。
目が悪かったり地名の変遷が力技に感じたりもあり、
この書評で0、5ポイントも下げてしまいました。
これを書いている今現在、
10人以上の書評を有する国内作品第4位ですが、
3位の戻り川や2位の占星術が好きな私です。
私見失礼しました。

No.9 9点 雪の日 2022/04/01 19:24
刀城言耶シリーズの最新作。
首無を越える最高傑作と言われていたので、期待値も高かったが想像以上でした。

本作は刀城言耶シリーズの中でも、厭魅の如き憑くもの同様、ホラー色の強い作品です。話もこれまで同様、田舎の小さい村の因習とそれにまつわる怪異が謎の中心となっています。

個人的に、ミステリとしては首無には及ばないものの、ホラーとしてはシリーズ最高傑作ではないでしょうか。最初の儀式の描写もとても怖かったですが、最後の一行では心臓がキュッとなりました。

シリーズものにおいて、後になるにつれて作品の精度が落ちる中、このような過去のものを超える作品を書かれた著者には脱帽です。

No.8 9点 ALFA 2022/03/24 14:39
シンプルなプロット、逆説に満ちた禍々しい動機、意外過ぎる犯人。世評高い「首無しの如き祟るもの」をしのぐオールタイム級の名作だろう。

少しネタバレします。



本格ミステリーであったはずが、最後の一行でホラーのロジックが通ってしまい、それにあわせて冒頭第三章までの怪異体験がきれいに回収されるという構造は見事。
あえての難は殺人手法と凶器の隠滅に偶然性が残ること。ここが確実で強烈なものであったら文句なしだった。
ところで「先輩」の二度目の結婚はなぜ可能になったのだろう。事情が判明した今回は母親は猛反対したはず。本筋と関係無いようだが、この意識がすべての発端だから何らかの補足は欲しいところ。

初期の作品に比べて文体は格段に読みやすい。なお、民俗学の蘊蓄はいささか詳しすぎて読み飛ばしたが、ここは好きずき。周辺キャラのドタバタはもうやめたらどうだろう。せっかくの世界観を損なっているように思えるのだが。

文庫化にあたっては例によって地図をつけてほしい。

No.7 6点 ミステリ初心者 2022/02/24 18:42
ネタバレをしています。

 待ちに待った刀城言耶シリーズ新作長編です!
 相変わらず戦後の時代と民俗学の合わさった良い雰囲気です。ただ、今回はいろいろな難しい用語が多く、刀城言耶シリーズにしては意外なほどページが進まず、読了まですこし時間がかかりました。特に、場所を表す言葉がおおく、位置関係を頭の中で想像するのが大変でした。そのため、地図が欲しかったところです。

 推理小説的要素について。
 解決編前まで読み、既読の方からヒントをもらいながらあれこれ妄想しつつ推理しました。ヒントがなければとても真相にたどり着けないような、ものすごい数の伏線とミスリードでしたね(笑)。それを存分に活かした意外な犯人は、シリーズ屈指とも言えます。
 今作一番の良い点といえば、犯人のその意外な動機です。なぜ市糸郎はころされたのか? 葬式がしたかったからだとは、なかなかに狂っていますね。それを推理するためには、尼耳家が村八分にあっていることを理解しなければならないのですが、ここには読者・探偵共に与えられていない情報が隠されていましたね。すこしだけ叙述トリックのような香りのする仕掛けですね。
 村八分・葬式といった、本シリーズと相性の良い要素を、動機に絡めたところが、本作で一番気に入っております。

 以下、難癖部分。
 トリックは遠隔殺人。ヒントは出ておりましたが、尼耳家の人間がほぼ全員アリバイがないため、推理は難しいものになるでしょう(笑)。このトリック、遠隔殺人系で超有名作品にほぼ同様のものがあり、オリジナリティーという点では評価できません。凶器の処理について滝を利用するアイディアは見事でしたが、有名作品には他にも遠隔殺人があり厚みでは全く敵っていません。
 また、これは本シリーズでもお決まりのパターンですが、証言者がかなり信頼できません。今回は視力が悪いとのことなので、ある程度は予想した居ましたが。証言者がミスリードにしかならないのは、カーも一緒ですね(笑)。

 総じて。
 アリバイトリックや論理的な犯人当てを期待すると、すこし期待外れな感じがあります。刀城言耶シリーズは多重解決が売りの一つでもありますので、論理的な犯人当てができないことを許容するとしても、犯人のトリックが小粒すぎるのはいただけません。
 しかし、ガチガチの本格推理小説ではない、一冊の本としてみるならば、非常に面白い本であることは確かです。私はアリバイトリックと犯人当てが好きなので点数は低めですが、良い作品なことは確かです。

No.6 9点 mozart 2022/02/03 16:45
ホラー&ミステリーの第一人者(?)とも言うべき著者の力量に改めて脱帽しました。「黒面」とか「碆霊」でちょっと?となっていたので今作の出来は嬉しい限りです。まだ読了してから間もないためネタバレせずにうまくコメントできないのでとりあえず採点だけ。

No.5 8点 人並由真 2022/01/31 06:26
(ネタバレなし)
 これでシリーズのうちで読んだのは、長編と短編集あわせて6冊目。

 序盤の「早すぎた埋葬」ネタの逸話で盛り上げたのち、一転、中盤は手堅いが、やや地味目な感じ? と思っていた。

 が、終盤での二転三転……どころかそれ以上の、フーダニットパズラーの謎解きが鮮烈。実のところ、(中略)番目に名前があがったトンデモナイ犯人の設定は、こちらも予想はしていた(まあ結局は……なのだが)。

 で、本当の勝負所は、最後の最後の真犯人の判明と同時に明らかになる<あの構図の反転>であろう。
 思わず息をのんだが、まあこれはこれ以上書いちゃいけないね。
 
 ラストもコワイ。そっちの方向で、このシリーズの中でこれまでに読んだなかでたぶん一番怖い。
 当然、半分徹夜で、イッキ読みでした。

No.4 8点 虫暮部 2022/01/05 14:36
 これはかなり良い。その理由は、推理の試行錯誤が飽きる前に終わって、過剰さがいい塩梅に抑制されていたおかげ、かも。いや、それ言っちゃあシリーズの個性全否定?
 冒頭の儀礼~葬儀の話が滅法怖い。出番少ないけど井津子のキャラが程好くピシッとした感じでナイス。

No.3 7点 レッドキング 2021/09/04 13:22
「~の如き~もの」シリーズ長編第八弾。山間寒村の旧家の秘密・・「厭魅の~」思わせる・・に、リレー式目撃証人の「密室」殺人トリックを絡めて、長いがスッキリとしたWhoWhyHowミステリに纏まる。最後には「首無の」同様にホラーどんでん返しオマケも付く。どっこい、まーだまだ終わってなかった三津田信三。
(ここいらで麻耶雄嵩にも長編力作を一発期待したい・・・)

No.2 10点 HORNET 2021/08/23 22:15
生名鳴(いななぎ)地方の虫絰(むしくびり)村に伝わる「忌名の儀礼」。8年前にその儀礼で九死に一生を得た女性・尼耳李千子と、言耶の大学の先輩が結婚することになった。二人の結婚を認めてもらうために、李千子たちの帰省に同行することになった言耶。奇しくも同じ時、虫絰村では李千子の腹違いの弟・市糸郎の「忌名の儀礼」が執り行われていた。ところが、儀式の途中に市糸郎が何者かに殺される。いったい、村では何が起こっているのか―

 刀城言耶シリーズの第11作目。
 終末にかなり近づくまで事件は1件のみで、途中も民俗学の薀蓄に多くを割き、第十五章「事件の真相」で語られる言耶の推理と真相もこねくり回したうえでの飛び道具のような着地で、正直残りのページ数を見ながら不安に思いながら読み進めたのだが・・・
 最後まで読んで、大満足!
 そういえばこうした手法こそ、三津田氏の真骨頂だった!!

 「本格ミステリ・ディケイド」(2012・原書房)というガイド本に挿入されていたエッセイで、三津田氏は、「(ミステリには)絶対に伏線は必要になる。にも拘らず伏線のない、または弱すぎる作品が増えている気がする」と、昨今(当時)のミステリ情勢に対してかなり辛辣な見解を述べ、本格ミステリの衰退に警鐘を鳴らしていたが、さすがその三津田氏である。
 上に描いた物語前半の展開も、そこに実は隠されていた伏線を最後に思い知らされ、その緻密な創作手腕に脱帽。
 シリーズ中でも強く印象に残る作品だった。

No.1 9点 じきる 2021/08/04 15:50
これは会心の傑作ではないでしょうか。
××××の巧みなミスディレクションやとんでもない動機が功を奏した意外性十分の真相と、ゾクリと背筋の凍るホラーの調和がお見事。
民俗学の描写が多いのも個人的には面白かったです。


三津田信三
2021年12月
赫衣の闇
平均:6.00 / 書評数:1
2021年07月
忌名の如き贄るもの
平均:8.10 / 書評数:10
2020年09月
逢魔宿り
2019年07月
魔偶の如き齎すもの
平均:6.60 / 書評数:5
2019年04月
白魔の塔
2018年09月
犯罪乱歩幻想
平均:5.00 / 書評数:2
2018年06月
碆霊の如き祀るもの
平均:6.10 / 書評数:10
2016年09月
黒面の狐
平均:6.33 / 書評数:3
2016年07月
怪談のテープ起こし
平均:5.00 / 書評数:1
2015年07月
誰かの家
平均:5.00 / 書評数:1
2014年08月
どこの家にも怖いものはいる
平均:5.50 / 書評数:2
2014年03月
五骨の刃
平均:5.00 / 書評数:1
2012年11月
のぞきめ
平均:6.00 / 書評数:1
2012年09月
ついてくるもの
平均:5.50 / 書評数:2
2012年04月
幽女の如き怨むもの
平均:4.94 / 書評数:16
2011年07月
生霊の如き重るもの
平均:6.07 / 書評数:14
2011年03月
七人の鬼ごっこ
平均:5.50 / 書評数:4
2010年09月
災園
平均:5.00 / 書評数:1
2010年03月
六蠱の軀
平均:6.00 / 書評数:1
2009年12月
水魑の如き沈むもの
平均:6.56 / 書評数:18
2009年09月
赫眼
平均:5.00 / 書評数:4
2009年04月
密室の如き籠るもの
平均:6.29 / 書評数:14
2009年03月
四隅の魔
平均:6.25 / 書評数:4
2008年09月
凶宅
平均:5.00 / 書評数:3
2008年06月
十三の呪
平均:6.00 / 書評数:4
2008年04月
山魔の如き嗤うもの
平均:7.16 / 書評数:31
2007年07月
禍家
平均:5.71 / 書評数:7
2007年06月
スラッシャー廃園の殺人
平均:5.50 / 書評数:4
2007年04月
首無の如き祟るもの
平均:8.38 / 書評数:79
2006年09月
凶鳥の如き忌むもの
平均:6.31 / 書評数:26
2006年02月
厭魅の如き憑くもの
平均:7.22 / 書評数:41
2004年05月
シェルター終末の殺人
平均:4.67 / 書評数:3
2003年12月
百蛇堂―怪談作家の語る話
平均:5.67 / 書評数:3
2003年09月
蛇棺葬
平均:4.67 / 書評数:3
2002年08月
作者不詳 ミステリ作家の読む本
平均:6.88 / 書評数:8
2001年08月
ホラー作家の棲む家
平均:5.50 / 書評数:10