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[ 本格/新本格 ]
幽女の如き怨むもの
刀城言耶シリーズ
三津田信三 出版月: 2012年04月 平均: 5.24点 書評数: 17件

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原書房
2012年04月

講談社
2015年06月

No.17 10点 密室とアリバイ 2023/06/07 21:57
これ評価低すぎて…w 異色なんで好きなんですけどね

No.16 7点 皐月 2022/01/06 21:22
シリーズの中でも異色作と呼ばれる本書。意外と皆さん点数を低くつけられていてビックリしましたが、たしかに本格ミステリとしてだけ見ると無理が少なくないかもしれません。ただ個人的にはミステリ的な仕掛けが遊女として生きるしかなかった女の物悲しい現実とつながっており、感動しました。

No.15 5点 ぷちレコード 2021/12/23 23:10
お馴染みの様式的な殺人は影を潜め、身を売られた女性の悲哀がたっぷり描かれるシリーズ中の異色作。
周到な伏線や手掛かりが隠されているのはもちろんなのだが、遊郭という場所、遊女という存在、その時代でなければ成立しない謎が解体されると同時に、薄幸な女たちの悲哀も浮かび上がる。心打たれる本格ミステリ。

No.14 5点 ボナンザ 2021/08/05 20:00
この長さでこれ一本というのはやはり物足りない感があるが、筆力でなんとか読ませている。

No.13 4点 じきる 2021/01/31 23:19
まさかここでその手のトリック使う訳ないよなぁ…やめてくれよ…と思ってたら、悪い予感が的中してしまった。

No.12 4点 雪の日 2020/04/13 14:52
消化不良

No.11 3点 レッドキング 2020/03/31 15:28
「~の如き~もの」シリーズ(長編)第六弾。これあれだ「ホッグ連続殺人」の〇〇に見せかけた✕✕だ。
※「恐ろしや」ホラー感に重要なのは、閉鎖的な山里という舞台ではないかと思う。「厭魅」「首無」「山魔」に比べると、海の「凶鳥」や湖の「水魑」のホラー感は薄く、遊郭とはいえ人里を舞台にするとさらに薄まってしまう。

No.10 5点 新世紀ミステリー 2019/06/23 05:45
2012年発表。さすがの三津田信三も、ここらあたりが限界なのでしょうか。

No.9 7点 fareastnorthern 2018/02/27 12:48
皆さんのレビューを踏まえた上でネタバレ感想

第一部の日記が、小説として面白すぎる、残された理由が不自然、などが挙げられてました。
最後の真相から遡って考えると、この日記自体信頼出来ないテクストになります。全ては創作の可能性すらありますし、日記が廓に残っているのを二代目が覚えていない訳がない、もしくは二代目になった時に持ち込んだ可能性もあるんじゃないでしょうか?
そうすると、初代時代の自殺未遂も完全な狂言かもしれない。通小町を自殺に追い込んだのも初代。手紙は読み書き出来る初代が書いた偽物。動機は廓No.1になり金を稼ぐため。
その後、狂言自殺をし、それが見破られそうになったため、意識朦朧の月影を誘い出して突き落とす。。
なんて解釈はいかがでしょうか?

No.8 6点 名探偵ジャパン 2016/10/23 20:27
皆さんの書評でシリーズの異色作として位置づけられるのも納得です。
今までの刀城シリーズとは構成が全く異なり、本作で探偵刀城がやったことといえば、日記を読んで女将さんと話しただけ。これは刀城シリーズではなく、ノンシリーズとして出したほうがよかったかも?
とはいえ提示される謎はやはり魅力的です。戦前、戦中、戦後と十数年間に渡り、都合九回も人が身投げをした、もしくは未遂に終わったという、飛び降りのメッカと化したある遊郭の謎。その中に、戦前、戦中、戦後、同じ名前を継いだある花魁が常に絡んでいる。
最後に明かされる真相は、遊郭の風俗移り変わり的な資料小説の様相を呈していたところに提示されるというタイミングも手伝って、なかなかに驚かされました。「ああ、これはやっぱり本格ミステリだったんだ」という安堵も得られました。
ストーリー作品としては面白く、このボリュームにも関わらずぐいぐい読ませます。でもしかし、やっぱり「本格ミステリ」としては、ギリギリのバランスではないかと思います。

No.7 3点 HORNET 2013/01/04 19:30
 これまでの「~の如き~もの」シリーズから期待して読むと外すと思う。三津田氏の本シリーズの、何を魅力としているかによると思うが。私は、超常現象的にみえる不可解な出来事が、現実的に解釈される推理に胸のすく思いを感じるタイプ。もちろん、横溝正史を彷彿とさせるホラー要素も大きな魅力だが、それが最後には明快に読み解かれるからこそおもしろいと感じている。そういう観点からしてこの作品は非常に消化不良。次作は今までどおりのパターンを期待したい。

No.6 5点 ミステリ初心者 2012/09/02 00:50
ネタバレをしています。



 シリーズの新作で、長編で、なにやらそそられる設定だったので、期待していました。面白かったのですが、少し期待はずれでした。本格度は低めです。かといって、ホラー要素もそう多くありません(遊郭の世界が一番怖かった)。

 一番大きな謎が、あまりよくないというか、びっくりしない。長編では、最も意外度が低かったです。
 あと、犯人の行動は成功するように思えません。
 ヒサクラもヒザクラも似てるでしょう。萩原と荻原ぐらい似てます。

 このシリーズのファンなので、若干辛めの点かもしれません。

No.5 7点 虫暮部 2012/08/06 08:14
明確な“事件”は起こらないし、どちらかというと“戦前・戦中の風俗史”のような要素がメインか、と思ったらラストに見事な背負い投げが。という感想もネタバレか。

No.4 5点 touko 2012/08/03 20:25
地方の遊郭で戦前・戦中・戦後に起こった不可解な花魁の連続身投げ事件を巡るホラーミステリ。

吉原を舞台にした小説・ドラマ・映画等は数あれど、地方の遊郭が舞台というのは珍しく、ミステリということを意識しないでも、興味深く読めました。

ただ、資料をたいしてアレンジもせず、だらだら並べているだけなんじゃないかって部分も多く、ページ数稼ぎしている感もなきしにもあらず。。

さくさく読めるのはいいんですが、長さのわりには、ホラーもドラマも謎も薄味。

ホラーじみた内容を合理的に解決するいつもの刀城言耶シリーズとは違い、今作はお好みでホラーとしてもミステリとしても楽しめるように、両解釈がラストになされているのですが、致命的な欠点が……。


(以下もしかしたらネタバレになるかもしれません……注)

いくらなんでも、このトリックを、よりによって、この題材に使うのはありえないでしょ~。

だって、世の中でもっとも他人の容姿、しかも化粧や髪型や服装での変化にうるさく、立ち居振る舞いにも敏感であろう者同士が同居してるんですよ。
意識したものではなく、些細な生来の癖や仕草ですら、商売に影響するんだし、いくら地方とはいえ女同士の世界、売れっ子であればなおさら、重箱の隅をつつくようにチェックされてますって。。

しかも、ミスリードのためとか、ホラー的な謎を残すためとか、トリックのためならリアリティなどあえて無視するという覚悟があるからでもなんでもなく、何も考えずに適当に書いたんだろうなあ……と思われるところが痛くて。

全体的に大雑把で軽いのは、まだそういうものとして読めたのですが、これだけはどうも。
遊郭を取り上げる意味がないので、男子寮ものでも書いててください(笑)。

あと、同じ悲惨な境遇の女性のうち加害者は同情ゆえか見逃し、被害者の方はスルーしたあげく、妙に人権派ぶって終わるのも、確かに印象悪いですよねえ……。

No.3 5点 おっさん 2012/06/08 11:34
たまには新刊も読んでみようシリーズ国内編w ホラーとミステリのハイブリッドを模索する、三津田信三の刀城言耶シリーズ、長編第6弾です。

戦前――地方の遊郭<金瓶梅楼>に売られてきた少女・桜子は、やがて花魁・緋桜として働き始めるようになる。しかし、その遊郭の最上階には、何やら得体の知れないものが棲みついているようで・・・
戦中、戦後と名を変えて続く遊郭で、緋桜と言う源氏名の花魁がデビューするたびに、相次ぐ怪異。とり憑かれたような身投げの連鎖。偶然なのか、因縁なのか、それともそこに、隠れた犯罪意志は存在するのか?

作者の十八番である、どんでん返しの連続技が見られない点に、不満をもたれる向きもあるようですが、あのデススパイラル、ホラーとミステリの綱引きにいささか食傷気味の筆者には、最初から最後まで、ホラーでもミステリでもありうるグレーゾーンのなか、核になるアイデアで一発逆転を狙うこの試みは、むしろ好ましく思われます。
問題は、そのアイデアの具体化に無理があり(無理なところにいくら伏線を重ねたところで)、結果、多重解決のダミー解として退けられる程度の説得力しか、確保できていないことでしょう。
日記(第一部)、インタビュー原稿(第二部)、作家のドキュメント(第三部)にもとづく、刀城言耶の謎解きパート(第四部)が、完全にある人物とのなれ合いになってしまい、有耶無耶のうちにイイハナシダナーで決着してしまうのも疑問。
もしその“解釈”が正しいとすれば――複数の人間を手にかけ、問題解決の手段として殺人を選択することをためらわない犯人を、いっさい追及しないことが美談ですか?

さて。
前作『水魑の如き沈むもの』あたりから向上したリーダビリティは、本書でも健在で、ことに第一部の、初代・緋桜の日記パートなどを読むと、これがあの、小説の下手だった三津田信三かと、感慨を禁じえないものがあります。
ただねえ、うますぎて、あの作中キャラの“日記”にはとても思えないw 完全にプロの“小説”です。緋桜さんに言ってあげたい。アナタ、この筆力があったら、苦界を出たあと文章でご飯が食べられますよ。
冗談はさておき。
この“日記”が遊郭に残される経緯(「ちょっと迷ったけど――」p.252)が、じつは筆者には一番の謎でした。不自然すぎるでしょう、これ?

テクストの不自然さと言えば、言耶の「はじめに」もそうですね。
本書は、将来の出版にそなえて彼が整理した、複数のテクストの集積という体裁をとっています。
それなのに、なぜか第四部を執筆する前に、序文をしたためている。そのヘンな設定(と言いわけ)は、作者がギリギリのところでミスディレクションを盛り込むため採用されたものですが・・・
でも、あの「第四部」を書いてしまった以上、「はじめに」の文章は書きなおさないとマズくありませんか、探偵作家の刀城言耶さん?

採点は、筆者好みの“遊郭小説”を堪能したことw と、怪異の原因が判然としないため生じる、岡本綺堂的モダン・ホラーの味わいをめでてのものです。

No.2 6点 kanamori 2012/06/04 21:57
怪異譚蒐集家・刀城言耶シリーズの最新作。
刀城(作者)が冒頭に断っているように、これまでのシリーズのトレードマークである不可能趣向や多重解決・どんでん返しの連続技がみられない”異色作”です。
戦前から戦中戦後にかけて地方の遊郭で連続して発生した身投げ事件と、廓内を徘徊する幽女の謎を、花魁の日記、当時の女将からの聞き取り、新進怪奇作家の手記をもとに安楽椅子探偵風に謎解くというスタイルですが、謎そのものがスッキリせず解法もいまいちキレがない様に思います。”らしい”ところはある人物に関するサプライズだけのような.....。
でも、これまでの作品と比べて文章が読みやすく、特に前半の緋桜の日記などの昭和遊郭史のような部分が面白く読めたのでこの点数に。

No.1 2点 mozart 2012/05/01 19:58
刀城言耶「~の如き」シリーズの長編ということで、非常に期待して読み始めたものの、これまでの作品に溢れていたホラー&ミステリー感がほとんどないと言うだけでなく、最終章に至って言耶によって提示される、「事件」に対するそれなりの「合理的解釈」にもいつもの切れ味がなくて、自分にとっては所謂「壁本」に近い作品だった、というのが正直な感想です。遊郭についての蘊蓄本として読むならばそれなりに興味深かったけれど、やはりこのシリーズとしては、「試行錯誤によってもたらされる多重解決やどんでん返し」は不可欠だと思います(「はじめに」でそうしたものは本作品には「何もない」と明言されていますが・・・)。この「~の如き」シリーズは、まだ、次作、次々作、・・・、と続くでしょうから(是非続けてもらいたいし)、たまには毛色の変わった作品もありなのかも知れませんが、自分としては次作に期待する、と言うことで。
あるいは、ひょっとしたら、何か重要なことを自分が見落としていたために低い評価としてしまっただけかも知れないので、是非、他の方の評価も知りたいところです。


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