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ミニ・ミステリ傑作選
エラリー・クイーン編
アンソロジー(海外編集者) 出版月: 1975年10月 平均: 6.50点 書評数: 4件

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東京創元社
1975年10月

No.4 7点 クリスティ再読 2019/08/22 09:13
大昔に読んだなりだったクイーン編のショートショート集。いや、結構オチを覚えているものだね。アイデア・ストーリーが鋭く純粋化されたようなものだから、頭のどこかにきっと死ぬまで突き刺さっているんだろう。
だから、展開で読ませるタイプは意外に忘れるものだし、決め台詞があるものはよく覚えていたりする。そうしてみると評者だと、前半の型にはまらない「ミニ犯罪小説」の方がよく憶えていて、ミステリ専業作家がレギュラー探偵を起用したものが多い「ミニ探偵」の方が忘れやすい傾向があるように思う...でベストは落語みたいなオチの「馬をのみこんだ男」(クレイグ・ライス)ばかばかしさが本当に、いい。
評者好みは「カードの対決」(コステイン)これは決め台詞タイプ。「演説」(ダンセイニ)皮肉なアイデアストーリー。「月の光」(ハイデンフェルト)手がかりになる言葉が忘れられない。「子守歌」(チェホフ)これは描写のコッテリ感。「ある老人の死」(ミラー)人情。「殺人のメニュー」(ドンネルJr)小粋。というあたりかな。
本としてはナイス編集。収録作が多い分、多彩な面白さを味わえるし、切れ味の良い作品が多いので、個々が埋没しない。おすすめ。

No.3 7点 斎藤警部 2016/01/28 13:07
目次の題名眺めるだけで興味津々。幼い私には「文法で気付かれる」話と「小人が騙される」話が印象的だった。一発アイデアでノックアウトされる類のやつ。今振り返れば「誘拐されていた」話がなかなかのものと思う。定番「二十年後に再会」の話はやはりぐっと来る.。他にも、驚いたり、泣けたり、唖然としたり、ニヤリと来たり、不安になったり、感心したり、指を鳴らしたり、狐につままれたり、作者も有名無名、語りつくせぬ魅力を放って止まない、小さなお菓子がいっぱい詰まった箱の様な掌編集。EQGJ(エラリー・クイーン・グッド・ジョブ)です。

ところで例の、創元さんの悪い癖”重複排除”の犠牲になっているのが三篇もある(ブラウン、ウールリッチ、シムノン)のは悲しい!
その一方で唯一人、特別に二篇収録されているのがかのモーパッサン、というのが何とも!

No.2 5点 ボナンザ 2014/07/10 21:19
クイーン編集のミニミステリ集。
どれも面白く、退屈しのぎには事欠かない。

No.1 7点 Tetchy 2013/05/19 11:33
全67編。1日1編という縛りでじっくり読むことにした本書だが、流石にこれだけ集まれば玉石混交な印象はぬぐえない。しかしその中にも光る物はあり、個人的にはスティーヴ・アレンの「ハリウッド式殺人法」、ロバート・ブロックの「生きている腕輪」、ロード・ダンセイニの「演説」、フィリップ・マクドナルドの「信用第一」、アレグザンダー・ウールコットの「Rien Ne Va Plus」、ヴィクター・カニングの「壁の中へ」、クリストファー・モーリイの「ダヴ・ダルセットの明察」、作者不詳の「絶妙な弁護」、ギイ・ド・モーパッサンの「正義の費用」、ローガン・クレンデニングの「アダムとイヴ失踪事件」、マージェリー・アリンガムの「見えないドア」、エドマンド・クリスピンの「川べりの犯罪」、ベン・ヘクトの「シカゴの夜」、O・ヘンリーの「二十年後」が良作と感じた。

またミステリプロパーの作家たちのみならず、マーク・トウェインやモーパッサンなど純文学作家、大衆作家からの作品も網羅している。さらには医学博士の手による作品すらもある。まさにクイーンの収集範囲の広範さを思い知らされるアンソロジー。

たった10ページ前後でミステリが成立するかと半信半疑だったが、なかなかどうして。立派にミステリしていた。


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