皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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密室殺人傑作選 H・S・サンテッスン編 |
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アンソロジー(海外編集者) | 出版月: 1985年02月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 3件 |
早川書房 1985年02月 |
早川書房 2003年04月 |
No.3 | 6点 | 蟷螂の斧 | 2023/07/05 15:31 |
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①ある密室(ジョン・ディクスン・カー) 5点 「妖魔の森の家」所収。密室の事務所で頭を殴られた社長。隣室にいた二人の秘書が扉を破って部屋に入ったところ金庫が荒らされていた・・・専門知識が必要(足音を聞いたはアンフェア)
②クリスマスと人形(エラリー・クイーン) 7点 怪盗コーマスは、時価10万ドルの宝石が埋め込まれた人形を盗み出すと、有名弁護士に告げた・・・エラリー親子が監視するも、まんまと(それしかないのだが、騙された) ③世に不可能事なし(クレイトン・ロースン) 6点 UFO研究家が密室の中で銃殺された。同室の男は頭を殴打され倒れていた。拳銃は部屋になかった・・・弾は32口径から発射されたもの(やゝ専門的) ④うぶな心が張り裂ける(クレイグ・ライス) 6点 再審が決定した死刑囚が首吊り自殺した・・・紐がどう持ち込まれたかは不問で、ホワイのみ(題名は刑務所で歌われる戯れ歌) ⑤犬のお告げ(G・K・チェスタント) 5点 大佐が東屋で刺殺された。東屋は衆人の目で監視されていた。刺殺された時、犬が吠えた・・・凶器が見つからない(世評は高いが密室としては粗が目立つ。世評は別の所の評価?) ⑥囚人が友を求める時(モリス・ハーシュマン) 7点 新参の囚人は詩の愛好家で朗読会にどうしても行きたい。彼は脱走し朗読会を聴き、翌朝独房に戻って来た・・・それを知った他の囚人は詩を読むようになり(ユーモア小説) ⑦ドゥームドーフの謎(M・D・ポースト) 7点 「ズームドルフ事件」世界推理短編傑作集2(新版)書評済 古典の名作 ⑧ジョン・ディクスン・カーを読んだ男(ウィリアム・ブルテン) 8点 カーの作品を読破。独創的な密室トリックで叔父を殺害したが・・・アリバイの証人が現れて(ユーモア作品) ⑨長い墜落(エドワード・D・ホック) 5点 「サム・ホーソーンの事件簿Ⅰ」で書評済 ⑩時の網(ミリアム・アレン・ディフォード) 5点 病室は内側から目張りがされていた。押し開けると悪魔と契約したという患者はいなかった・・・患者は悪魔との契約をある理由により反故にしようとする ⑪執行猶予(ローレンス・G・ブロックマン) 7点 戯曲家が密室でガス中毒死。ガス栓は閉じていた・・・離婚した妻、その娘の関係(題名と裏の動機が良い) ⑫たばこの煙が充満する部屋(アンソニイ・バウチャー) 5点 政治家がホテルの部屋で首を切られて死亡。凶器は見つからなかった。第一発見者の女性が疑われ・・・数分前に部屋を訪ねたトレンチコートの男(密談) ⑬海児魂(ジョセフ・カミングス) 7点 嵐の中、ヨットが座礁し沈没。所有者は潜水して調査するも海中で刺殺された。さらにヨットの中から彼の妻の他殺体が発見された・・・毛染めの盗難(髪が白く) ⑭北イタリア物語(トマス・フラナガン) 5点 別題「玉を懐いて罪あり」(「アデスタを吹く冷たい風」所収)で書評済(設定に疑問符) |
No.2 | 6点 | mini | 2014/07/25 10:03 |
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本日発売の早川ミステリマガジン9月号の特集は、”カーと密室”
密室の特集組むのは過去にもあるが、今回はカーをフィーチャー、ここ2~3年は早川や創元でカーの新訳切り替え中だからね そして今回の特集での目玉がカーの本邦初訳短編の掲載である、カーのコンプリートを目指す読者には見逃せない 便乗企画書評として俎上に載せるのはこのアンソロジー、カーの密室短編が収録されている上に、カミングスの短編も収録されているからだ 私的読書テーマ生誕100周年作家を漁る、第2弾ジョセフ・カミングスの2回目でもある 収録のカミングス「海児魂」は私の読んだ範囲では作者の最高傑作である カミングスは密室短編のエキスパートだが、他の短編ではわざわざ密室トリックを弄す必然性に乏しいという弱点が感じられた しかしこの「海児魂」では特殊な状況設定を利用し、密室状況にすることに強い必然性が有る またカミングスらしく館とかの室内密室ではなく思い切りアウトドアな屋外型密室なのも館もの嫌いな私としては好感材料だ 他の収録短編だが当サイトでkanamoriさんも御指摘の通り、例えばポースト「ドゥームドーフの謎」などここで採り上げる意義を感じないようなメジャー作家に関してはメジャーな短編ばかりで、もう少しマニアックな選択をしても良かったのでは?という感は有る 一方でマイナー作家に関しては作家自体の選択はかなりマニアックで、後に論創社から長編が紹介されたモリス・ハーシュマンなんて既に短編が紹介済だったのにはちょい驚き ミリアム・アレン・デフォードとかローレン・G・ブロックマンなど超マイナーではないにしても見逃しやすいところも拾っている点は評価したい、日本の編集者だったらおそらく無視だろうからね |
No.1 | 6点 | kanamori | 2010/05/18 20:16 |
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密室がテーマのアンソロジーですが、広義の密室も含まれていてバラエティに富んでいるとは思います。しかし、巨匠のクイーン、カー、チェスタトンやホックの作品は他で読めるのでいらなかったですね。ほかにもクレイトン・ロースンやトマス・フラナガンも含め7作品が既読でした。
クレイグ・ライスは不可能性よりもホワイダニットものでイマイチの内容、ジョゼフ・カミングズの「海児魂」が特異な設定が面白く一番印象に残りました。 |